人ごとじゃない!糖尿病の脅威!そのメカニズムと日々の生活での予防策
生活習慣病の一つである糖尿病は、自覚症状が少ないため、なかなか気づきにくいとされています。しかし、ひと度罹患すると、重い合併症を引き起こす危険性があります。日頃から予防を心掛けることが大切でしょう。ここでは、糖尿病のメカニズム等に触れ、基本や罹患後のこと、さらに予防のための注意点などについて、お話しています。
1.糖尿病の基本的なこと
1-1.糖尿病の特有な症状と種類
糖尿病は、すい臓から分泌されるインスリンが低下することで、発症します。いくつか特有な症状があり、例えば疲れやすいというものがあります。あるいは、太る、薄味の食事に不満足、さらに視力低下や足のしびれなどもあります。以上のほか、喉が乾きやすくなったり、頻尿になったり、急激に痩せてしまうことも、糖尿病の症状です。これらはいずれも、インスリン低下により、ブドウ糖の十分なエネルギー変換ができないことが原因です。
また、糖尿病の種類には、大きく2つのものがあります。まず、1型糖尿病です。これはウィルス感染などが主な原因であり、10代の若者に発症しやすくなっています。もう1つが2型糖尿病で、生活習慣などが関係し、中年以降の人が罹りやすい病気です。
これらのほか、妊娠が原因の妊娠糖尿病、あるいは、肝臓障害や薬の副作用で引き起こされる特定型糖尿病などがあります。一般的に糖尿病として知られているのが、2型になります。患者の約9割が、この種類の罹患者となっています。
1-2.糖尿病の仕組みを解読
糖尿病の原因は、インスリンという物質が足りなくなることです。インスリンとは、すい臓から分泌されるもので、ブドウ糖をエネルギーに変換し、残ったものを脂肪に変える働きがあります。しかし、インスリンの量が減ってしまうと、ブドウ糖が溢れ出るようになり、血液に流れます。そうして、血液中のブドウ糖の量、つまり、血糖値が上がり、次第に体のバランスが悪くなって、所々に支障を来します。これが糖尿病のメカニズムでもあり、健康診断などで血糖値を計る理由がお分かりになるでしょう。
では、なぜインスリンの量が減ってしまうのでしょうか?たとえば、1型糖尿病であれば、ウィルスなどが体に侵入し、すい臓を傷めてしまったことから、インスリン分泌が減ってしまうことが考えられます。あるいは、特定型糖尿病であれば、副作用を引き起こす薬の摂取などが原因です。しかし、罹患者が最も多い2型糖尿病では、様々な原因が考えられています。遺伝的な体質、不規則な食生活、ストレスなど、生活習慣と関係したものが指摘されています。このため、生活そのものの改善が糖尿病予防に繋がるとも言われています。
もし、インスリンの量が少なかったり、分泌されても上手に働くことができなくなると、血糖が一定の値を超えて高い状態が続きます(高血糖)。この状態が糖尿病なのです。
1-3.糖尿病になりやすい生活習慣とは
最も罹患者の多い2型糖尿病が、生活習慣病の1つならば、どういう人が罹りやすいと言えるのでしょうか?代表的なものが、次の3つのケースです。
糖尿病になりやすい人
・運動不足
・不規則な食生活
・肥満
まず、運動不足の人を挙げることができます。家にこもってばかりのテレビ視聴やパソコン、スマートフォンでインターネットやゲームばかりをすることも含まれるでしょう。要するに、活動的ではない人です。
2つ目に、朝食を取らず、夜遅くに夕食を取る人です。1日3食バランス良く食事をするのが理想ですが、朝の分を夜に取ってしまい、消化吸収などが不十分となって、脂肪を増やしてしまいます。肥満になりやすくなり、糖尿病リスクが上昇します。
3つ目に、若い頃の服が着られなくなった人です。それだけ太ってしまい、脂肪が増えてしまったことの表れです。加齢によって体型は変わりますが、過剰になり過ぎると、糖尿病リスクが高くなるようです。目安は、若い時より5キロ以上の増加です。
以上をまとめると、運動不足、不規則な食生活、肥満が、糖尿病になりやすい生活習慣とも言えるでしょう。
2.糖尿病罹患後の三大合併症と治療法
2-1.自律神経に障害が起きる
症状
・手足のしびれ
・感覚の鈍化
糖尿病に罹患すると、重い三大合併症を発症する危険もあります。その一つが糖尿病性神経障害です。三大合併症の中でも、もっとも罹りやすいようで、端的に言えば、自律神経に障害を引き起こし、末梢神経に症状が出やすいとされています。たとえば、手足のしびれがあります。また、感覚が鈍ることもあります。火傷に気付かなかったり、すり傷をしてもあまり痛みがない等です。あるいは、ケガに気づかず、バイ菌の侵入を許してしまい、最悪壊疽(えそ)となり、手足を切断することもあります。
なお、現在では、糖尿病の若年化も進んでいるようです。社会のあり方と関係が深いのかもしれませんが、糖尿病性神経障害もまた、若年層で罹患している人がいることも、理解しておくべきでしょう。
2-2.目に悪影響を及ぼす
糖尿病罹患後の三大合併症の1つに、目に障害を与えるものがあります。それが糖尿病性網膜症です。これは、目の網膜にある毛細血管が、血糖値の上昇によって、血液循環がスムーズにならないことが原因でもあります。
当然、毛細血管にも酸素や栄養が流れ、見えるという働きの一翼を担っています。しかし、血液循環がスムーズにならず、酸素や栄養の供給が十分できなければ、見えることに障害が出てきます。最悪は失明にまで至ります。
このため、糖尿病性網膜症も、早期発見が大事であるようです。仮に糖尿病と診断されたのであれば、眼科を受診する必要もあるでしょう。定期的な眼科検診を受けることで、最悪の事態を防ぐこともできます。
2-3.腎臓に異変が起きる
血糖値が高いと、尿にまで影響します。尿は腎臓で作られますが、血糖値が高いことで、腎臓のろ過機能がうまく行かず、排尿に障害を与えます。これが糖尿病による合併症の1つで、糖尿病性腎症と言われています。
進行すれば腎不全などを発症し、人工透析が必要になります。週に数回程度病院へ行き、透析を受けることになります。また、5年以上続けると、腎臓移植となる可能性も高まります。そうなれば、普段の生活にも大きな支障を及ぼします。
現在、日本にはかなりの数の人工透析患者がいるようです。毎年1万人程度の増加となっていますが、その1万人とは、糖尿病性腎症の罹患者です。こういう点からも、現代日本における糖尿病は、大きな社会的問題の一つなのかもしれません。
※ただし合併症の発症の順序や発症までの期間は一般的な話であり、必ずしもこのようになるとは限りません。
2-4.現在の治療法とはどういうものか?
