筋トレやダイエットに休養・休息が必要な理由と効果的なとり方
筋トレやダイエットは休養・休息を取らないと効果が落ちるだけでなく、肉体的にも精神的にもデメリットが生じます。そのため、休むことが必須ですが、上手な休み方というのもあります。休みが義務のようになるとかえってストレスがたまるようなこともあるので、ルールにこだわるよりも自分の体調・精神状態と相談するのがおすすめです。ここでは、筋トレやダイエットに休養・休息が必要な理由と効果的なとり方を紹介していきます。
1.筋トレやダイエットで休まないとどうなる
ダイエットは方法によって具体的な休み方は変わってきますが、休みが必要なことには変わりありません。そして、筋トレに関しては一定のルールがあります。超回復の理論などがあるので、詳しくは後述します。
1-1.筋トレで休まないデメリット
その前に、特に筋トレにおいて休まないとどうなるかを挙げていきます。
デメリット
・筋肉が回復しなくなる。
・筋疲労でパフォーマンスが低下する。
・関節を傷める可能性がある。
・精神的負担になり、挫折する可能性がある。
他にもあるかもしれませんが、少なくとも上述のような肉体的・精神的デメリットがあります。肉体的には筋肉が傷めつけられる一方で回復するタイミングがなくなることが問題です。肉体的疲労がたまった結果、精神的苦痛にもつながるでしょう。
1-2.ダイエットで休まないデメリット
同様に、休みなく過度なダイエットを行うと以下のようなデメリットが生じます。
デメリット
・体が飢餓状態に陥る。
・飢餓状態になった結果、代謝が落ちて痩せにくくなる。
・糖質制限をすると脳の働きが落ちる。
・ケトン体体質になると体臭がきつくなる。
・栄養不足で体調不良になる。
・空腹がつらく、反動でドカ食いしてしまう可能性がある。
・食事制限後に食べると、必要以上に脂肪を蓄えやすくなる。
などのデメリットがあります。過度なダイエットを行うと肉体的にも精神的にもデメリットがあるので、カロリー制限しすぎない、たまには甘いものや好きなものを満足するまで食べる、といったバランス感覚が必要です。
1-3.休むことも筋トレやダイエットの一部
何事も休養・休息を取らずに行えばデメリットがありますが、筋トレやダイエットに関しては特に追い込めば良いというものではありません。ある意味、休むこともメニューに組み込むべきで、休むことも筋トレやダイエットの一部とも言えます。難しく考えてかえってストレスをためる必要はありませんが、厳しく言えば、休むことは義務です。
極端な言い方をすれば、休まないで筋トレやダイエットを行うことは、自傷行為のようなものです。筋トレやダイエットは体にメリットのあることですが、行き過ぎるとデメリットの方が際立ちます。
2.筋肉の休ませ方は人それぞれ
筋トレやダイエットで休まなかった場合のデメリットをざっと紹介しましたが、筋トレでどのようにメニューを組むかは人それぞれで、隔日で行う人もいれば、部位ごとに分けることで毎日筋トレしている人もいます。同じ部位を二日連続トレーニングする人もいますが、それが必ずしもダメなわけではありません。
実際のところ、筋トレでどのくらい休めば良いのかは、体の状態や筋トレ強度によって変わります。しかし、休養度合いの大小はあれ、どの強度のトレーニングでも「休む」というフェーズは必ず必要です。
「休む」という過程がなければ、筋トレにおいて筋肥大や筋力UPは起こりません。その点について「超回復」という観点から解説していきます。
3.超回復の基礎知識
筋トレに休養が必要な理由には「超回復」という概念が深く関わっています。ここでは、筋トレ後の超回復による筋肥大・筋力UPの流れを見ていきましょう。
引用:肉体改造研究所
超回復の流れ
1.筋トレで筋肉が損傷(警告反応期・疲労期)
2.筋繊維の修復や疲労の回復(抵抗期・回復期)
3.今回受けた損傷に耐えられるように、以前より少しだけカラダを強くつくる(超回復期)
3-1.疲労期
筋トレをすると、多かれ少なかれ筋肉が損傷します。筋繊維が損傷する事で、カラダが警告を発します。これが筋肉痛です。この状態は警告反応期や疲労期とも呼ばれ、一時的に身体能力の低下が起こります。
3-2.回復期
筋損傷などの外的ストレスに反応して、カラダは損傷した筋繊維を修復します。その際にたまった疲労の回復や筋肉痛の緩和など元のパフォーマンスレベルにカラダの状態を戻します。
3-3.超回復期
回復期で適切な休養や栄養補給を行なった場合、カラダの修復過程で以前より少しだけ身体レベル・能力を向上させて、次の外的ストレスに向けて備えます。この現象が「超回復」です。これにより、筋肥大・筋力UPはもちろん、次回同じ強度のトレーニングを行なった場合に、疲れにくくなったり、筋肉痛も起こりにくくなります。
