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スロートレーニング(スロトレ)の効果や方法をわかりやすく解説!

スロトレとは、ゆっくりした動作で筋トレを行うことです。名前の通りなので、それほど難しいものではありません。筋トレにはコンセントリック収縮(ポジティブ動作)、エキセントリック収縮(ネガティブ動作)、アイソメトリック収縮(等尺性収縮)の三種類の負荷があります。詳細は後述しますが、これらの負荷のどこでスロトレを取り入れるかも重要です。

1.筋トレの三種類の負荷

スロトレの前に、まず筋トレの負荷の種類について少し説明します。筋トレに三種類の負荷があることは上述の通りですが、それぞれ以下のようになっています。

 

コンセントリック収縮(ポジティブ動作)
腕を曲げるなど、筋肉を収縮させるときに掛かる負荷。

 

エキセントリック収縮(ネガティブ動作)
バーベルを持った状態で腕を伸ばしていくなど、筋肉を緩めていくときに掛かる負荷。

 

アイソメトリック収縮(等尺性収縮)
バーベルを持った腕を曲げたままキープするなど、筋肉の緊張状態をキープするときに掛かる負荷。

 

三種類の負荷は以上のように分類されます。そして、スロトレはポジティブ動作かネガティブ動作で行うことになります。アイソメトリックはキープなので早いも遅いもありませんが、実はスロトレに近い効果があります。

止まった状態はある意味もっとも遅い状態なので、アイソメトリックとスロトレの効果が似通っていることはなんとなく想像が付くかもしれません。

 

 

2.スロトレの効果やメリット

上述の通りスロトレはポジティブとネガティブの二種類の運動時に取り入れることが可能です。具体的にどのように取り入れていくのかは後述するとして、先にスロトレの効果について解説していきます。

 

2-1.筋肉を長い時間緊張状態にできる

上述のどの種類の負荷であっても、筋肉が緊張状態になっているからこそ筋トレになっています。そして、スロトレを行うことによって、速い動作よりも筋肉の緊張状態を長くキープすることが可能です。

いわば、アイソメトリックとポジティブかネガティブを同時に行っているような状況です。厳密にはアイソメトリックほど長時間キープするわけではありませんが、徐々に筋肉の収縮か伸長を行うことによって、長く筋肉を緊張させ負荷をキープできます。

ちなみに、よくスロトレは有酸素運動無酸素運動かが議論されることがありますが、それは負荷の大きさによって変わります。負荷が大きければ無酸素運動寄りになり、負荷が軽ければ有酸素運動寄りになります。

どのくらいの時間キープできる負荷なのか、回数は何回やるのか、といったことで変わってきます。また、無酸素運動と有酸素運動は明確に分離されるものではなく、ほとんどの運動はどちらの要素も含まれます。

そのため、無酸素運動寄り、有酸素運動寄り、といった表現がされるのです。スロトレを行う際にも、無酸素運動の効果を得たいのか、有酸素運動の効果を得たいのかによって負荷を変えると良いでしょう。

 

2-2.ケガをしにくい

ケガをしにくいこともスロトレの大きなメリットでしょう。特にウエイトトレーニングでは速い動作で行うとケガをするリスクが大きくなります。手を滑らせてバーベルを落とすようなリスクもありますし、一気に力を入れることで筋を傷めるようなこともあります。

スロトレは負荷が大きくても一気に力を入れるわけではないので、バーベルを落としたり筋肉がつったりするリスクが低くなります。また、すでに筋を傷めたりしている人がスロトレを行うケースも多いです。

徐々に力を入れていくことができるので、自分がどのくらい負荷を掛けるとケガした部分が傷むのかを確認できます。

 

2-3.反動を使わないので高い負荷が掛かる

スロトレは筋肉の収縮状態を維持できるので、負荷が掛かる時間が長いです。もちろんこれもメリットなのですが、反動を使えない分負荷が逃げないといったメリットもあります。

バーベル運動にしても懸垂などの自重筋トレにしても、一気に全身に力を入れて反動で動かすことが可能ですが、それだと負荷が逃げがちです。特に懸垂などはイメージしやすいですが、反動をつけるとわりと楽に体を持ち上げることができます。

一瞬しか負荷が掛からないという理由もありますが、体を振って上に持ち上げることによって、振り子の原理でついた勢いを上に持っていくことができるのです。同じ筋トレでも狙った部位に高い負荷を掛けたい場合は、スロトレが良いでしょう。

