[筋トレ]上腕三頭筋の鍛え方やおすすめメニュー[完全版]
腕を太くしたいなら上腕三頭筋を鍛えると良い、は筋トレ界の常識です。一般的には、腕を太くするためには上腕二頭筋に注目されることが多いです。上腕二頭筋の方が自分の目に入る位置にありますし、日常生活で何か持ち上げたりするときに使うのは上腕二頭筋だからです。しかし、実は上腕三頭筋は上腕筋の2/3を占めており、腕を太くしたいなら上腕二頭筋よりも上腕三頭筋がむしろ重要なのです。
1.上腕三頭筋とは
1-1.上腕三頭筋の構造
引用:Muscle Premium(Macアプリ)
上腕三頭筋は、「三頭筋」という名前の通り、長頭・外側頭・内側頭に筋腹が分かれています。位置関係としては、腕の内側に位置しているのが長頭、腕の外側に位置しているのが外側頭、長頭と外側頭の深層に位置しているのが内側頭です。
1-2.内側頭の位置
引用:Muscle Premium(Macアプリ)
三頭の中で最も深層に位置している内側頭を、長頭・外側頭が覆っています。(※この画像では長頭・外側頭を透明にしています)
1-3.上腕三頭筋の起始・停止
・内側頭・外側頭→上腕骨で起始し、前腕の尺骨で停止
・長頭→肩甲骨で起始し、前腕の尺骨で停止
内側頭・外側頭は肘関節しか、またいでいないので単関節筋になります。
長頭は、肩関節と肘関節の2つの関節をまたいでいるので、二関節筋になります。
1-4.上腕三頭筋はデカい!
「力こぶ」を作る上では上腕二頭筋を鍛える必要がありますが、腕を太くしたい場合は上腕三頭筋を鍛える必要があります。上腕三頭筋は上半身の筋体積ランキングでもかなりの上位に位置しています!
【上半身の筋体積ランキング】
- 三角筋(前部・中部・後部):792㎠
- 大胸筋(上部・中部・下部):676㎠
- ローテーターカフ(肩の深層筋):672㎠
- 上腕三頭筋(長頭・内側頭・外側頭):620㎠
- 広背筋(単体):550㎠
- 僧帽筋(上部・中部・下部):458㎠
- 上腕二頭筋(長頭・短頭):366㎠
- 上腕筋(深層筋):266㎠
上腕三頭筋620㎠ = 長頭(291㎠)+内側頭(92㎠)+外側頭(237㎠)
体の表面に位置している長頭と外側頭がデカいですね。特に腕の内側に位置し、三頭の中で唯一の二関節筋である長頭は肩甲骨から起始しているので長いこともあり筋体積も大きいです。
1-5.馬の蹄
引用:Muscle Premium(Macアプリ)
上腕三頭筋は長頭と外側頭が「腱」で区切られているので、筋肥大して盛り上がると馬の蹄のような形になります。
1-6.上腕三頭筋の役割
上腕三頭筋は、主に肘関節の伸展の動作で働きます。肘関節の伸展は、肘を伸ばす動作です。上腕二頭筋を収縮させて力こぶを作る場合は、肘を曲げますが(肘関節の屈曲)、その反対の動作を行う場合は上腕三頭筋が収縮します。腕立て伏せなど、肘を伸ばして押し出す動きなどは想像しやすいと思います。なので大胸筋を鍛えるプッシュアップ系の動作では、上腕三頭筋もサブで鍛えることができます。
日常生活では、うつ伏せの状態から起き上がる時やドアを押して開ける際に働きます。
スポーツでは、肘を伸ばして押し出すように物を投げる種目の砲丸投げややり投げ、格闘技やラグビー、アメフトなどのコンタクトスポーツでは相手を押し込んだり、パンチ力にも影響します。柔道でも投げ技などで相手を後ろから前に投げる際に使われます。
2.上腕三頭筋を鍛えるメリット
上述の通り上腕三頭筋は大きい筋肉ですが、これは足で考えるとわかりやすいでしょう。足で言えば、上腕三頭筋は大殿四頭筋と同じ位置にあります。そして、上腕二頭筋はハムストリングと同じ位置です。
足でも大殿四頭筋がハムストリングよりも圧倒的に大きいので、腕でも同じことです。人間は引っ張る筋肉よりも基本的に押す筋肉の方が強いのです。ただし、腕の場合特に日常生活では引っ張る筋肉である上腕二頭筋の方がよく使われるので、そちらが発達している人が多いです。