3-4.オーバートレーニング
超回復は、回復期で「適切な休養や栄養補給を行なった場合」に限り起こります。では、適切な休養や栄養補給を行なわなかった場合はどうなるのでしょうか。
これは、トレーニング強度に休養レベルが追いついていない状態です。
この状態になると、カラダを修復する材料や環境が整わないので、筋損傷は修復されず筋肉痛や疲労も回復されません。身体能力は低下したままになります。筋トレしているにも関わらず、一向に筋肥大や筋力がUPしない人は、この状態の人がほとんどです。
4.超回復を起こす重要な要素
4-1.適切なトレーニング強度
「適切なトレーニング強度」とは、カラダが外的ストレスだと認識できるレベルの筋損傷を生じさせる強度のことです。回復が追いつかないほどのハードトレーニングは良くありませんが、回復させる必要があまりないほどの強度のトレーニングも良くありません。
超回復が起これば起こるほど、筋トレにおける筋損傷など刺激への耐性が高まるので、強度も常に上げていく必要があります。同じ強度のトレーニングを続けていると筋肥大や筋力向上も止まります。
4-2.適切な休養と栄養補給
次に「適切な休養」ですが、超回復の説明の項と繰り返しになりますが、筋肥大や身体能力の向上は回復期・超回復期に起こります。
決して「トレーニングしている時」にパフォーマンスレベルが向上しているわけではありません。筋トレをしたら、その筋トレをしているときに筋肉がついているのではなく、その後休んだり、栄養を摂ることで筋肉がついてきます。
ここは勘違いしやすいポイントなので、しっかり頭に入れておきましょう。この点を考えると、いかに休養が大切かが理解できると思います。
5.自分の筋肉の状態を把握する
筋トレにおける休養の重要性を「超回復」の観点から説明しましたが、どの程度の強度で鍛えて、どの程度の休養が必要かは人によって変わってきます。
5-1.トレーニング強度の調整
世界でもトップクラスのボディビルダーや、それに付随するレベルで筋肥大している人は、筋肉の部位別で鍛えるスプリットトレーニングと1日に全身鍛えるメニューを自分好みに組み合わせているケースが多いです。自分の筋肉の状態や、どこの部位をどれくらい鍛えると発達するかを正確に把握しているので、トレーニング強度などをうまく調整できます。
同じ部位の筋トレを毎日行っても良いですが、筋疲労のためすぎや、回復する間もないほど追い込むのは間違いです。
5-2.今自分の筋肉に必要なのは破壊か回復か
超回復などの理論的なことを知っていることはもちろん重要ですが、最終的には自分の筋肉と相談することになります。自分の筋肉の状態は自分が一番把握し、今自分の筋肉に必要なのは破壊か回復かを考えます。連日でも余裕があるなら筋トレすれば良いですし、逆に何日か休んでも筋肉が傷むのなら筋トレを控えた方が良いでしょう。
体調やその他諸々の状況によって筋疲労の回復が早いときもあれば遅いこともあります。一概に何日休めば良い、何日以上は休まない方が良い、というものではないので、自分の筋肉の状態を把握することが何より重要です。
6.ダイエットで追い込みすぎるとどうなる?
ダイエットで過度に追い込んだときのデメリットは上にも挙げた通りですが、もう少し詳細に解説します。しかし、筋トレよりもダイエットの方が日本では浸透しているので、知っている人も多いかもしれません。
6-1.食事制限と飢餓状態
ダイエットは有酸素運動、無酸素運動、食事制限などの方法がありますが、ここでは食事制限について説明します。無酸素運動は上述の筋トレの説明の通りですし、有酸素運動に関しても筋トレとほぼ同じです。
運動に関しては、理論も重要ですが、自分の筋肉の状態と相談する、ということでした。食事に関しては摂取カロリーや栄養バランスの目安があるので、よりわかりやすいです。自分の胃袋の状態と相談することも重要ですが、食べない状態に慣れてしまうと体が飢餓状態に陥り、むしろ体が食べ物を受け付けない状態になることもあります。
6-2.飢餓状態とは
ダイエットの際の食事は「消費カロリー>摂取カロリー」の状態が基本ですが、極端に摂取カロリーが少ないと体が飢餓状態になります。飢餓状態になると脳や体の機能が低下し、省エネモードになります。
人間は原始時代、もっと言えば猿の時代から身体の機能はそれほど変わっていませんが、昔は飢餓の可能性が常にありました。食料が確保できなくなった人間の身体は、なるべく活動量を落とし、脂肪を蓄えようとするのです。
体を省エネモードにして脂肪を蓄えることによって、食料がない状態でも生存期間を伸ばしています。人間の体は飢餓対策をもともと備えていますが、ダイエットにおいてはこの機能がマイナスに作用します。ダイエットを頑張りすぎると脳と体の機能が落ちて省エネモードになるので、脂肪が燃焼しにくくなります。
