筋トレのジャイアントセット法って何?トレーニング法・メニューを紹介
より短時間で効果的に筋力トレーニングを行いたいなら、おすすめなのがジャイアントセット法。きつい分、成果も上がりやすいトレーニング方法です。ここではこのトレーニングのやり方やメリット・デメリット、さらに具体的なメニュー例まで紹介していきます。
1.ジャイアントセット法とは
ジャイアントセット法とは、筋肉の特定の部位を、インターバルを挟まず4種目以上のトレーニングを連続して鍛える方法のことです。腕・背中・足など特定の箇所を集中的に鍛えます。
元プロボディビルダーであり、カリスマトレーナーとしても知られるセルビア出身のミロス・シャシブ氏によって提唱されました。日本の有名なプロボディビルダーも、ミロス・シャシブ氏からジャイアントセット法を伝授され効果をあげているようです。
1-1.あわせて覚えておきたいスーパーセット法・トライセット法
ジャイアントセット法と似たトレーニング法として、スーパーセット法とトライセット法があります。4種目以上のトレーニングを休憩なしで連続するジャイアントセット法と比較して、スーパーセット法は2種目、トライセット法では3種目のトレーニングを行います。
1-2.スーパーセット法には主に2種類のやり方がある
同一筋スーパーセットとは、その名の通り同一部位がメインターゲットの2つのトレーニング種目を組み合わせるトレーニング方法です。その中でも「可動域がもっとも伸びたときに最大の負荷が掛かるストレッチ種目」と「可動域がもっとも収縮したときに最大の負荷が掛かるコントラクト種目」の2種目を組み合わせる方法が最も効果的です。
上腕二頭筋で言えば、「ストレッチ種目のインクラインダンベルカール」と「コントラクト種目のコンセントレーションカール」の組み合わせになります。
拮抗筋スーパーセットは、相反神経支配という働きを効果的に利用するのが特長です。筋肉の多くは、身体を動かす際に主に活動する筋肉(主動筋)と、主導筋が働くことで逆に緩んでリラックスした状態となる拮抗筋がセットになっています。たとえば上腕二頭筋を主導筋として動かしているときは、上腕三頭筋が拮抗筋です。
相反神経支配とは主導筋・拮抗筋の相関関係のメカニズムのことで、たとえば上腕二頭筋のトレーニングをした後に、リラックスした状態の上腕三頭筋を鍛えることでより高い効果がえられるわけです。
この拮抗筋スーパーセットを行う場合は、通常のスーパーセットのようにインターバルを極端に短くして連続で行う方法とは異なり、インターバルを1〜2分ほどとり筋肉のリラックス状態を確保し、回復促進させることが推奨されています。
2.ジャイアントセット法のメリット
インターバルなしで同じ筋肉を4種目以上のトレーニングで鍛えるジャイアントセット法は、ちょっとイメージしただけでもわかると思いますが、通常のトレーニングよりもきついです。ここでは、このハードなトレーニングにどんなメリットがあるかを紹介します。
2-1.短期間で高い効果があげられる
これがジャイアントセット法の最も大きなメリットといえるでしょう。特定部位の筋肉に対して集中して4つ以上の筋肉トレーニングを行うため、通常のトレーニングより短い期間で高い効果があげられます。「ここを優先して鍛えたい」という筋肉がある場合や、トレーニングにあてられる時間が短い場合は、特にジャイアントセット法を積極的に活用したいですね。
2-2.心肺機能の向上も期待できる
インターバルなしで4つ以上のトレーニングを継続して行うことになるため、筋肉と同時に心肺機能をきたえることができます。もちろん、あくまで筋肉をきたえるのがメインなので、心肺機能の強化は副次的な効果ですが、ジャイアントセット法のメリットといえます。持久走などを他にしなくても、筋肉トレーニングで心肺機能を高められるわけです。
2-3.ダイエット効果もある
ジャイアントセット法は、一般的なトレーニングより脂肪燃焼の効果も高くなります。筋力アップと共に減量を行いたい場合は適しています。ボディビルダーが大会などの前に減量する際にも、ジャイアントセット法を取り入れることがあるようです。
2-4.トレーニングのマンネリを打開できる
毎日同じメニューの筋肉トレーニングを行っていると、マンネリ化して飽きてしまうこともありますよね。そんなときに刺激的かつ効果的なジャイアント法を組み合わせることでよいアクセントとなり、マンネリを打破することができるでしょう。筋肉トレーニングを行うやる気が最近なくなっているな、と感じる方は試してみてはいかがでしょうか?
