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基礎代謝って何?正しい理解で肉体改造

「お腹を引き締めてフェイスラインをすっきりさせたい!」食べ物にも気をつけているのに、このごろ妙に体重が落ちにくくなってきたと感じることはありませんか?これは年々、基礎代謝が下がってきていることと関係があります。忙しい社会人であれば、活動代謝も下がっている可能性が高いです。基礎代謝・活動代謝についてもっと知れば、ダイエットに成功しやすくなりますよ。

1.基礎代謝とは何か?

1-1.基礎代謝とは

基礎代謝とは、横たわって安静にしている状態で消費されるエネルギー量のことです。“そんなエネルギー量ってあるの?”と思うかもしれませんが、人間は横たわってじっとしている状態でも、脳は活動していますし、内臓は働き続けていますし、毛やツメだって伸び続けていますよね。それらの活動にはすべてエネルギー(カロリー)が消費されています。すなわち人間が生命活動を維持し続けるために必要最小限のエネルギー消費量のことを「基礎代謝」と呼びます。

人間の身体には筋肉がありますが、心臓や胃、腸といった臓器は筋肉の助けがあって動き続けています。内臓器官が働いているということは、あなたが自覚していなくてもカロリーを消費しているのです。

 

1-2.食事誘導性熱生産(DIT)

人間は食べなければ生きていけませんが、内臓で消化・吸収・排泄されるためだけに使われるエネルギーがあります。食事の直後は身体が火照ったり、体温が上がったように感じたり、暑い…と感じることはありませんか。食事誘導性熱生産が体温となって発散されているから、暑く感じるのです。

この熱生産ですが、たんぱく質と脂質と炭水化物では大きく異なります。脂質・炭水化物は数%にすぎませんが、たんぱく質は20%~30%の熱を生産します。“肉を食べると、闘志モリモリ…”と男性は肉を好みますが、たんぱく質である肉を食べた直後は、熱生産によって食べたカロリーの20%が体温となって発散されるので、全身にエネルギーが漲っている感覚が得られます。たんぱく質は、脂質・炭水化物に比較して、熱生産率がかなり高いので、全く同じカロリーを食べるのならたんぱく質を食べれば、贅肉になるカロリーは少な目になります。

 

1-3.活動代謝とは

運動をする、歩く、睡眠をとる、仕事をする、家事をする…こういった活動によって消費される体内のカロリーの総量を活動代謝と呼びます。誰かと電話で話したり、映画を観たり、庭を耕したり、パソコンに向かって入力をしたり…こういった活動にもそれぞれ運動の強度に応じて、カロリーを消費しています。

活動代謝は個人差が大きく、運動選手は毎日ハードなトレーニングをしているのであれば、普通の人よりかなり多くのカロリーを消費しています。逆に日頃からあまり体を動かす習慣のない人であれば、活動代謝は低いでしょう。

 

 

2.1日に消費するカロリーを増やせば痩せる

あなたが1日に消費するカロリーは基礎代謝と活動代謝を足した数字になります。

あなたが30代の男性であったと仮定しましょう。30代男性の平均的な基礎代謝量は1520キロカロリーです。特に運動選手とか肉体労働者でないのなら中程度の運動強度でしょうから、30代男性の平均的な活動代謝は1200キロカロリー前後ですから、基礎代謝と活動代謝を合計して2720キロカロリーとなります。

 

2-1.太る理由とは

1日に消費するカロリー(基礎代謝と活動代謝の合計)を超えるようなカロリーの食事を摂取し続けていれば、あなたは当然太ります。「痩せたい」と思うのであれば、1日の摂取カロリー(食べる量)を、1日に消費するカロリー以下にすることがまず求められます。

しかし、この基礎代謝や活動代謝はあくまで目安であり、個人差があります。あなたよりもっと食べているのに太らない人もあなたの周囲にいることでしょう。そういう“食べているのに太らない人”には共通の理由があります。

 

2-2.基礎代謝が高い人は食べても太らない

基礎代謝がもともと高い人は、その分だけ体内でカロリーを多く必要としているわけですから、平均的な基礎代謝の人より多く食べても太りません。全身の筋肉ですが、筋肉の量が多い人は、筋肉が少ない人に比べて太りにくいです。なぜなら人間の基礎代謝の30%~40%は筋肉を維持するために使われるからで、筋肉が多い人は寝ていても多めのカロリーを筋肉が消費してくれるのです。