普段使わない分上腕三頭筋は発達していませんが、鍛えれば大きくなるので、ぜひ鍛えてください。そして、上腕三頭筋を鍛えると以下のようなメリットがあります。
- 腕が太くたくましくなる。
- 体型のバランスが良くなる。
- 小顔に見える。
- シンプルなファッションが決まる。
- 代謝、成長ホルモン分泌量アップ。
- 脳内の神経伝達物質が活性化。
- 押す力が強くなる。
以上のようなメリットがあるので、上腕三頭筋を鍛えると見た目にも体の健康にも精神的な健康にも効果的です。
1-1.腕が太くたくましくなる
繰り返しになりますが、上腕三頭筋は上腕二頭筋よりも大きいです。2倍程度の量と考えると良いでしょう。つまり、同じだけ鍛えると上腕二頭筋の2倍強くなり、全身の筋肉量もその分増えます。
太くたくましい腕になると自分に自信が付き、外見的にも良くなります。細い方が良いという意見もあるので一概に言えないかもしれませんが、筋肉を鍛えると肌が引き締まり顔つきも変わります。
もちろん腕が太くたくましくなることもメリットで、それによって見た目が良くなりますが、顔や全身が若々しくなるので、それによる見た目改善効果もあります。
1-2.体型のバランスが良くなる
上腕三頭筋が発達すると体型のバランスが整います。もちろん腕だけでなく肩や胸や背中の筋肉も必要ですが、顔とのバランスが取れるようになります。特に大人の男性の顔で筋肉が少ないと、幼児の身体におじさんの顔が乗っているような印象になります。
日本ではもちろん筋肉がないのも一般的な体型なのでそれで問題ないのかもしれませんが、トレーニング習慣のある海外の人からすると、幼児体型におじさんの顔だけ乗っているような印象を与えます。若くてイケメンならまだ良いのですが、顔がおじさんでイケメンではないのに細身のファッションだとバランスが悪くなりがちです。
ある程度筋肉をしっかりと付けることによって、全体のバランスが良くなります。特に上腕三頭筋は腕の一番大きい筋肉なので重要です。
1-3.小顔に見える
腕が太くなると相対的に顔が小さく見えます。肩回りの筋肉や大胸筋も重要ですが、同様に腕の太さも重要です。多くの人はぱっと見で無意識に相手の腕や肩回りの太さと顔を比較し、それによって顔が大きいか小さいかを判断します。
特に顔が大きいのに肩幅が狭くて腕が細いと余計に顔の大きさが引き立つのです。それだと非常にバランスが悪いので、肩回りや上腕三頭筋を鍛えて小顔効果を得るのが良いでしょう。
1-4.シンプルなファッションが決まる
上腕三頭筋を含め体の筋肉ががっしりしていると、シンプルなファッションが様になります。逆に体が細いとシンプルなファッションが似合いにくくなります。細身でもイケメンで手足が長ければ細身でシンプルなスタイルが似合うこともありますが、それは限られたイケメンのみでしょう。元の骨格が相当に良くないと難しくなります。
一般的な日本人は顔が大きく手足が短いことが多いので、筋肉がないと幼児体型になりがちです。その結果、何を着てもいまいち様にならないことが多いでしょう。重ね着でなんとか誤魔化すのも大変ですし、どれだけ布を重ねても誤魔化しきれない部分もあります。
重ね着でいろいろやるよりも、筋肉を付けてシンプルに着こなした方がファッションも決まりやすいと言えるでしょう。もちろん色々なスタイルがあるので一概には言えませんが、筋肉があるとそれだけでアクセントになります。
1-5.代謝、成長ホルモン分泌量アップ
体の大きい筋肉を鍛えることによって、全身の代謝、成長ホルモン分泌量アップの効果が期待できます。そして、上腕三頭筋は体の中でも大きい筋肉なので、全身に影響します。上腕三頭筋を鍛えて代謝や成長ホルモンを増やすと、全身の筋肉、骨、内臓、肌などに良い影響をもたらします。
