同じ摂取カロリーで太る人とスリムな人がいる現実…その理由とは?
1日の摂取カロリーが同じでも食事の摂取タイミングによってダイエット効果が変わってきます。その鍵を握るのが「血糖値」と「インスリン」です。今回は、この2つの用語と肥満との関係について解説していきます。
1.インスリンと血糖値と脂肪燃焼
1-1.血糖値とは
主食のごはんやパン、または根菜や果物に含まれる糖質。食べた糖質は血液中に溶け込み、血糖と名前を変えて全身に運ばれていきます。この血糖の濃度のことを血糖値と呼びます。
1-2.インスリンとは
インスリンとは、食事によって体内に入ってきた栄養素を肝臓や筋肉、脂肪細胞へ取り込む働きをもつホルモンです。血液中の糖質(グルコース・血糖)の濃度である「血糖値」が上昇した際に、分泌されます。
1-3.インスリンは敵か味方か
インスリンって結局いいの?悪いの?という疑問をお持ちの方も多いでしょう。まず結論としては、適量は必須です。「インスリンは糖の代謝に必要ですが、脂肪燃焼が抑制される」というのがざっくりとした理解です。インスリンが分泌されると、体脂肪は合成されやすく、分解されにくいということを覚えておきましょう。
人間は糖と脂肪を主なエネルギー源としていますが、インスリンが増えると糖の消費がメインのエネルギー源になります。そのため、インスリンの分泌量が適量だと、糖と脂肪がバランスよく消費されます。
血糖値の急上昇は良くないという話は、インスリンの過剰分泌による弊害のことを指しています。
2.インスリンとの付き合い方
炭水化物や糖質の摂取によって血糖値が高まり、インスリンが分泌されます。これは体のエネルギー確保のために必須のサイクルなので、過度な制限はもちろんおすすめできません。
しかし、炭水化物や糖質を一気に摂取し過ぎると、血糖値が急上昇し、インスリンが過剰に分泌されます。その結果、体脂肪がエネルギーとして消費されなくなるばかりか、余ったエネルギーは脂肪として蓄えられるので、肥満への道を歩むことになります。
インスリンの機能を考えると、炭水化物や糖質は多すぎても少なすぎてもダメで、血糖値の上昇・下降を緩やかにし、糖と脂肪をバランスよくエネルギー消費させることが最重要です。
3.インスリンと食事の回数・タイミング
運動とは関係なく、一日三食食べる習慣のある人は、なるべく毎日食事を摂る時間を統一した方が良いです。日によって気まぐれに食事を摂ると、インスリンの過剰分泌や、逆に分泌量が減少することがあります。その結果、糖と脂肪のエネルギー効率が悪くなります。
また、一日三食でない人はなるべく食事回数を増やすとエネルギー効率が良くなります。摂取した栄養を貯蔵できる量には限界があり、小まめに補給した方が摂取したカロリー分消費しやすいです。
4.同じ摂取カロリーで太る人とスリムな人の違い
上述してきたように、その違いは「インスリンの分泌量」です。
同じ摂取カロリーでも、血糖値の急上昇によるインスリンの過剰分泌を抑える事ができている人はスリムな体型を維持し、できていない人はインスリンの過剰分泌による弊害をモロに受け着々と脂肪を蓄えていった結果、肥満体型になってしまった。というオチです。
4-1.血糖値の急上昇例
1.朝食を抜いて、昼食も時間がないから、丼物をガツガツかきこみ、昼食終了。
2.朝食・昼食と軽めに済ませたから、夕食はガッツリ。
3.3食均等な食事量を心がけている。しかし、朝起きれなかったので、昼から不規則な時間帯で3食。
4.朝食はバッチリ食べた。しかし、上司から誘われ早めのランチで完食。朝食から3時間しか経っていない。
5.朝食・昼食、時間も量もバッチリ。しかし飲みに誘われ夜9時から居酒屋突入!
上記の食事のリズムは全てアウト!
4-2.とにかく血糖値の乱高下を防ぐ
食事と食事の間隔が空きすぎるのも、低血糖状態を長引かせるのでNGです。食事から摂った糖質を脂肪として蓄えたくないなら、とにかく血糖値の乱高下を防ぐ事が大切です。
また、血糖値が急上昇すると、その反動で急降下します。この時に人間は空腹感を感じるので、血糖値の降下を緩やかにする事は、空腹感が感じにくくするというメリットもあります。
5.糖質制限ダイエットのデメリット
上述の通り、炭水化物(糖質)はタイミングや回数を考えて摂取することで効率的にエネルギーにでき、脂肪細胞への蓄えを防ぐことができます。ただし、日々忙しく働いているサラリーマンの方は、そこまで食事時間を規則的にとることは出来ない方が多いと思います。そこで出てくるのが、「糖質制限ダイエット」です。
糖質制限ダイエットは、その名の通り、日々の食事から糖質の摂取量を制限する事で血糖値の上昇を防ぎます。この方法だと、糖質が含まれている食材を控えるだけで、痩せていくので誰でも簡単にできそうですよね。
しかし、糖質制限ダイエットをする場合は注意が必要です。誤ったやり方で行うと、より太りやすい肥満体質に陥る危険性があります。
5-1.糖質制限で、カロリー収支がマイナスになりすぎると…
過度な糖質制限を行うと、特に脳のエネルギー源は糖なので、血糖値が下がってインスリンの分泌量が減ると頭が働かなくなります。それだけでなく、当然体の機能も低下し、活動能力が下がります。
糖質を摂取していても過度でない限りダイエット可能ですが、糖質を極端に制限するダイエットはデメリットが多いです。カロリーコントロールをうまく行わないとカラダが飢餓状態に陥り、脳や体の働きは悪くなり、代謝も落ち込みます。ケトン体が発生し、体臭もきつくなります。
5-2.極端な糖質制限ダイエットは諸刃の剣
糖質制限ダイエットでは、日々自分のカロリー収支を把握しながら、カロリーギャップが開きすぎないように調整する必要があるため、上級者向けのダイエット法だと言えます。
「単純に日々の食事から主食(ごはんやパン)を抜けば良いんでしょ?」と考えて実践してしまうと、体重は一時的に減少するかもしれませんが、カロリー消費量の少ない太りやすい体質になり、リバウンドする可能性も高くなるでしょう。
糖質制限ダイエットの正しいやり方はこちら↓
6.まとめ
日々の食事から摂ったエネルギーを効率的に消費して脂肪として蓄えないようにするには、血糖値の乱高下を防ぐ事が大切だという事でした。
血糖値の乱高下を防ぐには、
の2つがあります。
自分に合ったやり方で、食生活を見直してみてはいかがでしょうか?
イラスト/オオノマサフミ