フルマラソンを完走するためのトレーニングメニューやコツ
フルマラソン初めての方でも、無理なく完走できるようにするためのコツやトレーニングメニューを紹介。いざフルマラソンを挑むことになっても「何をしていいかわらかない」という方は、この記事が参考になります。
1.フルマラソンを完走できるペースの目安は?
フルマラソンとは、42.195kmという長距離を走るマラソンのこと。フルマラソンを走る大会が、年間を通して数多く行われています。なお似た言葉として、21.0975kmを走るハーフマラソンがありますが、この場合の「ハーフ」は「フルマラソンの半分」という意味です。
1-1.目指す大会の制限時間を確認する
フルマラソン完走のために必要なペースを割り出すためには、目指す大会の制限時間を確認することが必要です。制限時間とはゴールまでに許された時間のことで、仮に制限時間を過ぎてゴールできたとしても、記録として認められません。それ以前に、ゴールさせてもらえず、専用のバスなどに収容されてゴール地点へ向かうケースがほとんどです。
制限時間はコースによって大きくかわりますが、初級者~中級者が目指す大会であれば、6~7時間が多いと思われます。たとえば有名な東京マラソンの制限時間は7時間、京都マラソンでは6時間です。ここでは多くのレースで完走できるように、制限時間6時間を目安に必要なペースを計算してみましょう。
1-2.制限時間6時間を目安に必要なペースを計算
このシミュレーションであると、1kmあたり8分30秒のペースで走れば最低限完走できることになります。とはいえ、スタートからゴールまで同じペースで走れるとは限りませんよね。20km・30kmを過ぎるとペースが落ちてくるものです。そのため、余裕をもって1km7分以内で走れる身体を作っておきたいところです。
初心者の方に細かいペース配分は難しいかもしれませんが、仮にスタートから一定して7分km/分で走れれば、レースの後半数kmを仮に歩いたとしても制限時間内に完走できます。「レース序盤から出来る限り7分/kmで走る」というのは、はじめてのフルマラソンでは簡単なペース設定と思われます。
2.フルマラソンを完走するためのコツ
2-1.レース当日から逆算してトレーニングの目標を立てる
具体的なトレーニングメニューのサンプルは後述しますが、レース当日から逆算し、42.195kmを完走できるように、大雑把な目標を立てることが重要です。たとえばマラソン初心者の方であれば、最初のうちは習慣的に一定時間走れるようにならしていき、「レース○ヵ月前には10km走れるようにしたいな」などとイメージしてみるとよいでしょう。
パソコンやスマートフォンのテキストにメモしてみる、紙に書きだしてみる、といったことをすればより具体的にイメージできるようになります。
2-2.余裕をもったペースで走れるようにトレーニングする
フルマラソン完走のために、最低限8.5分/km、余裕をもって7分/kmのペースで走れるようにしたい、というのは前述の通り。そしてトレーニング中は、7分/kmのペースで安定して走れることを目指すとよいです。
当然ながら短い距離ほど、速いペースで走れるのがベスト。たとえば「今日は時間がなくて3kmしか走れないけど、その代わり6分/km以内を目指してみよう」とか、意識的にペースを速めてみるとよいです。
2-3.レースより「酷な」トレーニングをしておく
アップダウンの多いコースだったり、真夏程でなくても気温が高い時期に行われたり、と一口にフルマラソンといっても大会によって違います。目標とする大会を経験した人に実際に聞いてみたり、ネットで口コミを探したりしてみて、そのコースの特長を把握しておきましょう。
たとえばアップダウンの多いコースなら、トレーニングでいつも走るコースに坂道を多く入れるとか工夫しておくとよいです。仮に平坦なコースだったとしても、坂道を走るトレーニングを積んでおくと本番が楽になるのでおすすめですよ。
2-4.トレーニングの際に食事や水分補給を意識してみる
レースの際に重要になるのが当日の食事や、レース中の水分補給です。5kmや10km程度の普段のトレーニングであれば、これらを気にすることはあまりないと思われますが、長い距離を走るときほど重要になってきます。
たとえばレース当日は、レースの2時間以上前にエネルギーとなる炭水化物を多く含んだ食事をとっておくとよいと言われます。トレーニングなどで10kmを大きく超える距離を走るなら、シミュレーション代わりに食事に気を付けてみましょう。
また走る途中でもスムーズに給水できるように、長い距離のトレーニングをする際に、ウエストポーチなどにスポーツドリンクを入れてトレーニングしてみるのもおすすめ。20分走ったら一口(100ml程度)飲んでみるといったペースで給水のタイミングをつかんでおくと、本番に活かせます。
2-5.がんばり過ぎて身体を傷めないように