3.ジャイアントセット法のデメリット
ジャイアントセット法は短い時間で高い効果があげられる魅力的なトレーニングですが、デメリットもあります。実際に行う際は、このデメリットもあわせてきちんと把握した上で行うようにしましょう。
3-1.他のトレーニングに比べてきつい
当然ですがジャイアントセット法は、一般的なトレーニングや上で紹介したスーパーセット法などと比較してもきついトレーニングです。特に筋肉トレーニング初心者の方は、ある程度トレーニングに慣れてから行うとよいでしょう。きつくてすぐにやめた、ということでは、いくらジャイアントセット法とはいえ成果をあげることはできません。
3-2.身体を痛める可能性がある
ジャイアントセット法は筋肉に高い負荷をかけるトレーニングなので、無理に行えば身体を痛める結果になってしまいます。また疲れと共に、トレーニング中の集中力や注意力が失われることがあるため、フォームがくずれるなどして思わぬ怪我につながる可能性もあります。自分の身体と相談しながら、少しずつ行うとよいでしょう。
3-3.筋肥大が目的ならもっと効果的なトレーニングがある
トレーニングの強度設定 | |||
---|---|---|---|
目的 | 強度(重量) | 反復回数 | インターバル |
神経の強化 | 100~93% | 1~3回 | 3~5分 |
筋力アップ | 90~85% | 4~6回 | 3分 |
筋肥大 | 80~70% | 8~12回 | 1~1.5分 |
筋持久力 | 60% | 20回 | 1分 |
筋線維が肥大化し筋肉が大きくなる状態を筋肥大といいます。マッチョな身体を作ることですね。効率的に筋肥大を狙うなら、一般的には8-12回が限界の重量でトレーニングを行うやり方が適していると言われています。
一方ジャイアントセット法では、複数の種目をインターバルなしで行う関係上、改めて後述しますがダンベルなどのウエイトを少なくしてもよいと言われています。そのため筋肥大が目的であれば、他のトレーニング法を実践した方が効果は出やすいというわけです。
とはいえ、ジャイアントセット法はあくまでトレーニングの中の1つですから、メリット・デメリットを理解した上で、筋肥大を目的とした他のトレーニングを組み合わせれば、特に問題はないでしょう。
また逆に怪我などをしていて、重いウエイトが使えない状態であれば、より軽いウエイトで効果を出せるジャイアントセット法を使い、かえって筋肥大の効果を高められるといった考え方もあります。
追記
1セット10回が限界のトレーニングと1セット30回が限界のトレーニングにおいて、最大筋力と筋持久力の点で差が出たものの、筋肥大効果はどちらも同じだったというデータが出ています。このデータから、低負荷でも限界まで追い込むことができるジャイアントセット法で十分に筋肥大を狙えるということになります。
3-4.共用のジムでは迷惑になる可能性がある
ジャイアントセット法では、複数の異なるトレーニングマシンや器具を使って行うことがあります。他の人と共有で使っている一般的なジムでは、同時に複数のトレーニングマシン・器具を1人で占有しにくいことから、そもそもジャイアントセット法を行うのを断られることもあるようです。
そのためジムが空いている時間を狙って行うとか、ダンベルだけ使うメニューを考えるなど工夫するのがよいでしょう。もしくは一度に行うトレーニングの種目が少ないスーパーセット法やトライセット法に切り替えるのも手です。
4.ジャイアントセット法のやり方・コツ
ここではジャイアントセット法を効果的に行うためにやり方やコツをご紹介。正しい認識で行うことで、このトレーニングの効果を高める上に、怪我などのリスクもおさえることができます。
4-1.どのくらいのウエイトを使えばよい?
