実は男性にも多い!男の夏の冷え性&むくみ対策
photo by Aouni Tahech
女性だけではなく男性にとっても冷え性は悩みの種。気づかぬうちにいつの間にか体調が下向いて行く「冷えの対策」を考えます。
1.実は男性にも増えている冷え性、むくみ
冷え性やむくみと聞くと女性のものと思っている男性がまだ多いようですが、このごろは男性の間でも増えているようです。2015年7月に株式会社ニッセンが約500人を対象に行ったアンケート調査によると、男性でも約4割強の人が、自分は冷え性だと感じていることがわかります。冷え性になると血流が滞り、汗や尿などでの水分の調整が上手く行かずにむくみの症状が出ることも少なくありません。
1-1.男性に多い隠れ冷え性と呼ばれる内臓型冷え性
男性の場合冷え性もむくみも女性特有の症状と言うイメージが強いためか、自分がなっていたとしても、夏バテと認識してしまうことが多いと言われています。夏バテの症状は、気力の減退、食欲不振、夜眠れないなど冷えの症状と似ているため、むくみに至っては疑ってもみないようです。男性の場合は女性に多い末端が冷えるタイプのものよりも、隠れ冷え性と呼ばれる内臓型冷え性がよく見られるのも原因の一つでしょう。
1-2.冷え性チェック
アンケートの結果からすると、男性でも5人いればその中の2~3人は冷え性ということりなりますが、自覚のない男性もいることを考えると、実際にはもっと多くの男性が冷え、そして冷えに起因するむくみに悩まされている可能性もあります。もしかすると、今感じている不調は冷えに由来しているのかも知れません。そこで、以下冷え性のチェックポイントをいくつか挙げてみますのでチェックしてみてください。
チェックポイント
1.平熱が平均よりも低い
2.湯船に浸からずシャワー中心の入浴
3.運動の習慣がない
4.夜眠れないことが多く、昼間眠気が抜けない
5.食事をすると顔から汗が吹き出る
6.ちょっとしたことが気になり、不安、イライラしがち
7.肥満気味
8.喫煙者
9.食べすぎ、飲みすぎ傾向が強い
などなど、上記項目のいくつかに覚えがあるのであれば、現在隠れ冷え性である、もしくは隠れ冷え性予備軍可能性があります。肥満気味で汗っかきで喫煙者など複数の項目が該当するようであれば注意した方がいいかも知れません。
2.冷え性の原因は体質と習慣にあり?
内臓が冷えるタイプの隠れ冷え性の原因は大きく分けて二つあるようです。一つ目が体質的なもので、二つ目は生活習慣によるものとされていますので、それぞれを見て行きたいと思います。
2-1.体質的な原因
基礎代謝の熱量の約4割を作り出しているのが筋肉です。筋肉に次いで熱の発生量が高い内臓も、筋肉が少なくなると活動が鈍くなりますので、筋肉量の少ない人は当然基礎代謝も低く、冷え性になりやすくなります。
筋肉や内臓で作られた熱は、血管を通って全身に運ばれて行きます。このとき、血管が細い、自律神経の影響や筋肉量の低下で血流が滞ると、せっかく発生させた熱が全身に回らなくなってしまうのです。
運動習慣がなく汗腺が少ない人、浮腫みがちな人などによく見られるのが、摂取した水分を十分に排出しきれず、体内で発生させた熱がその水で冷やされてしまう現象です。
2-2.生活習慣的な原因
夏になるとどうしてもクーラーを使いたくなりますが、依存しすぎてしまうと、体温調節機能が低下することもありますのでご注意を。
暑いからと言って、素麺や冷麦冷やし中華などばかりを食べ、キンキンに冷えた清涼飲料水や麦茶などといった冷たい飲みものばかりを口にしていると、どうしても内臓が冷えてしまいます。
喫煙による血管の収縮は、良好な血流を阻害しむくみの原因ともなりますので、まさに百害あって一利なしと言うところでしょう。
筋肉は鍛えれば増えると言うのはある意味正解ですが、その反面間違いもふくんでいます。ちゃんと筋肉を鍛えようとするのであれば、負荷を与えたあとはしっかりとした休養と栄養が必要であり、変にカロリーを押さえると、逆に細ってしまうことにもなりかねません。
3.生活習慣を見直せば内臓が動き出す
日常生活のなかで冷えを防ぐ、冷えに強い体をつくるためには、現在の生活習慣を見直す必要があるかもしれません。上記チェック項目にあるものも含めて、比較的手軽に出来るものを紹介します。
3-1.体を温める食べ物・飲みものを摂る
暑い時期はあっさりしたものを好みがちですが、素麺や冷麦、夏野菜、麦茶などは内臓を冷してしまいます。麺ならば温かい汁物、野菜ならば緑黄色野菜を加熱調理して食べましょう。調理にはショウガや胡椒など香辛料を使うとより効果的です。飲みものも冷したものや氷を入れるのは避けて、常温の水か温かいお茶、ハーブティーなどがおすすめします。また、筋肉の材料となるタンパク質もしっかり摂っておくと、体温を上げるのに有効です。
3-2.入浴はしっかり湯船に浸かる
汗をながして体を清潔に保つという視点であれば、シャワーでも問題ありませんが、体を温めるという面から見ると、どうしてもお風呂の方が優れているようです。湯船に浸かって全身が温められることで毛細血管が広がり、血流が促進されることで内臓の働きも活発になって行きます。熱めのお湯よりも38~40度のお湯に15~20分程度浸かるとより効果的です。
3-3.喫煙の見直し
タバコを吸うと数秒以内に血管が収縮するそうです。血管が収縮すれば血流が滞り血液の正常な循環が阻害され、むくみ、循環器系の疾病や血圧の上昇など健康において様々な問題が出てくると言われています。吸った途端に血管が収縮するということは、当然冷えに対する影響も甚大です。伏流煙等による周囲への悪影響も含めて、冷え性を自覚しているのであれば、喫煙は最初に見直すべき習慣と言えそうです。
4.インナーマッスル(体幹)が冷えの救世主となる?
