一流アスリートも実践。体幹トレーニングのメリットとは?
サッカー選手の長友佑都など一流アスリートの筋トレ方法が体幹トレーニングです。このトレーニング方法は、体の中にある筋肉、インナーマッスルを鍛えて体が本来持っている姿勢やバランス感覚などを培う方法です。体幹トレーニングはどんなメリットがあるのでしょうか。
1.体幹とは
体幹とは、体の幹となる部分、身体の頭と手足を抜いた部分のことです。体幹の回りには体幹筋という筋肉と体肢筋という筋肉があります。体幹筋は運動時のバランスをとるときに骨格筋を動かす筋肉なので、この筋肉が弱いと不安定になります。上肢、下肢に属する筋肉を体肢筋といいます。木の幹と同じで体の中心、コアの部分です。
体幹とはどの部分かというと、一般的に横隔膜、腹横筋、多裂筋、骨盤底筋群、背筋群などの筋肉のことです。体幹筋を鍛えるとは、主に胴体部分である腹筋群や背筋群を鍛えることになります。
体幹筋の腹筋と呼ばれているのは腹直筋で腹部の表面にあります。深いところにある筋肉は腹横筋で、腹直筋は腹部を丸めるときに収縮しますが、腹横筋は動きはなく体を守るコルセットのような働きをします。では、体幹を鍛えるとどんなメリットがあるのでしょう。
2.体幹を鍛えるメリット
体幹を鍛えることのメリットはいくつかあります。
2-1.姿勢が良くなる
腹筋や背筋の力が弱いと背中が丸くなってきます。体幹を鍛えるということは腹筋や背筋を鍛えることになります。すると、お腹の中にある腹横筋が体を支え、腹直筋によってお腹が締まり、背中が伸びます。体幹を鍛えると姿勢がよくなり、背が伸びた感じを受けます。姿勢を良くするためには体幹が大きな働きをしています。
2-2.体を支えるバランスが良くなり安定する
体幹を鍛えるのは主に深層筋を鍛えることです。インナーマッスルと言われる深層筋は体の軸を安定させることになります。そのことによって、サッカー選手のように片足で体を支えてボールを蹴ったり、体をひねって態勢を整えるという動きが出来るのです。体幹を安定させることはスポーツをする上において非常にメリットになります。
2-3.体幹によって体の動きをスムーズに行う
身体の動きは表層筋によって動いています。体幹を動かすことによって、体幹につながる両手足の体肢筋を動かすことが出来ます。体の動きがしっかりしているほど、それに連動して両手両足を動かすことが出来るのです。
2-4.太りにくい体になる
体幹が鍛えられると、インナーマッスルが鍛えられ基礎代謝量が増えます。すると、消費エネルギーが増えるので、太りにくい体になります。
2-5.肩こりの改善や腰痛の予防になる
筋肉には、骨と骨をつなぎ、関節を安定させる役割があります。筋肉を鍛えていないと、骨を矯正しても元に戻ってしまうことがあります。体幹を鍛えると、骨を自分の力で正常な位置に安定するので腰痛予防、肩こりの改善につながります。
3.体幹トレーニングのポイント
長友佑都選手のトレーナーは、「体幹を鍛えるために腹筋と背筋だけを鍛えるといいと考えて、トレーニングをすると腰痛になる場合があるので、バランスのいい体幹を作るには柔軟性が必要である」と言われています。柔軟性があると、けがをしにくくなります。
安定した体幹を身につけるには、腹筋と背筋だけでなく、お腹の横の筋肉などバランスよく鍛えることがポイント。腹筋と足を引き上げる筋力を連動させることで、瞬発力が生まれるので、瞬発力も大切だと体幹トレーニングのポイントを語っています。
3-1.ドローイン呼吸法
体幹トレーニングの基本はドローインという呼吸法です。体幹トレーニングのポイントは呼吸を止めてはいけないということです。ドローインという呼吸と動きを合わせることによって、効果が一層上がります。
ドローインの効果は、腹横筋を鍛えるので姿勢が良くなり、ウエイトトレーニングで効果的である、スポーツで軸がぶれない体づくりが出来てお腹を引っ込ませることが出来ます。また、腸の活性化につながり腹横筋の働きが強くなるので便秘解消につながります。運動と一緒にするともっと効果的です。