しかし、反動を使って全身運動で何回も繰り返し行う筋トレもメリットがあります。全身の筋肉を連動させるスキルが身に付き、また狙った部位の他にも負荷が掛かります。特に大きい筋肉に負荷を掛ける負荷の強い筋トレでは、反動を使う筋トレにもスロトレにもメリットがそれぞれあります。

 

2-4.血流を筋肉に留めることができる

厳密には血が留まるのは血管内ですが、スロトレによって筋肉の緊張状態を維持することによって、血流が止まります。これは加圧トレーニングと同じ効果になります。加圧トレーニングは外部から物理的に血流を止めますが、スロトレの場合は筋肉によって内側から血流を止めます。

血流を一時的に止めることによって、その後一気に血が血管を流れます。これによって血液の運搬能力が高まり、また血流が少ない状態でも筋肉の力を発揮できるようになります。血流が滞った状態では筋肉に掛かる負担が大きくなるので、同じ重量でも高い筋トレ効果を得られます。筋肉を緩めたときに一気に血液が流れることで血管の機能も強化できるので、加圧トレーニングやスロトレはメリットがあるということです。

 

 

3.スロトレの成長ホルモン分泌効果について

スロトレの特殊効果で成長ホルモン分泌量が増えるのではない

よくスロトレは成長ホルモンが多く分泌される、代謝がアップする、といった説明がされています。これはもちろん間違いではないのですが、普通に筋トレしても同様に成長ホルモン分泌や代謝アップ効果があります。

スロトレで特に成長ホルモンが分泌すると言われているのは、単純に負荷を掛けられる時間が長い、結果的に筋肉を疲労させることができる、といった理由です。つまり、スロトレの特殊効果で成長ホルモン分泌量が増えるのではなく、高い筋トレ効果を得られた結果、成長ホルモンが分泌するというメカニズムです。

スロトレも通常の筋トレもそれぞれメリットがあるので、うまく組み合わせるとより高い効果を狙えます。

 

 

4.スロトレのやり方

ネガティブ動作をスロトレにする

よく筋トレでバーベル運動を行う際に、素早く持ち上げてゆっくり下ろすと良いと言われます。これは、ポジティブを速い動きで行い、ネガティブをゆっくり行っています。つまり、ネガティブ動作のときにスロトレを行っているのです。

ポジティブ動作は一気に持ち上げることで神経系の発達も狙えますが、ネガティブ動作は速く行っても負荷が抜けるだけです。そのため、ネガティブ動作をスロトレにするのが良いでしょう。

ポジティブ動作もスロトレにしても良いのですが、精神的な負担が大きいです。負荷が掛かり続ける状態で筋肉を収縮させていくのは精神的にきついですが、逆にネガティブ動作なら精神的に楽でしょう。ネガティブ動作なら最終的に力を抜いてリラックスできるので、それまでの辛抱です。

ポジティブ動作なスロトレで追い込んでしまうと、収縮しきったところから一気に力が抜けてしまう可能性があります。負荷の大きさにもよりますが、高重量の筋トレのポジティブ動作でスロトレを行うのはやや危険でしょう。

たとえば、ベンチプレスをスロトレで挙げていって、マックスまで上がったところで力尽きると危険すぎます。逆に下ろす動作ならば、力尽きてもすぐに置けるので危険は少ないと言えるでしょう。そのため、一気に上げてゆっくり下ろす、という筋トレの基本は理にかなっています。

 

 

5.スロトレの筋トレメニュー

スロトレの筋トレメニューは、普通の筋トレメニューならだいたいどれでも実践可能です。ベンチプレスもデッドリフトもスクワットもゆっくりとして動作で行うとスロトレになるので、難しく考える必要はないでしょう。

しかし、スロトレのメリットは自重でも高い負荷を掛けられることなので、自重でできるスロトレのおすすめメニューを紹介します。

 

5-1.懸垂

鍛えられる筋肉:メイン(広背筋) サブ(僧帽筋下部、大円筋、三角筋後部)

懸垂はスロトレを行うメリットが大きいです。ウエイトトレーニングではないので体を持ち上げるポジティブ動作をスロトレにしても危険はありませんし、体を下すときにネガティブ動作はスロトレにすることで1回の懸垂の負荷を高めることが可能です。体を持ち上げた状態でキープすることによって、アイソメトリックトレーニングの要素も織り交ぜることができます。