人間の体は細胞分裂によって日々入れ替わっていますが、筋肉を鍛えることでそれが活発になるのです。そうすると、内臓も骨も肌も丈夫になります。便秘、下痢といった胃腸の問題解決や、肌荒れ改善効果も期待でき、筋トレのメリットは単純に筋肉が付くことだけではないことがわかります。
ただし、これらはあくまでも筋トレをして、しっかりと栄養を摂取している場合の話です。極端な糖質制限などをやっているとむしろ筋肉と一緒に肌や内臓の機能も破壊され、細胞分裂は滞ります。筋肉をしっかり鍛え、しっかりと食べることで体の機能は高まります。
1-6.脳内の神経伝達物質が活性化
代謝や成長ホルモン同様に、筋肉を鍛えると脳内の神経伝達物質も活性化します。これによって、前向きで活動的な脳にすることができるのです。脳を鍛えるには運動しかないと言っている学者もいるくらいで、脳の機能そのものを高めるには筋トレはかなり効果的です。
筋トレによってエンドルフィンやドーパミンやセロトニンの分泌量が増え、精神病のリスクも大幅に軽減されます。筋トレを習慣化することで日々脳を前向きに活性化した状態で生きることができるのです。
1-7.押す力が強くなる
上腕三頭筋を鍛えることで、後ろから前に引っ張ってくる力や、押す力を強くします。後ろから前に引っ張ってくる動作は日常生活はもちろん競技でも少ないかもしれませんが、押す力を使う機会は競技によってはそれなりに多いでしょう。
格闘技やラグビーなどのコンタクトスポーツでは上腕三頭筋は重要です。パンチ力や押し出す力が強くなるので、競技に必要な筋肉が強くなります。また、先ほど後ろから前に引っ張ってくる動作は少ないと書きましたが、柔道の手わざは後ろから前に持ってくる動作が多いです。
たとえば、柔道の背負い投げは釣り手も引き手も上腕三頭筋をフルに使います。
3.上腕三頭筋の鍛え方
上腕三頭筋を鍛える動きは、「肘を伸ばす」「手を押し出す」と覚えてください。
上腕三頭筋の長頭は、肩甲骨から起始し肩関節もまたいでいるので、肩関節の伸展動作でも鍛えることができます。
4.上腕三頭筋を鍛える自重トレーニング
自重トレーニングは、重りを使わず「自分の体重」を使ってトレーニングする筋トレ方法です。ダンベルやバーベルを使わないので怪我のリスクが低く、自宅で気軽にできる点がメリットでしょう。
しかし自宅や公園で一人で行う場合が多く、細かな重量調整や負荷調整がやりにくいので、初心者は比較的挫折しやすいトレーニング方法と言えます。
上腕三頭筋はプレス系の種目で鍛えることができるので、自重トレ種目は豊富にあります。
4-1.リバースプッシュアップ
リバースプッシュアップは、肩関節伸展+肘関節伸展の多関節トレーニングになります。
自重で手軽に上腕三頭筋に負荷を掛けることができます。負荷が足りない場合は、プレートをももに乗せて負荷を上げるなどの方法があります。
ディップスと負荷の掛かり方はほぼ同じですが、ディップスで前傾にすると大胸筋や三角筋への負荷が大きくなります。リバースプッシュアップはディップスで上体を起こしたフォームでのトレーニングとほぼ同じ負荷の掛かり方になります。
ベンチ台がなくても、自宅の椅子などでできますのでオススメです。
リバースプッシュアップのやり方セット数の目安:10レップ×3セット セット間のインターバル:1〜2分
- 両手を肩幅で椅子かベンチ台につき、両足を伸ばす
- そこから肘を曲げて、上体を沈める
- 脇を締めたまま両ひじを伸ばして上体を持ち上げる
リバースプッシュアップのポイント
- ・肩をすくめない
- ・脇を締める
- ・肘は90度まで曲げる
- ・胸は張った状態を保つ
4-2.ディップス(ナロー)
ディップスは、「上半身のスクワット」とも呼ばれるほど効果の高いトレーニング種目になります。リバースプッシュアップ同様肩関節伸展+肘関節伸展の多関節トレーニングになります。自重トレーニングのなかでは道具が必要な筋トレメニューなので、ジムで行うかディップススタンドなどを買って行う必要があります。
