痩せてる人も要注意!睡眠時無呼吸症候群とは?
これまでは「睡眠時無呼吸症候群」といえば太った男性に多いというイメージでしたが、実は痩せている男女にも見られるそうです。原因不明の眠気やだるさに困っているならもしかしたらこれが原因かもしれません。
1.睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは
睡眠脳波検査によって睡眠時無呼吸症候群(SAS: Sleep Apnea Syndrome)だと分かった…ショックですよね。でも決して珍しい症状ではありません。特に多く見られるのはいびきをかく人や、昼の起きている間、睡魔に襲われそうになる人だそうです。
睡眠時無呼吸症候群の疑い
・いびきが酷い
・昼間に睡魔に襲われる
睡眠時無呼吸症候群(以下「SAS」)は寝ている間に何回も呼吸が停止したり(無呼吸)、止まりそうになる(低呼吸)がずっと繰り返される病気です。SASの人は寝ていていびきが酷いので同室の人から起こされたり、一人で寝ていても睡眠中に目が覚めるとか、不眠を訴えることが多いです。あと多いのが、仕事中に眠りこけてしまう、周りの人から“疲れてる?”と訊かれる、いびきがひどい、寝言を言う…などです。
1-1.睡眠時無呼吸症候群(SAS)が関係している症状とは
SASの人はいつも不眠気味でイライラしています。人によっては寝言を言うことがあります。また眠りが浅いことから「寝ても疲れが取れない」とか、不眠気味で「だるい」と頻繁に訴えます。眠いので仕事にも悪影響が出てきたり、朝起きるたびに頭痛に襲われることもあります。“SASは交通事故を起こす危険が数倍高い”という指摘もあります。SASの人は毛中の酸素濃度が低下してくるので、脳卒中、糖尿病、高血圧や心筋梗塞などの病気になりやすいとも。
1-2.SASになりやすい人の外見
これまでは太り過ぎの男性の病気だと思われてきたSASですが、今日では痩せ型の人や小顔の女性にも多く見られると判明しています。肥満体の人、特に首が短くて太い人、痩せ形でも骨格が平均より小さい人、顎が小さめで奥まっている人…は要注意です。こういう人たちが寝ている間に、舌や咽頭の筋肉がゆるんだ状態で呼吸をすると、ただでさえ狭い気道がますます狭くなり、無呼吸や低呼吸が生じます。SASは気道が全部開いていない状態で起こります。
1-3.もしかしたら自分もSASかもしれない…
自分がSASに当てはまるのではないか…?!そういう疑いを持った時はどうしたらいいのでしょう。昼間のだるさ・眠気に困っているなら専門医を探したほうがよいです。まずSASの診断を出すためには、一晩睡眠の検査が必要です。「終夜睡眠ポリグラフィー検査」では呼吸運動の状態、脳波、心電図、血液中の酸素量が分かります。検査結果から、「1時間あたりの無呼吸と低呼吸の数(無呼吸低呼吸指数)」を合計して5回以上であり、あと特定の症状を伴う時にはSASと診断されます。
2.自分がSASであると分かったら…?
SASであると診断されたらどう対処したらいいのでしょうか?まず睡眠をとる際の習慣を見直すとよいでしょう。SASでもそれほど重くない人は寝具や寝る時の癖を変えるだけで症状が軽くなることもあります。
2-1.SASの治療法「シーパップ」
SASの治療でよく使用されるのが、「経鼻的持続陽圧呼吸療法装置シーパップ(CPAP:nasal Continuous Positive Airway Pressure)」です。寝ている時に鼻用のマスクを着用して、一定の気圧の空気を鼻から送り込んで、気道を広げたままにする装置です。旅行や出張で外泊せざるをえない時も持ち運ぶことが可能であり、女性向けのサイズが小さめの装置もあります。健康保険が適用されますが、「無呼吸低呼吸指数が20回以上」という条件つきです。
2-2. 「テニスボール法」
「テニスボール法」と呼ばれる方法がありますが、パジャマの背中にポケットを作って、テニスボールを入れておきます。寝返りをうつ時にそのボールの感覚によって、身体を元に戻すようになります。仰向けで寝ると舌が下に行ってしまい気道がふさがってしまいます。身体を横向きにして眠る癖をつけるのにテニスボール法は効果的です。
2-3.「マウスピース法」
SASの治療にはマウスピースを装着する場合もあります。上下の歯の間にマウスピースを入れることで、下あごを前に引き出し、気道を広げます。いびきが少なくなるという効果が期待できます。
2-4.SASのその他の注意点
飲酒や喫煙はSASによくないので控えましょう。
SASの人はそもそも睡眠時間が圧倒的に足りないので、8時間前後の睡眠時間を必ずとるようにします。
2-5.まれに手術を行う場合も
手術という選択肢もあります。扁桃肥大によって気道が狭くなる人や、他の治療法を試したけれど改善しない場合は、扁桃や口腔組織を部分切除して気道を広げ、鼻の通りを改善することもあります。
3.まとめ
日中のだるさや睡魔に悩まされている男女は多いですが、その原因を特定できている人は少ないです。「終夜睡眠ポリグラフィー検査」を受ければ、SASの他にも睡眠中に自分の身体に何が起こっているかを知ることができて、睡眠不足の辛さが軽減する可能性があります。SASであると診断されれば健康保険の対象にもなる“病気”ですから早めに手を打つべきでしょう。