体の症状別でベストな入浴温度と入浴時間を探る
忙しく過ごしているとゆったりと湯船につかる機会も少なくなりがち。しかし、入浴は心身の健康に思う以上に深く関わっています。忙しい毎日を乗り切るためにも、簡単に行える健康法として入浴は心がけるべき。その効果的な入浴法と効果を紹介します。
1. 入浴の効果は
疲れて帰ったあとの入浴は心身共に癒されます。具体的な効果としては以下の通りです。
1-1. 温熱効果
入浴で体温が高まることが自律神経に関係し、
・微温浴(36℃~40℃)入浴温度を低く設定すると副交感神経に作用してリラックス効果、身体の修復や免疫力を高めます。
・高温浴(41℃~43℃)高く設定すると交感神経が優位となり細胞の活性、身体の機能を促進します。
1-2. 水圧効果
水に受ける圧力により肺や心臓も影響を受け、呼吸数の上昇、心臓の働きも活発になります。血行も促進され、循環器系や心肺機能の改善につながります。リンパの流れもスムーズになり、むくみ改善、デトックス、マッサージ効果が期待できます。
1-3. 浮力効果
湯船に浸かると身体は浮力を受けて軽くなります。普段、身体の関節や筋肉は、重力に逆らって体重の重さの身体を支えています。湯船に浸かると体重は普段の10分の1の軽さになります。筋肉や関節はその負担が軽減され、腰痛や神経痛の改善につながります。また、緊張の緩和が脳へも伝わり、精神の緩和、リラックス効果が発揮されます。
2. 目的別入浴法
2-1. 疲労回復
38℃~40℃のぬるま湯で20分~30分の入浴時間。たっぷりと入浴時間をとって、入浴のタイミングは就寝の30分~1時間前がおすすめです。副交感神経が優位な状態での入浴、その状態を保つことで就寝もスムーズに、疲労回復効果も高まります。ストレス解消、安眠効果にもつながります。
2-2. 肩こり、腰痛、神経痛
39℃~40℃のぬるま湯で10分~15分。肩までしっかり浸かってください。浮力や水圧効果を発揮させるためにも深く浸かることをおすすめします。温熱効果も生かされ、自律神経の作用により、血行やリンパの流れも改善に効果的とされています。
2-3. 不眠症
38℃~40℃のぬるま湯に20分程度入浴。睡眠中には身体を回復させるための成長ホルモンやメラトニンが分泌され、免疫力を強化し、疲労回復、けがの修復を促進します。睡眠不足はそれらの修復機能を阻害してしまいます。ぬるめのお湯にゆったり浸かることで熱放出を活性し、身体の深部体温を睡眠に入るのに適した状態に促進。睡眠前30分から1時間前の入浴を心がければ不眠症の改善につながります。
2-4. 便秘
39℃~40℃のぬるめのお湯に15分~20分程度の入浴。
便秘は万病の原因になります。便にある毒素が血流によって身体をめぐり、全身の細胞に悪影響を及ぼします。湯船に浸かって内臓を温めれば、腸の働きも活性し、便通も改善に効果的です。副交感神経の作用で質の良い睡眠も促進され、便秘の解消にもつながります。
2-5. 冷え症
男性は女性に比べ「冷え」に対して鈍感です。意外に今ある体調不良が「冷え」が原因していると気付かずにいることも多いのです。
・常に疲労感がある
・気力がない
・下痢、便秘、痔になりやすい
・夜眠れず、昼に眠くなる
・目の疲れ、肩こり、腰痛
・抜け毛などもじつは「冷え」の症状のひとつです。
40℃~41℃と少し高めの温度設定で10分~15分湯船に浸かるよう習慣だててください。血行も促進され、自律神経も整い、腸の働きも活性します。腸は身体の70%の免疫機能を司っています。腸を活性させれば免疫機能も向上します。
3. 効果的な入浴法
3-1. 全身浴のすすめ
半身浴は長時間の入浴には適していますが、上半身が温まらないデメリットがあります。短時間で三大効果(1.入浴の効果)を期待するなら全身浴がおすすめです。
3-2. 入浴前後にはしっかり水分補給
入浴の際、全身から多くの水分が失われています。その補給は大切です。脱水症状を防ぎ、血行を良くし、デトックス効果にもつながります。
3-3. かけ湯は入浴温度に身体をならすため
入浴の際、血圧は30~50に急上昇します。高血圧や糖尿病、体力に自信のない方や高齢者は、まず足元から心臓にむかって、かけ湯で身体を温度変化にならすように注意してください。
4. ただし長風呂にはデメリットも
入浴が身体に良いからといって、ただ単純に入浴時間を長くすれば効果があがるわけではありません。
4-1. 体力を消耗
長時間の入浴は身体の機能を活性させた状態が続きます。肺や心臓の活動も活発になって、代謝も促進されます。30分の入浴は30分運動しているのと同じ状態。必要な体力も消耗され、逆に疲れの原因になってしまう場合も考えられます。
4-2. 乾燥肌の原因
長時間湯船に浸かっていると、毛穴も開いて肌細胞の水分も蒸発してしまいます。そのまま放置すれば肌の乾燥を招いてしまいます。男性もスキンケアは必須。ゴワゴワ、カサカサの肌は身だしなみとしてもNGです。
4-3. 長風呂には心筋梗塞のリスクを高める可能性も
42℃以上の熱いお風呂に入ると血圧も一気に急上昇します。さまざまな病を悪化させる原因になるだけでなく、心臓にも大きな負担となって、心筋梗塞や心臓発作、狭心症、脳梗塞、脳出血などの深刻な症状を発症してしまう恐れがあります。
5. まとめ
入浴は健康維持のためにぜひおすすめしたい習慣です。シャワーだけでなく入浴を心がける、忙しければ億劫になりがち。けれど、運動効果やストレス解消、ダイエット法としても、最も手軽で効果の高い健康法です。実践しなければもったいない効果が満載なので、ぜひ健康的な入浴法は試していただきたいです。忙しいからこそ、日常のリラックスタイムは継続的にとりましょう。