ディップスのやり方セット数の目安:10レップ×3セット セット間のインターバル:1〜2分
- ディップススタンドのグリップを肩幅程度で持つ
- 上体は前傾のまま、肘を90°まで曲げて上体を沈める
- 脇を締めたまま両ひじを伸ばして上体を持ち上げる
ディップスのポイント
- ・肩をすくめない
- ・脇を締める
- ・肘は90度まで曲げる
- ・胸は張った状態を保つ
4-3.ナロープッシュアップ
ナロープッシュアップとは、腕幅を狭めた腕立て伏せです。腕幅が広いと大胸筋への負荷が強くなりますが、腕幅が狭いと三角筋や上腕三頭筋への負荷が大きくなります。ちなみに、腕幅が普通くらいのノーマルプッシュアップは大胸筋、三角筋、上腕三頭筋にバランスよく負荷が掛かります。
特に上腕三頭筋を鍛えたいのであれば、ナロープッシュアップがおすすめです。しかし、プッシュアップ自体負荷が少ないので、慣れてきたらより負荷の大きい筋トレに切り替える必要があるでしょう。
ナロープッシュアップのやり方セット数の目安:15レップ×3セット セット間のインターバル:1〜2分
- 両手を肩幅より狭くつき、上体を深く沈める。
- 姿勢をまっすぐ保ち、上体を持ち上げる
ナロープッシュアップのポイント
- ・頭を垂れ下げない
- ・手幅が狭いほど上腕三頭筋に負荷がかかりやすい
4-4.片手プッシュアップ
片手プッシュアップは両手で行うプッシュアップよりも負荷が大きく、また腕に負荷が掛かりやすいです。逆に大胸筋への負荷は小さくなります。なぜかというと、片手でプッシュアップを行う場合、体の中心に近いところに手を付かないとバランスが取れないからです。
つまり、片手プッシュアップで手を付く位置はナロープッシュアップに近いのです。相当に筋力が強ければワイドプッシュアップで手を付く位置に片手を付いてプッシュアップできるかもしれませんが、難易度はかなり高く、もはや曲芸の領域です。
普通に片手プッシュアップすればナロープッシュアップのときの同じ部位により強い負荷が掛かるので、三角筋と上腕三頭筋の強化に向いています。
片手プッシュアップのやり方セット数の目安:左右10レップ×3セット セット間のインターバル:1〜2分
- 片手に重心をのせ、上体を深く沈める。
- 姿勢をまっすぐ保ち、上体を持ち上げる
片手プッシュアップのポイント
- ・頭を垂れ下げない
- ・足幅を大きく開くとバランスが取りやすい
4-5.逆立ち腕立て伏せ
片手プッシュアップで満足できなくなった方には、逆立ち腕立て伏せがオススメです。肩トレの王道ダンベルショルダープレスの自重版の動作なので、メインは三角筋ですが、肘関節伸展の動きが入っているのでサブで上腕三頭筋にも効きます。逆立ち腕立て伏せも普通の腕立て伏せと同様に手幅を狭めると上腕三頭筋の関与が大きくなります。
まずは壁ありの逆立ち腕立て伏せで徐々に筋力強化をし、壁なしにチャレンジしていってください。
逆立ち腕立て伏せのやり方
セット数の目安:10レップ×3セット セット間のインターバル:1〜2分
- 壁に寄りかかり倒立する
- その状態から肘の屈曲・伸展を繰り返す
4-6.自重トレの最終目標?プランシェ
プランシェは最高難易度の自重筋トレですが、三角筋、上腕三頭筋、大胸筋、脊柱起立筋、広背筋などに負荷が掛かります。特に三角筋と上腕三頭筋への負荷は大きいので、おすすめの筋トレメニューになります。
プランシェの練習法はいくつかありますが、腕立て伏せから足を徐々に上げていく方法や、逆に逆立ち腕立て伏せから徐々に足を下ろしていく方法などがあります。逆立ちから足を下ろしていく方が効率的に筋トレしながらプランシェの練習もできますが、腕立て伏せから足を挙げていく方法の方が、プランシェの練習としては簡単かもしれません。