3-2.立ちドローイン
立ちドローインのやり方
1.まっすぐに直立して立ち、胸を張って背筋を伸ばします。地面に垂直に立つということです。
2.内臓を持ち上げるイメージで思いっきり息を吸い込み、お腹を引っ込ませます。
3.丹田(へその5~9㎝下)を意識しながら息をゆっくり吐きながら、さらにお腹を引っ込ませ、お尻を締めます。
4.お腹を引っ込ませたまま、浅い長い呼吸を行うようにし、15秒ほどします。
5.次第に30秒、40秒と伸ばしていくと腹横筋を鍛えることが出来ます。
3-3.仰向けドローイン
また通常の筋トレ時でも意識的にドローインの状態でトレーニングすることで、常に腹横筋のトレーニングも兼ねて筋トレしていることになり、オススメです。
ドローインのやり方セット数の目安:5〜10回×1〜2セット セット間のインターバル:1分
- 仰向けの状態で膝を90度に曲げる
- 胸を張って腹部に手を当てる
- 胸を張った状態で、息を吐きながら、できる限りお腹を凹ませる
- お腹を凹ませた状態で20〜30秒キープする
ドローインのポイント
- ・四つん這いや立位・座位など、どんな姿勢でも可能
4.体幹のコアトレーニング
4-1.プランク(フロントブリッジ)
プランクは基本的な体幹トレーニングです。体幹トレーニングをするときはドローインしながら行います。背中とお腹の筋肉を意識して行いましょう。腹筋のない人には、プランクはきついかもしれません。
プランクを行うときは、体を一直線にします。目線は少し前で顎を上げないようにします。プランクをしながら、ドローインをします。
プランクのやり方セット数の目安:20〜60秒キープ×3セット セット間のインターバル:1分
- 床に対してうつ伏せの状態で、肘と足先だけで体を支える
- 頭からかかとまでが一直線になるように姿勢をキープ
4-2.クランチ
お腹が割れる腹直筋になりたいと思う人は取り入れたい体幹トレーニングです。
クランチは上半身は半分だけ起こすイメージで行います。上半身を上げた時に、腹直筋が最大限に収縮したところで止めることがポイントです。腰は浮かさないで、浮く手前で止めます。頭を上げた時に呼吸をゆっくり吐いて腹筋に力が入ることを感じます。
クランチのやり方セット数の目安:15レップ×3セット セット間のインターバル:40秒
- 仰向けになり、膝を90度に曲げ、足を持ち上げる
- 両手を耳にあて、脇をひろげる
- おへそを覗き込むイメージで背中を丸める
クランチのポイント
- ・手の位置によって負荷を変えられる
- 胸の前で組む < 頭の後ろに組み、脇を締める < 耳の横に当て、脇を開く
4-3.アームスタンディング
プランクは肘を曲げて行いますが、アームスタンディングは肘を伸ばしたまま行います。腹横筋、多裂筋、腹直筋、上腕三頭筋、三角筋なども刺激されます。プランクの初級編です。
手の置き方は指先をやや外側に向けることで手の負担を減らします。頭から足まで一直線を保ち、このことにより体幹に負荷をかけます。限界まで静止した状態を維持することでインナーマッスルが鍛えられます。
アームスタンディングレッグレイズは静止地点で片足を浮かすことによって負荷が高まります。体が傾かないように耐えないといけないので、大体四頭筋、太ももの前側を収縮させて太ももの内側を鍛えます。基本姿勢より、より強い力で体を支える必要があります。
アームスタディングフロッグレッグは、浮かした足をさらに体側にひきつけます。レッグレイズより負荷が高まり、腰からお尻にかけての筋肉が鍛えられます。脚を引き付けた側の上腕三頭筋と三角筋が鍛えられます。
アームスタンディングのやり方
1.両手を床につき、足をまっすぐに伸ばす
2.肩が手頸の真上に来るようにポジションを調節し、足は閉じる