トレーニングに慣れてくると、がんばり過ぎて身体を痛めしてしまうのはよくあること。「ひざが痛いな」とか「疲れがたまっているな」と思ったら、休んだりトレーニングメニューをゆるくしてみたりするとよいでしょう。無理して身体を壊してしまったら、しばらくトレーニングできなくなったりして、かえって逆効果ですよね。
3.フルマラソン完走のためのトレーニングメニュー例
初心者の方がフルマラソンを完走するためには、ある程度の期間トレーニングを重ねることが必要です。フルマラソンが初めてなら、基本的にはレースの4~6ヶ月前には、トレーニングを開始したいところ。ここでは短めに、レース4ヵ月前からトレーニングを始める想定でメニューの例を紹介します
3-1.【レース4ヵ月前】習慣的に30分走れる身体つくる
マラソンの経験がない方がいきなり長い距離、長い時間を走れるわけではないので、トレーニングをはじめる1~2週間は、週に3~4回程度、10分~20分の短い時間をジョギングし続けてみましょう。最初はペースを意識する必要はありません。ゆっくりでも決めた時間をきちんと走り切ることが重要です。
そうして3~4週目には、週に3~4回は30分間のジョギングをしてみます。この段階でもまだペースを意識しなくてもよいです。ゆっくりとしたペースでも、とにかく30分ジョギングできる身体を作っていきましょう。
なお平行して、軽く筋トレをすることもおすすめ。当然ですが、フルマラソンで完走するためには、それなりの筋力も必要です。腕立て伏せ・腹筋・スクワットといった基本的な筋トレを10~20回程ずつ、週に2~3回ぐらい続けてみましょう。これはレースの直前まで続けるのが理想的です。
3-2.【レース3ヵ月前】習慣的に60分走れる身体をつくる
3ヵ月前には、少しペースを意識して走ってみます。仮に7分/km以内で走り続けると、30分間では4.3~5km走れる計算。そこで距離を5kmに設定して、できるだけ30分に近いタイムで走れるように、意識してトレーニングしていくとよいです。
このとき7分以内/kmに近い時間で走れるようになるよう、徐々にペースを上げていきます。最初からこのペースで走る必要はありません。1kmあたり5秒とか10秒とか少しずつペースが速くなるようにがんばってみましょう。
並行して、週に3~4回のジョギングのうち、1~2回は60分間走り続けてみます。60分間のジョギングでは、この段階でペースを意識する必要はありません。安定して60分間走れる程度になれば十分です。30分程度のジョギングでペースを意識して走っていると、ペースを考えなくてよい60分間走が楽に感じますよ。
3-3.【レース2ヵ月前】ハーフマラソンに挑戦してみる
60分間ジョギングし続けることに慣れたら、この時間でもペースを意識して走るようにしましょう。7分/kmのペースで60分間走り続けると、8.6~9km走れる計算になります。そこで9~10km程の距離を計算してできる限り7分/kmのペースで走れるようにトレーニングを重ねます。ジョギングする回数は、本番のレース直前まで「週3~4回程度、そのうち1~2回は9~10km」程度でかまいません。
またこの時期から、上述したようにコースに上り坂を意識的にいれてみて、実際のコースより「酷な」状況でジョギングをするのも効果的。少しずつ本番のレースを意識したトレーニングを行うようにしていきます。
レース2ヵ月前には、ハーフマラソンを1度でも経験しておくとよいです。できれば、実際の大会に申し込んで走ると本番の雰囲気もつかめるので理想ですが、必ずしもそうする必要はありません。
近所などで21km走るコースを設定し走ってみるだけでも十分に価値があります。ハーフマラソンでは、まずは完走することが一番の目的ですが、余裕があれば7分/kmのペースにできるだけ近づけるように意識してみましょう。
3-4.【レース前月】30km走に挑戦してみる
この時期は、本番に近い距離を1度経験しておくのがおすすめです。「週3~4回程度、そのうち1~2回は9~10km」というトレーニングのペースはそのままに、1度だけ30km走ってみます。30km走る大会はあまりみかけませんので、自分でコースを設定することになります。
本番のレースに支障をきたしてはいけませんから、少なくともその2週間前には、30kmを体験しておきましょう。歩いてでも30kmを完走することが一番の目的ですが、レースが近いので大変かもしれませんが、7分/kmにできるだけ近づけて走り切れるようにしましょう。
4.まとめ
フルマラソンが初めての方は、42.195km走るというのは気が遠くなることのようにみえるかもしれません。しかし今回紹介したように、スケジュール感をもってステップアップしながらトレーニングすれば、無理なく完走が可能です。7分/kmのペースの感覚やコツをつかんでフルマラソンに臨むようにしましょう。