筋トレにおけるウォーミングアップとクールダウンの基礎
みなさん、筋トレの前後にウォーミングアップやクールダウンはしっかりされてますか?
意外に怠りがちなウォーミングアップやクールダウン。ここでは、筋トレの前後にウォーミングアップやクールダウンを行う目的やメリットを解説、あわせてそれぞれのサンプルメニューを紹介していきます。しっかり意味を理解すれば、ウォーミングアップ・クールダウンを行うモチベーションもアップするでしょう。
1.筋トレでのウォーミングアップの目的・メリットは?
ウォーミングアップの目的やメリットを知らないと、何の準備もなく筋トレを始めてしまいがち。ここでは筋トレをする際になぜウォーミングアップをするべきかを解説します。目的やメリットを理解して、筋トレ前にしっかりウォーミングアップするようにしましょう。
では早速、筋トレでのウォーミングアップの主な目的・メリットを以下に挙げます。
1-1.効率をあげる
ウォーミングで筋肉をほぐし可動域を拡大しておくことで、筋トレの効率をあげることができます。背中の筋肉を鍛える場合は肩甲骨の可動域が必要で、スクワットを行う場合は股関節の可動域が必要です。
1-2.ケガを予防する
筋肉を温めてから筋トレを行うことで、カラダがスムーズに動くのでケガを予防できます。
1-3.心の準備をして集中力を高める
軽い運動のウォーミングアップを行うことにより、心身をリラックスさせ筋トレを行う際の集中力を高めます。
1-4.フォームを確認する
筋トレのフォームをゆっくりと確認することで、正しい動作で筋トレを行うことができます。
1-5.自分のコンディションを確かめる
ウォーミングアップで軽く動くことで、筋トレに際して自分のコンディションがどうかチェックできます。体調次第で、筋トレのメニューを減らしたり増やしたりするのもよいでしょう。
2.筋トレでのウォーミングアップのサンプルメニュー
筋トレをする際のウォーミングアップでは、身体を軽く温め筋肉をほぐすことと、関節や筋肉の可動域を広げることを意識するようにしましょう。それによって、ウォーミングアップの効果を十分にいかすことができます。
ウォーミングアップではまず、身体を温めるために5~10分程度、軽いウォーキングやジョギングを行います。そんなに長い時間や速いスピードは必要ありません。身体が少し汗ばむ程度で十分です。
ジムであればルームランナーを使ってもよいでしょう。自宅内で、ウォーキングをしに外へ出るのが面倒なら、階段などの段差を使ったり専用の器具(安価で販売されています)を使ったりして踏み台昇降をするだけでも効果があります。それが終わったらストレッチを行います。
2-1.ウォーミングアップに適したストレッチの例
筋トレをする際のウォーミングアップでは、筋肉をしっかりほぐせる静的ストレッチより適度にほぐせる動的ストレッチの方が適しているといわれています。関節や筋肉の可動域を必要以上に広げることにより、筋トレでのケガのリスクを高めることがあるからです。以下、筋トレでのウォーミングアップ時におすすめの動的ストレッチの例を紹介します。
ちなみに日本人にはなじみ深いラジオ体操も動的ストレッチの一種です。慣れている方はラジオ体操でも構いません。
2-2.新しい種目を行うごとに行うとよいウォーミングアップ
筋トレをする前だけでなく、筋トレで新しい種目ごとにウォーミングアップするのもおすすめ。このときのウォーミングアップと言ってもストレッチなどではありません。本来の1/3~1/4の重量を用いていつも通りの筋トレを行います。
軽い重量を使うことでフォームを確認するとともに、筋トレする際の集中力を高める効果も。このウォーミングアップは、それぞれの種目について10回1セット程度行うとよいでしょう。
3.筋トレでのクールダウンの目的・メリットは?