冷えを防ぐための防壁として、やはり最大のものは筋肉と言えそうです。先にも書きましたが、筋肉は体の熱量の約4割を生成する器官ですので、多ければ多いほど熱が発生します。また、筋肉は血流を正常に保つ効果もあるためむくみを予防するのにも有効です。
ならば、筋トレで筋肉を増やしていけばいいという論になりますが、いままで夏バテかと思うほどぐったりしていた隠れ冷え性の人に、今日から筋トレの号令をかけたところで、さらに体力を消耗させることにもなりかねません。そこで、比較的少ない時間で高い効果の得られるトレーニング方法と、場所と時間を選ばずにできるトレーニング方法を紹介したいと思います。
4-1.インナーマッスルを鍛えるならプランクが一番
体幹は主に上半身の深いところにある筋肉の総称として使われる名称ですが、腹横筋、腸腰筋といったインナーマッスル以外にも、腹直筋、腹斜筋といったアウターマッスルを含めることもあります。プランクはこの体幹部分の筋肉群を鍛えるのに優れた効果を発揮するトレーニングで、とくにインナーマッスルには有効です。比較的短時間のエクササイズで済みますし、特別難しい技術も高価な器具も必要としませんので、その気になれば誰にでもいつからでも始められます。
プランク(フロントブリッジ)のやり方
1.床にうつぶせになる
2.両肘を立てて上半身を持ち上げる、肩、肘、腕は90度になるようにする
3.両足を肩幅に開いてつま先を立てる
4.両肘とつま先で支えるようにして全身を持ち上げる
※このとき背中を丸めないこととお尻が下がり過ぎないように注意
5.4.の姿勢のまま静止、1分くらいから始め最終的に3分を目指す
プランク(フロントブリッジ)のポイント
- ・休むときはチャイルドポーズや猫のポーズでリラックス
- ・プランク中はお腹を凹ませ、ドローインの状態をつくる
プランクのやり方はとてもシンプルですが、とてもきついトレーニングメソッドです。体幹の弱い人だと最初は1分でもきつく感じることでしょう。ただ、続けていれば間違いなくお腹周りに効いてくるのが実感できますので、やった分だけ効果の出るやりがいがあるエクササイズでもあります。
4-2.オフィスではドローインで地味に鍛える
ドローイングはオフィスでのデスクワーク中でも、通勤電車の中でも場所を選ばずに行えるトレーニング方法です。プランク同様体幹部のインナーマッスルに効果的なメソッドですが、体感的なきつさはプランクよりもはるかに低いのになっています。基本的には呼吸法ですので、コツをつかむまでの時間は個人差があると思いますが、身に付けてしまえばとても便利なメソッドです。
ドローイングのやり方
1.お腹に空気を溜めるイメージでゆっくり鼻から空気を吸う
2.目一杯吸ったら酸素が全身に行き渡るよう意識する
3.腹筋を締め、お腹をへこませるようにしてゆっくり口から息を吐き出す
4.目一杯吐き出した状態でキープする
ドローインのポイント
- ・四つん這いや立位・座位など、どんな姿勢でも可能
はじめのうちは息を吐き出しながら腹筋を締めていくコツがわかりにくいかもしれません。その場合、息を吸うときに両手を広げ、吐き出すときに広げた両手を体の前にぎゅっと丸めるようにすると、上手くいくこともあるようです。
5.まとめ
現代社会は隠れ冷え性の温床となっているのかもしれません。内臓の調子が悪い、夜眠れなくなったなどその兆候が見えたときには、躊躇わずに対策を実行に移してみてください。冷え性もむくみも、けして舐めてはいけない現代病の一つです。