無添加って、そんなに偉いの?食品添加物の基礎知識
食品添加物って何?という基本的なことから、食品添加物のデメリット、無添加食品のメリットを解説しています。食品の安全性について考える際に、食品添加物は避けて通ることはできません。
1.食品添加物ってそもそも何者?悪いやつなの?
食品添加物のルーツは、古代ローマが戦場に運ぶ豚肉を保存するための岩塩にあります。食品を長期保存するため、また味わいをよくするためなどに昔からさまざまな物質が使われてきました。ちなみに食品添加物は、第二次世界大戦後に生まれた言葉です。
食品添加物とは、摂取しても健康に影響がないことが科学的に証明された上で、利用することで消費者の利益になる物質のことを指します。日本では食品衛生法によって、厚生労働大臣が指定した種類のみ利用することが可能です。また仮に使用を許可された添加物であっても、過剰摂取による健康被害が起こらないように、添加物ごとに使用可能な上限が決められています。
2.代表的な食品添加物の役割と種類
それでは、食品添加物には具体的にどんな役割や種類があるのでしょうか。ここでは代表的な種類をまとめて紹介します。
食品の製造に必要となる物質
その食品を作るのに必要な物質を指します。例として豆腐を作る際のにがりや中華麺を作る際のかんすいなどがあげられます。
食品の保存性をよくして、食中毒を予防する物質
食品を腐敗させる微生物が増殖するのを防いで保存性を高める物質です。チーズや魚肉練り製品につかわれるソルビン酸、清涼飲料水やマーガリンなどに使われる安息香酸が例としてあげられます。
食品の栄養価を高める物質
栄養強化剤と呼ばれ、ビタミンやカルシウムなどがあげられます。栄養強化剤については、原材料表示をしなくてもよいというルールがあります。そのため消費者には、個々の食品でそれが使われているか否か判断できませんが、栄養価を強くうたう食品(青汁など)には使われている可能性が高いです。
食品の風味や見た目をよくする物質
食品の色や香り、味わいなどをよくする物質を指します。お菓子の着色に使われる「食用赤色○号」や食品に甘みを加えるキシリトールなどの人工甘味料、食品に苦みを加えるカフェインなどがあげられます。
その他
他に柑橘類などのかびの発生を予防する防カビ剤、ケーキなどをふっくらとした仕上がりにする膨張剤なども含まれます。
厚生労働大臣が指定した「指定添加物」は約450種(平成28年10月時点)あります。
2-1.食品添加物はなくせない
これまで見てきたように、添加物は消費者の利益になる食品を作るのに必要とされるものです。食品添加物によって、食中毒を予防したり食べ物の味を一定の品質に保ったりすることができます。
また添加物があることによって、企業にとっては食品の品質管理がしやすくなり結果的に価格を抑えられるという面もあります。食品添加物は、私たちの生活に切り離せないといっても過言ではないでしょう。
3.食品添加物を摂取するデメリットは?
繰り返すように食品添加物は、基本的には「科学的に健康への影響がない」と証明された物質です。しかし添加物が使われた食品を食べ過ぎることで、知らず知らずのうちに糖分や・塩分・油分の過剰摂取につながる可能性や、それにより味覚障害につながる恐れもあります。
何事も「過ぎる」ことは避けた方がよいですね。添加物を使うことによって、食品の保存期間を比較的簡単に伸ばすことができるため、その結果、提供する側の衛生管理が問題になる可能性もあります。
また日本と外国で食品添加物に関する取り決めが違うため、「生産国では許可されていない添加物が日本輸入品には使われている」ということも。科学者によっては、使用を許可されている食品添加物に対して、警鐘を鳴らしている場合があることも見逃せません。
4.無添加食品を摂取するメリットは?
人工保存料などを使用せずに作った食品を、無添加食品として販売されているのを目にすることも多くなりました。無添加食品を食べることで、素材本来の味わいを感じやすく「これってこんなにおいしかったのか」と新しい発見をすることもあります。
また消費者の心理としては、いくら安全であることが実証されていとしても、それを否定する別の意見もないわけではなく、添加物を使っていない方がより安心と感じるのも無理はないでしょう。保存料を使っていないことで食中毒のリスクが高まるといった別のデメリットもありますが、”より”安心な食べ物として無添加食品を選ぶメリットもあります。
5.まとめ
食品添加物は科学的に健康に害がないことが証明されており、保存性を高めたり味わいを良くしたりするメリットもあります。しかし海外で認められていない食品添加物が日本では使われていたり、食品添加物に警鐘を鳴らす専門家がいたりするのも否定できません。
食品添加物による明確な健康被害が発生しているわけでもなく、あまり神経質になる必要はないかと思われますが、そういった意味で食品添加物を使っていない無添加食品をえらぶメリットもあるといえるでしょう。