5.上腕三頭筋を鍛えるウエイトトレーニング
ウエイトトレーニングはダンベルやバーベルなどの重りを使った筋トレ方法です。
上腕三頭筋を鍛えるウエイトトレーニングメニューは、フォームが難しいものが多いので、まずは重り軽めでフォーム習得を優先しておこないましょう。間違ったフォームで行うと肘を痛める危険性がありますので注意してください。
5-1.ナローベンチプレス
https://youtu.be/Z83v3dI6yQ8?t=1m52s
ナローベンチプレスはナロープッシュアップと同様に、上腕三頭筋メインで、サブで大胸筋、三角筋前部に効きます。普通のベンチプレスやプッシュアップでは大胸筋にメインで負荷がかかります。
ナローベンチプレスはベンチプレスのついでに行えますし、上腕三頭筋トレーニングの定番と言えます。もちろんナローにしなくても十分に上腕三頭筋にも負荷が掛かるので、普通のベンチプレスでも問題ありません。
ナローベンチプレスのやり方セット数の目安:10レップ×3セット セット間のインターバル1分
- ベンチに寝て、肩幅よりやや狭い手幅でバーベルを持つ
- 胸を張って両ひじを曲げバーベルを下ろす
- 胸を張ったまま両ひじを伸ばしバーベルを上げる
ナローベンチプレスのポイント・バーベルの持ち方はサムレスグリップ
- ・胸に下ろす際は、拳一つ分ほどあける
- ・胸でバウンドさせると負荷が軽くなる
- ・脇を締めすぎると高重量が扱えない
- ・脇をあけすぎると大胸筋に負荷が逃げてしまう
5-2.トライセプス・キックバック
キックバックは上腕三頭筋を使ってダンベルを後ろに振り上げる筋トレメニューです。肩関節伸展の状態をキープして、肘関節伸展の動作を行います。上腕三頭筋の内側頭と外側頭をメインで鍛えることができ、長頭もサブで鍛えられます。
トライセプス・キックバックのやり方セット数の目安:左右10レップ×3セット セット間のインターバル1分
- ベンチ台や椅子に片手片膝をつけて、上体を台に水平に倒す
- もう片方の手でダンベルを持ち、肘を90°に固定する
- 肘を90°に固定したまま、肘関節を伸ばす
- 伸ばしきったら、ゆっくり元に戻す
トライセプス・キックバックのポイント・体をねじって胸を開かない
- ・反動を使わない
- ・肘の位置を動かさない
5-3.ライイング・トライセプス・エクステンション
ライイング・トライセプス・エクステンションも上腕三頭筋にピンポイントで負荷を掛けることができる筋トレメニューです。バーベルを降ろす位置を頭頂部に持ってくることで、肩関節の屈曲・伸展の動作も入り、長頭を中心に上腕三頭筋全体に強い負荷をかけることができます。動画ではバーベルを用いていますが、ダンベルで行うことも可能です。
フォームがやや難しいため上級者向けのトレーニング種目になります。間違ったフォームで行うと肘関節を痛めやすいので、自分でコントロールできる重量で行いましょう。
余談ですが、トライセプスは上腕三頭筋の意味です。トライセプスキックバックも名前にトライセプスが付いていますが、上腕三頭筋を使って後ろに蹴り上げるように腕を上げるからそのような名前になっています。
トライセプス・エクステンションのやり方セット数の目安:10レップ×3セット セット間のインターバル1分
- ベンチ台で仰向けになり、EZバーを狭い手幅でハの字に握る
- 肘を曲げて、頭頂部に向かってバーを下ろす
- 肘を伸ばしてバーを上げる
トライセプス・エクステンションのポイント・肘は閉じておこなう
- ・バーを下ろす際に顔に近づけすぎると危険
5-4.フレンチプレス
フレンチプレスも上腕三頭筋の定番トレーニングメニューです。上腕三頭筋をピンポイントで鍛えることができるので、特に上腕三頭筋を大きくしたい人にはおすすめです。ただし、ピンポイントで負荷が掛かる分他の筋トレメニューをバランスよく組み合わせないとアンバランスな筋肥大になります。
