人はなぜ太るのか?肥満の原因を探る!
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人はなぜ太るのでしょうか? 今回は「太る」メカニズムを調査してみました。人間の体内に存在する脂肪細胞まで深掘ります!
1.「太る」メカニズムはいたってシンプル!
1-1.遺伝子レベルで決まっている
我々人間が日頃の食事から摂取するエネルギー。カラダは、このエネルギーに余剰があるとすぐに脂肪にして体内に溜め込もうとします。なぜ消費せずに溜め込もうとするのか?それは、現代の日本で生きていく分には、「脂肪として溜め込む」という機能は必要ありません。
ですが、人類の長い歴史の中では、常に飢餓との戦いでした。この飢えに対抗するために、食べたエネルギーを出来るだけ体内に保持しておくという機能が生まれたと考えられています。
摂取した糖質やタンパク質を、そのまま保持してれば良いじゃんと考えた、そこのあなた! なぜ、わざわざ脂肪にして体内に溜め込む必要があるのかという疑問に関しては、脂肪の方がコンパクトだからという結論に至ります。
脂肪は1gで9キロカロリーのエネルギーを保持できますが、糖やタンパク質は4キロカロリーしかありません。脂肪に変えて溜め込む方がコンパクトなのです。
この遺伝子レベルの「体内の働き」こそ「太る」メカニズムになっているのです。
1-2.エネルギーをもつ三大栄養素
摂取するエネルギーには大きく三つの種類があります。
- 炭水化物(糖質)
- タンパク質
- 脂質
上記の摂取した栄養素の95%は体内に吸収されていきます。自分が摂取した食事のエネルギーはほぼほぼ吸収されると考えて問題ありません。
という事は、その吸収されたエネルギーを使わなければ、エネルギーの使い道がなくなり脂肪として蓄積される流れになるのです。
このように脂肪が体内に蓄積されていくと、徐々に「肥満」というステージに進んでいくことになります。この蓄積されていく元の「余剰エネルギー」を簡単な計算式で紹介します。
1-3.余剰エネルギー(脂肪に変化)=摂取エネルギー ー 消費エネルギー
食事から摂取したエネルギー(カロリー)の量が、体内で消費されたエネルギー(カロリー)の量より大きくなると、それが余剰エネルギーとなり、脂肪へと変化し蓄積されていきます。
逆に消費エネルギーの方が大きくなると、脂肪は消費されていきます。
取りすぎたモノを何もしないでゼロにする事はできないので、消費しないとひたすら溜め込みます。
大食いの人やジャンクフードなどの高カロリーのモノが大好きな人ほど、摂取エネルギーの余剰が出やすいのは確かですが、その結果が必ずしも肥満に繋がるとは言い切れません。肥満は食事の量の大小、摂取カロリーの大小に関わらず、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回っているかどうか、その一点のみで決まるのです。
ダイエットする上で、この摂取カロリーと消費カロリーのカロリーギャップを作ることが唯一無二の考え方です↓
1-4.1ヶ月で1.5キロ増
毎日の摂取カロリーが2000キロカロリーで消費カロリーが1640キロカロリーの人がいたとすると、毎日360キロカロリーの余剰エネルギーが生まれてしまいます。
脂肪は1gで9キロカロリーのエネルギーを保持できるので、360÷9=40g。
脂肪細胞には20%の水分が含まれるので、40+8=48g。
この48gの脂肪が毎日増えていく計算になります。1日で見れば少ない数字ですが、この生活が1ヶ月経過すると、48g×30日=1440g(1.44キロ)。
約1.5キロの体重増加になるのです!しかも純粋に脂肪が1.5キロ増!
これは恐怖だ。。
1-5.リバウンドのメカニズム
1-4.で紹介した体重増加の例を見て、自分の消費カロリーを把握して、摂取カロリーを抑えようと思った方が多くいると思います。ですが、その思考は一歩間違えれば、危険な手法かもしれません。
極端な食事制限でのダイエットを行う場合、1日の摂取カロリー量を大幅に減らすことになるので、体が飢餓状態を感じてしまい、カロリーを消費しにくい体になってしまう場合があります。
細胞レベルで摂取したエネルギーから脂肪を多く取り込もうと必死で頑張ってしまう体の状態になり、食事制限ダイエットをやめ、前の生活習慣に戻した途端、以前より太りやすい体質(エネルギーが消費されにくい体)に変化しているので、体重がダイエット前より増えてしまうといったケースが多く見られます。これがリバウンドです。
エネルギー(カロリー)を消費しにくい体質になってしまうメカニズムには、「ホメオスタシス(恒常性を維持する)」体の機能などが関係しているんですが、長くなるので割愛します。また別の記事で詳しく書きたいと思います。
1-6.消費エネルギーの増加を目指そう
現代社会の肥満の原因は、摂取エネルギーの増加ではなく、消費エネルギーの減少にある可能性が高い!