 

2-3.筋肉を増やす「無酸素系運動」を定期的に取り入れよう

ハードな運動をしたこともあるけど、痩せなかったよ…そういう挫折を経験した人はたくさんいます。家で寝ているよりはカロリーを消化したでしょうが、運動も知識をつけてから、定期的に行ったほうがダイエットには成功します。しかし筋トレは誰にでもできて、男性であれば女性より成功しやすい(身体の変化を実感しやすい)運動です。別に外出しなくても、自分の部屋の中でも筋肉を増やす運動はできます。

 

2-4.活動代謝を増やすには「有酸素系運動」がおすすめ

人間は加齢によって、筋肉量が落ちて、基礎代謝もそれに影響されて下がる傾向があります。ですから加齢によって減った筋肉を、筋トレによって増やすだけで痩せやすくなります。

基礎代謝だけではなく、活動代謝を増やすことも大事です。30代以上の男性であれば、有酸素系運動がおすすめです。ジョギング、ウォーキングなど、無理のないペースで続けます。

 

2-5.生活行動をほんの少し変えてみる

忙しいサラリーマンの方や、きつい仕事が終わってから、そこから運動をするモチベーションが上がらない方は、日々の自分の行動習慣をほんの少しだけ変えることで、ダイエットにつなげることが出来ます。

例えば、エレベーターを使わないで階段を使う、自動車を自転車に変えてみる、一駅分でも歩く…こういった生活習慣を変えることで、活動代謝は随分違ってきます。

 

 

3.辛い運動以外でダイエットに良い習慣とは

3-1.咀嚼の回数を増やそう

食物をよく咀嚼することによって、唾液の量を増やして消化を高めることができます。“噛む”行為はカロリーを消費しますし、食べる際には箸をおいて、徹底的に咀嚼することを習慣づけるだけで、食事の時間は長くなるので、一食の量も少なめに持っていくことができます。早食いやドカ食いは肥満の元です。

 

3-2.脳の基礎代謝の特徴と脳に良い食べ方

基礎代謝の内訳には、もちろん私たちの「脳」の消費するエネルギーも含まれます。脳は全身のなんと19%のカロリーを消費しています。脳の重量は体重の2.2%以下しかないのに、19%ものカロリーを消費する脳は、私たちが寝ている時も起きている時も多くのカロリーを消費しながら働き続けています。

ですが脳の基礎代謝については、全身の他の部位の基礎代謝とは大きく異なります。

脳はブドウ糖からしかカロリーを摂ることができませんから、炭水化物をしっかり摂取することが、脳の働きをいびつにしないためのコツと言えます。脳以外の臓器、特に筋肉は、たんぱく質や脂質からでもカロリーを摂ることができますが、脳はブドウ糖(炭水化物)が慢性的に不足してくると、その機能に影響が出てくるという説があります。

 

3-3.バランスのとれた食べ方と適度な運動が大事

仮にダイエットに成功できたとしても、全身の機能のどこかを損なってしまえば、不健康な心身しか残りません。ですからバランスのとれた質の良い食事が大事であると言えます。

「炭水化物をゼロにすれば痩せる」とか、「〇〇さえ食べていれば(食べなければ)痩せる」とか、そういうクラッシュダイエット(crush diet:極端な食事療法)には近づかないほうが賢明です。日本の伝統食、特に幕の内弁当や、旅館の朝食のように、一汁一菜に魚の主菜がついているといった「定食」がおすすめです。

 

 

4.まとめ

基礎代謝をはじめとしたカロリー消費の基礎的内容から、太る仕組み、痩せる日々の習慣、などを紹介してきました。表面的なダイエット法ばかりに目がいき、このあたりの内容が頭に入っていないと、いくらダイエットにチャレンジしても成功する確率は低いままですし、原理原則を理解しないまま行動を起こすことはナンセンスです。

カラダの仕組みなど本質を理解することで、自分流のダイエット法を実践することも可能になってきますので、是非みなさんも、それぞれの環境や体質、生活習慣に合った方法でダイエットを進めて健康的な人生を歩んでください。

 

イラスト/オオノマサフミ

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