ジャイアントセット法で重要となるポイントは、繰り返しになりますが「同じ筋肉の部位に対して4種目以上のトレーニングをインターバルなしで行う」ことです。そのため、利用するウエイトに関して最初はいつもより軽くしても大丈夫。無理に重いウエイトを使ってフォームを崩して正しく行えなければ、効果も薄れてしまいます。仮にいつもよりウエイトを軽くしても、ジャイアントセット法では、じっくりと筋肉の奥まできたえることができます。
4-2.どのくらいの回数・セット数を行えばよい?
1つずつの種目は10~15回程度行います。一見少ないように見えるかもしれませんが、仮に4種目続けて行えば、合計で40~60回になりますからかなりの負荷です。種目と種目の間でインターバルをとってもいけません。
あとは自分の身体と相談しながら、回数を調整してもかまいません。むやみに負荷をあげるよりも、「正しいフォームで怪我なくきちんと継続して行う」ことを重視して行うようにしましょう。
またセット数に関してですが、3セット程度を目安にしましょう。1セットだけでもかなりハードですから、最初から3セット連続行うのは難しいかもしれません。セット数も、はじめは少なくして、あとから増やすようにしましょう。
5.ジャイアンセット法のメニュー例
ジャイアントセット法のメリット・デメリットからやり方まで紹介しました。これまでの点を踏まえ、ここでは実際のジャイアントセット法のメニュー例をいくつか紹介します。この通り行ってもよいですし、慣れたらここで紹介した方法などを応用して自分なりにアレンジしてみて下さい。
5-1.ダンベルを使って上腕二頭筋を鍛える例
上述したように共用のジムなどでは、ジャイアントセット法を行うために複数の器具・マシンを1人で独占するのは難しいです。以下、ダンベル及びベンチを使って上腕二頭筋を鍛えるジャイアントセット法の例を紹介します。
1.ダンベルカール
2.コンセントレーションカール
3.ハンマーカール
4.インクラインダンベルカール
上記4つのトレーニングメニューのやり方は、
に詳しく記載してますので、気になった方はご一読ください。
また全身の様々な部位のジャイアントセット法を組んでみたい方は、サイト内の筋肉図から該当部位のトレーニングメニューを確認し、自分にあったメニューで組んでみると面白いと思います。
5-2.複数のマシン・器具を使って大胸筋を鍛える例
今度は複数のマシン・器具を使ったトレーニング例を紹介します。ジムでジャイアントセット法を実践する際の参考にしてください。(マシンや器具の種類をおさえて他の種目にしてもよいです。)
1.ベンチプレス(バーベル・ベンチ)
2.ダンベルフライ(ダンベル・ベンチ)
3.インクラインダンベルプレス(ダンベル・ベンチ)
4.ペックデック(マシン)
5-3.足の筋肉を集中的に鍛える例
できるだけ器具やマシンを使わないメニューで組んでみました。バーベルスクワットはダンベルスクワットにかえると自宅でも行いやすいかもしれません。
1.バーベルスクワット
2.ランジ
3.ヒップスラスト(ヒップリフト)
4.シ―テッドカーフレイズ
6.まとめ
ジャイアントセット法はハードなトレーニングですが、それに見合うだけの成果も期待することができます。ただし、無理に行うと怪我の原因にもなってしまいます。
無理のない範囲で、正しいフォームを意識して行うようにしましょう。普段のトレーニングがマンネリ化していたり行き詰まったりしたときに、このトレーニング法を試してみるのもよいのではないでしょうか。