引用:スロトレ実践報告ブログ
このグラフを見てもわかる通り、日本人の摂取カロリーは低下しています。それなのに、特に男性に限って言えば肥満率は増加しています。
ということは、肥満の原因は、食べ過ぎによる摂取エネルギーの増加というよりも、運動不基礎代謝足による消費エネルギーの減少であると考えられます。日常生活で消費エネルギーの増加に頭を使いましょう!
1-7.消費エネルギーの種類
- 基礎代謝エネルギー(70%)
- 活動代謝エネルギー(20%)
- 熱生産エネルギー(10%)
1.基礎代謝エネルギー:
生命活動を維持するために必要な最小のエネルギー(寝てても消費しています。)
2.活動代謝エネルギー:
体を動かす時に消費するエネルギー
3.熱生産エネルギー:
体温維持や食べ物を消化・吸収する時に消費するエネルギー
交通手段の発達により、あまり体を動かさなくなった現代人にとっては、運動不足による基礎代謝・活動代謝の減少が肥満に大きく影響している可能性があります。
また、ファストフードなど短時間で食べれる消化吸収に時間を使わない食べ物の場合、熱生産エネルギー減少も懸念されます。
運動習慣を取り入れ、エネルギーを消費しやすい体づくりを目指しましょう!
次は、余分に余ったエネルギーの行き先を辿ります。
2.取りすぎたエネルギーが脂肪となり、蓄積される場所
2-1.脂肪細胞に中性脂肪として蓄積される
体内に蓄積された脂肪のことを「体脂肪」と呼びます。この体脂肪の蓄積場所で一番多いのが、皮下脂肪や内臓脂肪にある脂肪細胞です。
体内で余分に余ったエネルギーは、脂肪細胞に中性脂肪として蓄積されます。脂肪細胞の中には細胞核やミトコンドリアなどが存在しますが、ほとんどのスペースが中性脂肪で構成されています。
この脂肪細胞の内容量には限界があり、最大で3倍まで膨張することができますが、そのレベルまで中性脂肪を溜め込むと、分裂します。
すると、細胞内に新たなスペースができ、また、どんどん中性脂肪を溜め込むことが可能になります。
脂肪の膨張・分裂を繰り返し、体内に占める脂肪の量が増加し肥満に向かっていくという訳です。
脂肪細胞は細胞分裂することも最近明らかにされ、脂肪細胞の分裂が生じ、脂肪細胞の数も増加する。このような過程の連続によって脂肪細胞が肥大化すると共に数そのものも増加する
肥満により体が膨張していく仕組みが理解できたかと思います。
3.白色脂肪細胞と褐色脂肪細胞
2で紹介した脂肪細胞は、エネルギーの貯蔵と放出の役割がある白色脂肪細胞の事をいいます。実は脂肪細胞にはもう一つ「褐色脂肪細胞」というモノが存在します。
これは、「1-7.消費エネルギーの種類」で紹介した、熱生産エネルギーの体温の維持で活躍するヒーターのような機能を持つ脂肪細胞になります。
エネルギーを消費して熱を生む褐色脂肪細胞は、脂肪細胞でありながらエネルギーを消費し、結果「脂肪を消費する脂肪」という、なんか凄いヤツなのです!
この褐色脂肪細胞を活性化する事によって、消費エネルギーを増加させる事が可能だと言われています。褐色脂肪細胞の活性化に関しては、長くなるので別記事にします。
4.まとめ
今回は、「太る」について色々と深掘りましたが、
人間の体の仕組みを理解することで、トレーニングや食事制限、ダイエット情報が正しいかどうか判断できるようになり、誤った情報に振り回されることはなくなると思います。それにより効率的にダイエットを進める事が可能になります。
体の仕組みを理解し、正しく効率的にダイエットやトレーニングを行いましょう!巷に溢れている痩せるサプリや偏食系ダイエットに振り回されてはいけません。