治療法
・食事療法
・運動療法
・薬物療法
糖尿病の治療の目的は、血糖値をコントロールすることです。それによって、血液のつまりをなくし、体内バランスを整える必要があるからです。また、糖尿病ではない人との寿命を合わせることも目的の一つのようです。では、どんな治療法があるのでしょうか?主に3つのものがあります。
まず、食事療法があります。余分な糖分を食事の量や種類によって、消化吸収させるようにします。バランスの良い栄養にし、炭水化物やタンパク質、脂質なども摂取するようにします。専門家と相談しながらメニューを決めることも大切です。
次に、運動療法があります。脂肪を落とすことと同時に、筋肉も付くことになります。それだけ、糖分がエネルギーなどに変換されることでもあります。運動と言っても、ウォーキングやジョギング、年齢に見合った筋力トレーニングなどがあります。
最後に、薬物療法になります。糖尿病の場合、インスリンが低下することで引き起こされます。したがって、インスリン注射が主な薬物療法となるでしょう。しかし、様々な種類があるため、患者の経過などを見ながら、医師が適切なものを選択して行きます。
以上、糖尿病罹患後の治療法になります。しかし、先述している三大合併症に罹患すれば、それに合わせた治療法も取られます。こういう点も、十分理解しておく必要があるでしょう。
3.糖尿病にならないための注意点
3-1.体を動かすことが大事
糖尿病の原因の1つに、運動不足があります。糖をエネルギーに変え、十分な量を体内に取り入れるには、運動することが大事でしょう。けれども、ひと口に運動といっても、どのようにすればいいのか分からない人もいるかもしれません。たとえば、入りやすいものであれば、ウォーキングがあります。自宅近所でコースを見つけることもできるでしょう。あるいは、自分がしたいスポーツをすることも、運動不足解消の1つになります。
さらに、会社帰りに立ち寄れるスポーツジムへ通ったり、自宅で腹筋や腕立て伏せをしたりすることも、運動不足解消につながります。目標時間は、1週間で約2時間半です。この時間であれば、十分習慣化できるのではないでしょうか?
3-2.食事の量も考えよう
食事量が多すぎることも、糖尿病リスクを高めます。特に体重の多い人は、量を調整する必要があるでしょう。目安として、肥満などの人は1日200カロリーを減らすことがベストなようです。200カロリーと言われても、ピンと来ない人もいるかもしれません。たとえば、おにぎり1個、菓子パン1個で200カロリーに達するようです。仮に大雑把で見れば、オヤツなどの間食を減らすことで、かなりの量のカロリー低減が見込めるでしょう。
しかし、いわゆるドカ食いも、あまり推奨されません。結局は、朝昼晩と三度の食事を摂り、なおかつ、栄養バランスの取れたメニューにすることでしょう。
3-3.ダイエットもしっかり
太っている人の糖尿病リスクが高いことは、すでにご存知かもしれません。それだけ脂肪分が多く、糖分をきちんと消化できていないことが考えられるからです。したがって、肥満の場合、減量することも糖尿病予防につながります。
理想としては、3ヶ月で3キロの減量になります。60キロの人であれば、約5パーセントの体重であり、それだけでも、かなり効果がありそうです。しかし、運動が苦手な人などは、5パーセントの体重を減らすにも、四苦八苦することでしょう。したがって、3ヶ月毎のスケジュールを立て、ゆっくりじっくり行うことが重要かもしれません。しかも、継続していく必要もあり、無理なく行うのが大切でしょう。
4.まとめ
以上、糖尿病の基本的なことや合併症、あるいは、予防方法などについて、お話して来ました。生活習慣病でもあるため、日頃から予防を頭に入れておくことが、大事なのかもしれません。それこそ、予防自体を生活習慣化することが、重要でもあるでしょう。