広範囲に負荷が掛かる筋トレメニューはそれだけやっていても案外バランスよく筋肥大しますが、ピンポイントで負荷が掛かる筋トレメニューは気を付けないとアンバランスになるので、その点は注意してください。
フレンチプレスのやり方セット数の目安:10レップ×3セット セット間のインターバル1分
- シートやベンチ台に座り、両手でダンベルを頭上に持ち上げる
- そのまま肘を固定し、90度に肘を曲げる
- 肘を伸ばしスタートポジションへ
フレンチプレスのポイント・背筋をのばし、胸を張った状態で行う
- ・肘の位置は固定
6.上腕三頭筋を鍛えるチューブトレーニング
上腕三頭筋はチューブトレーニングとの相性が良いです。チューブはネットで安く購入することができ、また場所も取りません。チューブの持つ位置や踏む位置で負荷の調整もやりやすいので、自分の筋力に合わせた筋トレがしやすいです。
6-1.チューブフレンチプレス
チューブフレンチプレスはダンベルフレンチプレスと同じ負荷の掛かり方で、ダンベルを使うかチューブを使うかの違いです。
チューブフレンチプレスはゴムチューブがあれば自宅で気軽にトレーニングできますし、負荷の調整も楽なので効率的と言えるでしょう。
6-2.チューブキックバック
チューブキックバックはトライセプス・キックバックをダンベルを使ってやるのと同じ効果を得ることができます。
7.上腕三頭筋を鍛えるマシントレーニング
マシントレーニングは文字通りマシンを用いるトレーニングです。負荷の調整もしやすく、安全に扱えるので、初心者にもオススメのトレーニング方法です。上腕三頭筋を鍛えるマシントレーニングは種目数が少ないので今回は1つだけ紹介します。
7-1.プレスダウン
プッシュダウンは上腕三頭筋にピンポイントで負荷が掛かるマシントレーニングです。マシンなら負荷の調整が簡単ですし、怪我のリスクも低いです。ジムのマシン設備が充実しているのであれば、ダンベルやバーベルよりもマシンがおすすめです。
プレスダウンのやり方セット数の目安:10レップ×3セット セット間のインターバル1分
- ケーブルの起点を高くセットする
- 脇を締め、バーを上からかぶせるように持つ
- 両ひじの位置を固定したまま、肘を伸ばしバーを押し下げる
プレスダウンのポイント・脇を締める
- ・肘の位置は固定
- ・バーの場合、握り方はサムレスグリップ
- ・肘から先だけを動かす
8.上腕三頭筋は大胸筋とのセットアップトレーニングがおすすめ
上腕三頭筋のトレーニングメニューを紹介してきましたが、上腕三頭筋をピンポイントで鍛えるメニューと、プレス系のベンチプレスなどの種目では大胸筋をメインターゲットにしつつ上腕三頭筋を鍛えるメニューがありました。
そして、特に筋肥大が進んでいないうちは大胸筋とセットアップで鍛える方法がおすすめです。上腕三頭筋をピンポイントで鍛えるよりもまずは大きい筋肉を鍛えて体を大きくしていくことが優先なので、上腕三頭筋をピンポイントで鍛えるのはある程度筋肥大が進んでからの方が良いでしょう。
ある程度全身の筋肥大が進んだタイミングで、上腕三頭筋が弱いと感じるならピンポイントで鍛えるのがおすすめです。筋肥大があまり進んでいないタイミングでは、ピンポイントで鍛えるメリットがあまりありません。変に一部分だけ発達してしまったりすることもあるので、全体的に負荷を掛けることを優先してください。
筋肉を見てどの部位が発達していて、どの部位をさらに発達させるとバランスが良い、といったことがわからないのにピンポイントで鍛えてもいまいち全身が大きくなってきません。まずは全身を大きくし、そこから上腕三頭筋が足りないならピンポイントで鍛えるようにしてください。
9.上腕三頭筋のサンプルトレーニングメニュー