結果的に痩せにくくなりますが、さらに飢餓状態で食事をとると必要以上に脂肪として蓄えます。昔は飢餓状態で食事を一時的に摂ることができても、次にいつ食べられるかわからない環境でした。そのため、少ない食事でもなるべく脂肪を蓄え、次なる飢餓に備えていたのです。今でも人間の体はその機能が残っているので、それがリバウンドの原因になることも多いです。
6-3.ストレスとリバウンド
また、体の問題だけではなく、精神的な問題もあるでしょう。ダイエットで過度にカロリー制限すると、精神的にもストレスがたまります。ストレスがたまるとドカ食いしてしまう可能性がありますが、飢餓状態でもドカ食いするという最悪の事態を招きます。
ダイエットで無理をすることによって、肉体的・精神的にリバウンドしやすい状況を作っています。飢餓状態の体にいつドカ食いしてしまうかわからない精神状態ということなので、まさにリバウンドの危険性と隣り合わせと言えるでしょう。
食事制限を頑張れば頑張るほど、肉体的にも精神的にもリバウンドしやすい状態になります。また、食事は必ず摂取する必要があるので、食事制限し過ぎると少ない食事でも結局は脂肪として蓄えられやすくなります。
6-4.飢餓状態にならないカロリー収支の目安
消費カロリーと摂取カロリーはカロリー収支-500くらいにしておくと、無理のない範囲でダイエットできます。運動していればある程度しっかり食べても痩せていくことが多いので、食事制限にこだわる必要はあります。
7.筋トレやダイエットを成功させる方法
7-1.一番大切なことは継続すること
筋トレにしてもダイエットにしても同じですが、一番大切なことは継続することです。筋トレもダイエットも1日だけハードに行っても効果はありません。1日だけ頑張ってもまったく意味ないと言えます。1日だけでなく、1週間、1カ月だけ頑張ってもあまり意味はありません。
特に筋トレは効果が出始めるのは3カ月からで、3カ月頑張っても辞めるとすぐに元に戻ってしまいます。ダイエットも3カ月程度は最低でも頑張る必要があり、できればそのまま継続した方が良いです。
つまり、最初から継続できないことをしても挫折するだけで、マイナスにしかならないのです。継続できないような無理をして、自分には筋トレは無理だ、ダイエットは無理だ、と思ってしまえばトラウマだけが残ります。そうなってしまっては本当にもったいないので、ゆっくりでも良いので継続できる取り組みが必要です。
7-2.自分のペースで楽しみながらやる
「そんな筋トレでは筋肉は付かない」「そんなダイエットでは痩せない」といったことを言う人がいますが、気にする必要はありません。小さな取り組みから体と精神を慣らしていけば良いのです。
たとえば、最初は1日10回の腕立て伏せから始めたとしても、やらないよりは確実に良いですし、やっているうちに肉体的にも精神的にも筋トレに慣れてきます。そうすると、無理なく1日30回の腕立て伏せができるようになり、今度はスクワットも取り入れてみようか、もっと強度の強い筋トレメニューをやってみようか、といったことになります。
逆に、いきなりジムでベンチプレスをやろうとしても、「きつい」「筋肉痛がつらい」といったことになり、挫折してしまうかもしれません。上にも書きましたが、継続することが一番大事です。無理なくやっていれば継続することも難しくないですし、自分のペースで楽しみながらやっていれば、好きで継続します。
7-3.脳が変わる。
好きこそものの上手なれ、とよく言われますが、筋トレもダイエットも同じです。特に筋トレははまってくると脳も変わってきます。無理なく楽しく筋トレしていると、セロトニンやドーパミンが分泌されるようになるので、ほっといても筋トレがやりたくなります。
最初は10回の腕立て伏せからであっても、継続していれば楽しくレベルアップしていけるのです。最初に無理して挫折しては元も子もないので、徐々に慣らしていくようにしてください。
7-4.ダイエットも「すこしずつ」がキーワード
ダイエットも同じで、いきなり過度な食事制限や運動をするのではなく、少し食べる量を減らす、少し運動する、といったことから始め、継続してくことが重要です。
ダイエットは食事制限だけにこだわるのではなく、ある程度しっかりバランスの良い食事を心掛けつつ、無酸素運動と有酸素運動を組み合わせるのがおすすめです。
8.まとめ
筋トレもダイエットも継続することが一番大切なので、無理なく休み休みやるということでした。肉体的にも精神的にも追い込むメリットはあまりなく、徐々に調整していくと良いです。
筋トレは特に自分の体の状態と相談しながら休息を入れるのが基本で、理論に捉われすぎないことが重要です。ぜひ楽しみながら無理なく取り組んでください。