この姿勢がアームスタンディングの基本姿勢です。
3.この姿勢のまま60秒間静止する
4.これを1~3セット行う
4-4.フライングドッグ
フライングドッグは、背中から腰にかけての脊柱起立筋やお尻の大殿筋、肩の三角筋に効果があります。基礎代謝を上げることで余分な体脂肪が燃えやすくなります。
フライングドッグは10セットを1日2セット行います。体幹トレーニングをしながらドローインをゆっくり行います。この時に体幹を意識しながら行うことがコツです。
フライングドッグのやり方
1.床に両手両膝をついて軽く顔を上げて前をみる
2.対角線になる手足をゆっくりと伸ばす。この時に指の先からつま先まで一直線になるようなイメージで伸ばし、2、3秒静止する
3.逆の手足も同じように行う
4-5.下半身の体幹を鍛えるスクワット
スクワットは大体四頭筋を刺激して鍛えます。正しいスクワットは椅子に座るようにお尻を突き出して下がることがポイントです。下半身強化に優れています。
スクワットのやり方
セット数の目安:20レップ×3セット セット間のインターバル:30秒
1.肩幅より少し広めに足を開き、背筋はピント伸ばします。手は腰、胸の前、頭の後ろのどこかに置きます。顔は前を向けます。
2.ドローインの呼吸をし、お腹を意識しながらお尻を突き出すようにして、太ももと床が平行になるまでゆっくり腰を落とします。
スクワットの注意点
- ・背筋を真っ直ぐにして丸まらないようにする
- ・曲げた膝がつま先よりも前に出過ぎない(出過ぎると膝を痛める原因になる)
- ・足を肩幅程度に開き、より負荷をかけたいときには肩幅より大きく開く
- ・つま先は少し外側に向け、膝も同じ方向に向けて曲げる
- ・腰を落としながら息を吸い、戻りながら息を吐く
- ・元に戻すときに膝を伸ばしきらない(最後まで伸ばすと効果が半減する)
4-6.サイクルクランチ
サイクルクランチは、上体を捻りながら、両足を自転車を漕ぐように回転させながら行うトレーニングです。体幹の屈曲+回旋の動きなので、腹直筋と腹斜筋に効きます。また足を空中に浮かせた状態で足を回転させるので腸腰筋にも負荷がかかります。
普通のクランチよりもやや負荷の強い筋トレメニューになります。少しクランチに慣れてきて、他の腹筋運動も取り入れたいな、といったタイミングでおすすめです。
サイクルクランチのやり方セット数の目安:左右15レップずつ×3セット セット間のインターバル:1分
- 仰向けに寝た状態で足を90度に持ち上げる
- 両手を耳にあて、脇をひろげる
- 両足を回転させながら、上体を交互にねじる
サイクルクランチのポイント
- ・体をねじる際に、対角の肘と膝を極力くっつける
- ・上体を持ち上げすぎると負荷が逃げる
- ・メインの動きは体幹の屈曲ではなく「回旋」
4-7.サイドブリッジ
サイドブリッジで鍛えるのは、腹横筋と体の横にある腹斜筋、腹横筋、中殿筋です。横方向からの負荷に対して強くなります。
サイドブリッジ(膝曲げ)のやり方
1.横向きに寝ころがる
2.膝をそろえて90度に曲げて肘は肩の真下になるようにおく。この時、ドローインをする
3.腰を浮かし、頭から背骨が一直線になるように腰を浮かして30秒静止する
4.これを3セット行う
次に、脚を伸ばして行います。
サイドブリッジ(脚伸ばし)のやり方
1.横向きに寝て肩ひじをつく
2.しっかりドローインして、腹横筋に力を入れて持ち上げる
この時、両足首の間、両膝の間が一直線になるように身体をもちあげる
5.体幹トレーニングでコアの整った身体を目指そう
体幹トレーニングをすると、体の線がきれいになり、締まった体つきになります。骨の矯正もできて骨や内臓やインナーマッスルを守ります。僕は、立つのが辛い日もあるほどの腰痛持ちでしたが、体幹トレーニングを始めて見事改善しました。体幹トレ―ニングをして安定した身体になりましょう。
イラスト/トツカケイスケ