まずは、怪我の予防のためストレッチや軽めのランをおこないましょう。
1.ナローベンチプレス(ミッドレンジ種目):10レップ×3セット
2.ライイング・トライセプス・エクステンション(ストレッチ種目):10レップ×3セット
3.プレスダウン(コントラクト種目):10レップ×3セット
10.筋肥大には食事も重要
10-1.タンパク質だけではダメ
筋トレしたら筋肥大するというわけではなく、栄養が必要不可欠です。そして、当たり前ですがタンパク質だけでなく糖質や脂質もないと筋肥大しません。
「筋トレしてプロテインも飲んでいるのに筋肉が大きくならない」という場合だいたいは糖質や脂質が不足しています。特に糖質が不足していることが多いでしょう。炭水化物をしっかり摂取しないとそもそものカロリー摂取量が不足しますし、炭水化物の不足はタンパク質の消化吸収効率を低下させます。
そういう意味では、筋トレにおいて一番重要なのはタンパク質よりもむしろ炭水化物と言えるでしょう。タンパク質は体重の2倍分のg数摂取する必要があると言われますが、炭水化物の量を増やしていれば自然とタンパク質は必要量を満たすことが多いです。
脂質も必要ですが、極端にカットしない限りは必要量摂取できる場合が多いでしょう。つまり、筋トレをしたら炭水化物をしっかりと摂取することで筋肉が大きくなります。タンパク質ばかりに気を取られていると筋肥大できない原因になるということですね。
10-2.糖質制限と筋肥大
減量したいときは糖質制限など行うかもしれませんが、糖質制限中は基本的に筋肥大は難しいと思っておいて間違いありません。糖質制限しながらでは、いくら上腕三頭筋に効く筋トレを行っても大きくはなりません。
糖質制限しながらの筋トレはあくまでも脂肪と一緒に筋肉が落ちてしまわないようキープすることが目的なので、上腕三頭筋を大きくしたいならしっかりと筋肥大するためにオーバーカロリーの状態にするということになります。
ただし、もともと太っている人は糖質制限しながら筋トレしてもある程度筋肥大します。脂肪がエネルギー源になるので、筋肉を生成するための栄養が確保されるからです。もともと筋肉質な人や細い人が糖質制限しながら筋トレすると筋肉量を維持したままさらに絞られていきます。
増量したいのか減量したいのか、それとも体重は変えずに筋肉質にしていきたいのか、そういった目的をあらかじめはっきりさせて食事や筋トレを考えていってください。目的に合った食事や筋トレを行えば、狙った通りのボディメイクが可能ですよ!
10-3.鍛えた効果を最大限発揮しよう!
多くの時間と体力、お金を使って、せっかくジムで鍛えても、トレーニング方法や食事内容が間違っていれば、そのトレーニングが全て無に帰す可能性もあります。正しいトレーニング・休養・食事で効率よくボディメイクしていきましょう。
下記項目は筋肉が分解されてしまう可能性大!気をつけましょう!
せっかく鍛えた筋肉が分解される原因
- ハードすぎる筋トレ
- 食事制限による栄養不足
- 強いストレス
11.まとめ
上腕三頭筋を鍛えるメリットや具体的な方法を紹介してきました。筋トレは全身のトータルバランスが重要なので、上腕三頭筋だけに着目するのではなく、他の部位とセットで鍛えることも考えると、筋トレが効率的になります。
ただし、全身の筋肉がすでにしっかりと筋肥大しており、そのうえで上腕三頭筋が足りないと感じるなら上腕三頭筋をピンポイントで鍛えるメリットがあります。また、上腕三頭筋に限らず筋肥大するためにはオーバーカロリーの状態が必須です。
もともと太っている人は脂肪が燃料になって筋肥大しますが、そうでない人は食事でオーバーカロリーの状態になっていないと、いくら鍛えても全身は細くなっていってしまいます。食事と筋トレを考えて行い、自分の理想の体へボディメイクしていきましょう!
イラスト/ハヤシナオユキ