男性ホルモンの代表格「テストステロン」の役割や働き
男性ホルモンの1つ「テストステロン」は男性に特徴的な攻撃性をつかさどることで有名ですが、男性のダイエットにも深く関係しています。
1.テストステロンとは何か
テストステロンは男性に多く分泌される男性ホルモンですが、女性にも少量ですが分泌されます。男性の場合は男性器で作られ、女性は卵巣や副腎で作られます。テストステロンは、ありとあらゆる“男性の身体の特徴”に深く関与しています。
テストステロンの影響
・男性器の発達
・体毛の増加
・思春期の声変わり
・骨格および筋肉の増強
・攻撃的な性格
・性欲
などです。男の子が思春期に男っぽくなる二次性徴はテストステロンが影響しています。
1-2.社会的ホルモン
テストステロンは男性が社会の中で自分を主張する時になくてはならないホルモンなので「社会的ホルモン」と呼ぶ人もいます。日中であってもテストステロンの分泌量は変化するといわれ、自宅から外に出て行く際にはテストステロンが分泌されがちですが、外から家に戻る時には減少します。気持ちが安らぐ・リラックスすると分泌量が減りますから、赤ちゃんを抱く等すると急にテストステロン量は下がります。
またテストステロンは男性的な決断力を高めると言われます。テストステロンの分泌量が多いと、的確な状況判断や決断を下すことができることから、テストステロンは脳の認知能力に関係しています。
1-3.テストステロンのその他の特徴
男性は自分の縄張りを持ちたがり、縄張りを侵されると怒りをもって反応しますが、それはテストステロンが影響しています。他者を威嚇するのに有利になるように声が大きかったり、自己主張が激しい男性はテストステロン量が多いという説もあります。動物も人間と似たような面があり、加齢と共にテストステロン量が減ってくるので縄張りを強く主張しなくなります。
1-4.「興奮」がテストステロン分泌を促進する
筋トレをするとテストステロンが分泌されることが知られていますが、興奮状態になるとテストステロンが一気に増える場合もあります。男性は興奮状態に陥ると、痛みを感じなくなると言われます。それはテストステロンが影響しています。殴り合いの喧嘩をしている時は殴られてもあまり痛くなかったが、時間をおいてから痛くなってきた…といった経験は男性には多いかもしれません。
1-5.テストステロンが不足していると…?!
テストステロンが男性の体内に十分に分泌されていないと、
・生活習慣病(心臓病、糖尿病、脳こうそくなど)
・自律神経系疾患
・不眠症
・気分障害
・認知症
などに罹りやすくなります。
しかし、逆にこうした病気があるからテストステロンが減っているという考え方もあり“鶏と卵”です。
2.男性ダイエットはテストステロンが成否を握る?!
男性が運動・食事によるダイエットをする際、テストステロンの性質をよく知ってうまく利用することで、効果を倍増することが可能です。特にテストステロンの関係が深いのが「無酸素系運動」です。無酸素系運動とは、パワートレーニング・筋トレのことですが、男性ホルモンであるテストステロンは筋肥大を高める効果があります。
よく男性には女性の10倍の量のテストステロンが分泌されていると言われますが、これは女性よりも男性の方が筋肥大の効果が出やすいという意味でもあります。全身の筋肉量が増加すれば、基礎代謝による脂肪の燃焼量が増えますから、“寝ていてもカロリーが大量に消費されるカラダ”になります。男性のダイエットは無酸素運動、すなわち筋トレが必勝法とも言えます。
2-1.カタボリックホルモンとテストステロン
テストステロンはその他にも成長ホルモンに影響を与えて筋肉の合成を促進します。同時にカタボリックホルモンによるコルチゾール分泌(筋肉の分解を促す)を減少させると言われています。テストステロンの量が豊富で、筋肉の再合成のタイミングが合えば、筋肉の肥大はスムーズに運びます。
テストステロンは男性のダイエットには深い関係があって、テストステロンの量が少ない男性は肥満体が多いことも指摘されています。またテストステロンが十分に分泌されることで、ドーパミンという人間のやる気・創造性をつかさどるホルモンも分泌されやすくなります。
2-2.テストステロンの特徴をうまく利用したダイエット法とは
肉に含まれる動物性たんぱく質や脂質は、テストステロンの生成には不可欠です。“痩せたい”と考える人が選択しがちなのは、低カロリーの野菜中心のメニューです。これまで野菜不足が続いていた男性には、良いことかもしれません。ただ野菜と穀物ばかり食べて筋トレしていても、あまり筋トレの効果も上がらず、したがって痩せにくくなってしまいます。摂取カロリーを減らすと体重ばかりではなく、テストステロンの量まで下がるのに注意しましょう。
2-3.テストステロンが男性のダイエットに与える影響とは
男性が男性らしくあるために最も重要なホルモンがテストステロンですから、テストステロンが男性の減量に与える効果は絶大です。
男のダイエットへのテストステロンの影響
・筋肉が増えるので脂肪燃焼が高まる。
・基礎代謝が向上して若返る。
・動脈硬化など生活習慣病の予防。
・意欲に満ちた人間に
3.食事上の注意点とは
特に動物性たんぱく質を減らさないようにします。肉類、魚、卵、乳製品といった脂質とタンパク質を含む食品はテストステロンの分泌を活性化させます。根菜類以外の野菜は好きに食べても構いません。糖質(米、パン、麺類など)は食べ過ぎないように気をつけましょう。ダイエット中はアルコールや甘味は控えるほうがベター。テストステロンの分泌にはコレステロールが不可欠だと覚えておきましょう。低カロリーダイエットをずっと続けていると(つまり精進料理のようなメニューを食べ続けていると)テストステロンは減少します。
3-1.「下半身の筋肉を鍛える」のが最優先!
全身の筋肉にバランスよく負荷をかけることがポイントです。特に下半身の筋肉組織は重要です。全身の筋繊維の80%は下半身にあると言われます。足から腰、下腹あたりの筋肉に強めの負荷をかけて筋肥大をさせることができれば、上半身の筋肉も自然に増えていきます。スクワットなど生活の中に上手に取り入れましょう。
3-2.質の良い「睡眠時間」を確保する
テストステロンとダイエットの成功と睡眠はどれもが密接な関わりがあります。ちゃんと睡眠をとっていることで、テストステロンは分泌されやすくなります。しかも今日の筋トレの効果も目に見えて出やすくなります。筋肉が肥大していくのは眠っている時間帯です。そして質の良い睡眠をとることで、気持ちがリフレッシュして、仕事にもプライベートにも意欲が出てきますから、ダイエットを続けやすくなります。
4.まとめ
いかがでしたか?テストステロンの特徴を知って、そのテストステロンの分泌量を減らさないようなダイエット法をしているかどうか、自分の方法を見直すと新しい発見があることでしょう。
特に食事については、若い男性が無理に低カロリーダイエットを採用して継続すると、テストステロンが激減することで、かえって痩せにくくなるかもしれませんから注意が必要です。糖質を全部オミットする“炭水化物ゼロダイエット”も脳の機能を阻害しますし、筋肥大しにくくなりますからおすすめできません。
理想を言えば旅館の食事とか幕の内弁当のような、動物性たんぱく質も糖質も野菜、海藻もバランスよく毎日摂取したいものです。