筋トレを終えた後はシャワーでも浴びてゆっくり休みたいのが心情。しかし、そこをちょっと我慢してクールダウンを行うようにしましょう。クールダウンの目的・メリットは以下の通りです。
3-1.疲労からの回復が早くなる
急に運動するのをやめてしまうと、筋肉中の血液の流れが滞ってしまい、疲労がたまりやすくなります。クールダウンによって、疲労軽減効果があります。
余談
運動を行うことで疲労物質とも言われる乳酸が筋肉に蓄積するので、クールダウンをすることでこれを取り除けるため、疲労が回復するのが早くなると言われてきました。これは間違いでもあり、正しくもあります。
乳酸は、以前は疲労の原因物質であると言われていましたが、それは間違いで乳酸もエネルギー源になっているという事が最近の研究でわかってきました。
しかしココに問題があります。詳しく説明すると、その内容で1記事まるまる出来るほどの説明量になってしまうので割愛しますが、グルコース(血糖)をエネルギー化する過程でビタミンB1や酸素が足りない状態だと乳酸が生成され、溜まっていきます。
そうなると、カラダはどうするかというと、たまった乳酸をもう一度グルコース(血糖)に戻して、エネルギー生成のスタート地点に返します。
この乳酸をグルコースに戻す過程でエネルギーを大量に使ってしまうので、間接的に疲れやすくなってしまうという事です。
3-2.筋肉痛が起こりにくくする
疲労回復とも共通しますが、筋トレで硬くなった筋肉をほぐすことで、血流が良くなります。血流が良くなると、体内循環が活発になるので、栄養の運搬・老廃物の排出スピードが上がります。この結果、筋肉痛の緩和に繋がります。
「疲労軽減・筋肉痛の緩和」がクールダウンの主な目的・メリット。回復が早ければ、それだけ翌日以降の筋トレもしやすくなり、結果的に効果もあがりますね。
4.筋トレでのクールダウンのサンプルメニュー
クールダウンでは、ウォーミングアップと同様に5~10分程度の軽いウォーキング・ランニングから入り、その後にストレッチを行います。ウォーキングと同じく、ジムではルームランナーを、自宅で外に出たくないときは踏み台昇降をするだけでも効果があります。
4-1.クールダウンに適したストレッチメニュー
ウォーミングアップのときと違い、クールダウンの際は静的ストレッチを行って十分に筋肉をほぐします。これによって疲労の回復が早くなります。以下、クールダウンに適したストレッチの例です。
ストレッチは、筋トレで鍛えた箇所に対して重点的に行うようにしましょう。
4-2.時間がないときは?
筋トレした後に急いでいるときは、静的ストレッチだけ軽く行うようにしましょう。このとき、特に疲労の残っている箇所だけ数分程度、軽く伸ばすことで何もしないよりもクールダウンの効果があります。仮に時間がなくても、明日以降の身体の状態に影響しますから、最低限のクールダウンだけでも行っておきたいですね。
4-3.クールダウンを行う際の注意点
筋トレを終えたあとはすぐに座り込んで休みたくなるものですが、クールダウンは筋トレ後10分以内には行うようにしてください。できるだけ筋トレが終わってすぐに行った方が効果は高いからです。
4-4.最重要!ストレッチの伸長反転を理解しよう
「ストレッチを行うときは、気持ちが良い範囲で行いましょう」
この言葉を聞いたことがある人は多いと思いますが、これはストレッチを行う上でかなり重要なキーワードです。今まで軽く聞き流していた人は悔い改める必要があります。笑
筋繊維は、筋肉の伸びを感知して、反射的に伸ばされた筋肉を収縮させる作用があります。これを「伸長反転」と呼びます。この伸長反転が働くと、伸ばしても伸ばしても、逆に縮みます。こうなると、いつまでたってもカラダは硬いままですし、ストレッチ効果も得られません。
この伸長反転を起こさせない方法が、「気持ちがいい範囲でおこなう」です。痛みを感じるほどに一気に伸ばしてしまうと伸長反転が起こるので、気持ちが良い範囲でじわーっと伸ばしていくのがカラダに効くストレッチのコツです。
マッサージボールなど使いながらストレッチするのも効果的です。
伸張反射とは,筋が受動的に引き伸ばされると,その筋が収縮する反射をいいます。この反射は生体のなかで唯一の単シナプス反射で,感覚受容器(筋紡錘)から生じた情報が,求心性の感覚ニューロン(Ia感覚ニューロン)から脊髄(反射中枢)へ,脊髄から遠心性の運動ニューロン(α運動ニューロン)へ伝わり,筋を収縮させます。つまり,求心性ニューロンから遠心性ニューロンへ一度しか神経細胞を変えない反射です。
5.まとめ
ウォーミングアップやクールダウンは、筋トレの効果を上げたり翌日以降に疲労を残さないなどのメリットがあります。面倒かもしれませんが、習慣化してしまえば、気にならなくなるものです。その目的をしっかり理解して、正しいやり方でウォーミングアップ・クールダウンを十分に行えば、より筋トレが楽しく快適になるでしょう。