しかし、それ以上に懸垂でスロトレを行うメリットがあります。それは、反動を使わずに確実に広背筋と上腕筋の力で体を持ち上げられることでしょう。体の反動を使った懸垂が悪いというわけではなくて、それはそれで全身を振る動きがうまくなる、全身の筋肉を連動させるスキルが身に付く、といったメリットがあります。消防士や自衛官はあえて反動を使った懸垂を行い、全身の筋肉を連動させる訓練を行っているくらいです。

しかし、狙った部位に確実に高負荷を掛けるためには身体を垂直に固定し、ゆっくり持ち上げてゆっくり下ろした方が負荷は大きくなるのです。また、体幹をキープすることで腹筋にも効果があります。

懸垂を自宅で行う場合は、反動を使うと懸垂台が倒れたり、ドアに固定しているバーが外れる危険性があります。そういう意味でも、自宅での懸垂はスロトレに向いていると言えるでしょう。

懸垂のやり方

セット数の目安:10レップ×3セット セット間のインターバル:1〜2分

 

  1. 手幅を肩幅程度にしてバーを握る
  2. 背中を反らし胸を張りながら体を引き上げる

懸垂のポイントや注意点

  • ・肩甲骨を寄せながら体を引き上げる
  • ・パワーグリップやストラップがあれば背中の筋肉に効かせやすくなる

デッドリフトで握力尽きるのでパワーグリップを買いに行きました。

 

5-2.プッシュアップ

鍛えられる筋肉:メイン(大胸筋) サブ(上腕三頭筋、三角筋前部)

筋トレと言えば、誰しも最初に思いつくであろうプッシュアップ!腕立て伏せです。腕を曲げてカラダをおろすネガティブ動作をゆっくりスロトレで行い、そこから素早く持ち上げるといった方法がおすすめです。

またこの時にカラダの姿勢をまっすぐキープする事で体幹トレーニングの効果も期待できます。

プッシュアップのやり方セット数の目安:15レップ×3セット セット間のインターバル:1〜2分

 

  1. 両手を肩幅より広くつき、上体を深く沈める。
  2. 姿勢をまっすぐ保ち、上体を持ち上げる

プッシュアップのポイントや注意点

  • ・手のつき方は、若干「ハの字」を意識
  • ・頭を垂れ下げない
  • ・胸を張って肩甲骨を寄せた状態で動作する

 

5-3.スクワット

鍛えられる筋肉:メイン(大腿四頭筋、大殿筋下部) サブ(ハムストリング、脊柱起立筋)

下半身のスロトレはスクワットがおすすめです。ゆっくり下ろし、すばやく持ち上げるイメージで行いましょう。背筋はまっすぐをキープし体幹トレの恩恵も受けましょう。

ノーマルスクワットのやり方

セット数の目安:20レップ×3セット セット間のインターバル:30秒

 

  • 1.肩幅程度に足を開きつま先を外側に広げる
  • 2.膝をつま先に向けて曲げながら腰を落とす
  • 3.膝を伸ばしながら元に戻る

ノーマルスクワットの注意点

  • ・背筋を真っ直ぐにして丸まらないようにする
  • ・曲げた膝がつま先よりも前に出過ぎない(出過ぎると膝を痛める原因になる)
  • ・足を肩幅程度に開き、より負荷をかけたいときには肩幅より大きく開く
  • ・つま先は少し外側に向け、膝も同じ方向に向けて曲げる
  • ・腰を落としながら息を吸い、戻りながら息を吐く
  • ・元に戻すときに膝を伸ばしきらない(最後まで伸ばすと効果が半減する)

 

5-4.アブローラー(腹筋ローラー)

鍛えられる筋肉:腹直筋

腹筋ローラーは直感的にわかると思いますが、スロトレ向きの種目です。ゆっくり行う事で強度が何倍にも増します。アブローラーはamazonなどで1000円ほどで売ってるのでコスパも良いです。

アブローラーのやり方セット数の目安:10レップ×3セット セット間のインターバル:1分

 

  1. 両膝をついて四つん這いになる
  2. アブローラーのハンドルを握る
  3. 前に転がす
  4. 自分が戻れる位置まで体を伸ばし、戻す

アブローラーのポイント

  • ・戻す時に股関節と肋骨を近づける(おへそを覗き込む)イメージを意識する

 

 

6.まとめ

スロトレを行う際には三種類の筋収縮を知っておくと、一つ一つの動作を効率的に筋肉に効かせることができます。スロトレを含め、正しい理解、正しいフォームで筋トレを行うとケガのリスクを避け、安全かつ効率的に筋肥大できますので、ぜひお試しください。

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