サハラ砂漠を230キロ走る!?サハラマラソンを調べてみた!
世界最大級の砂漠、サハラ砂漠。生きることさえ過酷なこの環境で、よりによってマラソンが開かれるのをご存知でしたか?その名も「サハラマラソン」。
今回は、そんなサハラマラソンをご紹介すると共に、チャレンジするための費用や準備、トレーニングまでご紹介します!
1.サハラマラソンとは?
1-1.世界で最も過酷なマラソン
貴方は「サハラ」と聞いて、思い起こすのは何でしょう?だいたいの人が、サハラ砂漠を思い起こすのではないのでしょうか。砂漠は過酷な環境です。その中で生き抜くことさえ難しい、死の世界ということもできます。
しかし、そのような環境のなかで行われるのが、「サハラマラソン」なのです。“世界で最も過酷なマラソン”と言われているこのレースですが、そのクレイジーさの反面、毎年行われています。
走る(歩く)距離は約230~250㎞、7日間に渡って行われ、まさにウルトラマラソンの頂点ともいえるのがこのサハラマラソンです。基本的に、毎年4月に開催されます。
1-2.サハラ「砂漠レース」とは違う
サハラマラソンと混同されるのが、「サハラ『砂漠レース』」です。こちらはエジプトのレースで、サハラマラソンはモロッコのレースです。しかし、サハラマラソンと負けず劣らず、サハラ砂漠レースも過酷なマラソンということができます。
こちらのサハラ砂漠レースは、NHKの企画でお笑い芸人のワッキーさんが2012年に完走しています。エジプトのサハラ砂漠を7日間かけて走るレースです。
2010年には梅宮アンナさんも挑戦していますが、こちらは熱中症のため初日でリタイアとなってしまいました。
ちなみに、サハラ砂漠の規模は、下記画像の赤い四角で囲ったエリアです。
引用:せかいつながる
2.参加するために必要なもの
2-1.費用
では、このサハラマラソンに参加するために必要な費用はどれくらいなのでしょうか?
日本からこのサハラマラソンに出場する場合、まずは開催地であるモロッコに渡るため、日本からの参加者の集合場所であるフランスのパリまで個人手配で渡航しなくてはいけません。つまり、まずはパリまでの渡航費が必要になるということです。
次に、出場費用。個人エントリーだと3450ユーロ、チームエントリー(3人以上のチームを組む必要がある)の場合は3550ユーロが必要です。この費用は大会出場費用の他に、モロッコへの往復チャーター便代も含まれています。
今のレートで換算すると、1ユーロが約130円なので、3450ユーロは約40万円、3550ユーロは約45万円です。とても高額で払えるものでは無い、という金額ではありませんね。お金を持っている大学生なら払える金額です。
2-2.準備する物品
大会規定で、自分が必ず準備しなければならない持ち物が決まっています。
・1日最低2000キロカロリー分×7日間分の食料
・コンパス
・シグナル用の鏡
・警告用の笛
・寝袋とアルミ製のサバイバルシート
・毒抽出用のスネークポンプ
・消毒剤
などです。また、貴重な水とテントは大会側から支給されます。
このように持ち物は決まっていますが、例えば食料は何を持っていくか、については自由です。軽くてかさばらない食品は限られていますが、自分の好きな味付けの食品を持っていくことで士気を高めることもできます。
大会規定の物品のみを持っていくのではなく、ネット上で経験者の装備の情報を集めて物品を用意するようにしたほうが良いでしょう。おそらくサハラ砂漠に行くのは初めての人が多いと思いますので、経験者の情報は大切な情報となります。
2-3.出場資格
出場資格としては、以下のようになっています。
次の条件を満たしている者
1.16歳以上。ただし、18歳未満は、両親か保護者の同意書が必要
2.大会本部が適正と認められる健康診断書および心電図を提出できる者
引用:国境なきランナーズ
大会資格では16歳以上から出場OKとなっていますが、個人的な考えとしてはやはり大人になってから出場するのをオススメします。18歳未満の人はまだ判断力などが甘い点があると思っているので、自分のことは自分でお世話できる大人が出場するのがふさわしいでしょう。
「2. 大会本部が適正と認められる健康診断書および心電図を提出できる者」にある大会規定の健康診断書と心電図は、もちろん日本語のものでは認められません。日程が近づいてきたらオンラインエントリーのページに健康診断書のフォーマットがアップされるので、それをプリントアウトし病院に持って行ってください。このサハラマラソンで使用される言語はフランス語と英語なので、健康診断書と心電図もフランス語・英語で書かれたものを用意する必要があります。
そのためフランス語圏か英語圏で受診しなければならない…ということはないようです。
最寄りの病院に可能かどうか聞いてみましょう。
3.出場するためのトレーニング
3-1.道路の上のトレーニングは意味無し
サハラマラソンは文字通りサハラ砂漠で行うものですから、アスファルトの上では走りません。ですから、通常のトレーニングで行うようなマラソンはサハラマラソンの練習としてはふさわしくありません。
では、どんな場所でトレーニングをすると良いのでしょうか?その答えは、重い荷物を背負って、足場の悪い場所で練習すると良いということに尽きます。
具体的には重い荷物を背負ったうえで、山でトレーニングする、ということが良いでしょう。同時に山でテントを張って野宿をすれば、夜を明かす際の訓練にもなってさらに効果が期待できます。
またサハラ砂漠といっても、一般的にイメージされる砂の砂漠は少なく、実際はほとんどが岩石砂漠です。つまり、砂浜で走る練習は後回しで、細かい岩の上、または小石の上を走る練習をしておくことも重要です。
3-2.体力をつけることが不可欠
何よりも重要なのは、サハラマラソンの日程を走りきることができる体力をつけることです。
いくら普段のトレーニングで長距離を走ることができても、それは日本の環境下においてです。本番で走る場所はサハラ砂漠。そう、厳しい環境下の砂漠地帯なのです。走る環境が違うだけで、大いに結果は変わってきます。
サハラマラソンは、厳しい環境下に耐えられる体力が試される試練の場といっても過言ではありません。下手をすると、命にかかわる事態を引き起こすこともありますので、サハラマラソンに耐えうる体力をつけることが何よりも大切なのです。
4.サハラマラソンのスケジュール
4-1.最初はテクニカルチェックとメディカルチェックから
サハラマラソンは、まずテクニカルチェックとメディカルチェックから始まります。テクニカルチェックは荷物や食料のチェック、メディカルチェックでは健康診断書と心電図の書類の提出を求められます。
これらのチェックは大会前日に行われます。この2つのチェックを通過できなければ、そこでもうサハラマラソンへの出場は出来なくなってしまいます。
毎回参加者は約1300人ほどですから、これらのチェックも長蛇の列の中で行われます。列に並ぶ時間とチェックにかかる時間を合わせると、合計1時間以上はかかるでしょう。この時点で暑さにやられてしまった方は、出場は見送ったほうが賢明でしょう。
4-2.サハラマラソン開催
いよいよサハラマラソンが始まります。6ステージ7日間を走る過酷なマラソンの始まりです。サハラマラソンのコースは毎年少しずつ異なっています。コースマップが渡されるのは、大会参加者が現地に入ってからとなっています。
初参加の場合、初日の時間は自分のペースをつかむために走るといって良いでしょう。荷物の重さ、砂漠の感触、そして暑さ。これらに慣れるために初日は存在するといっても過言ではありません。スタート時は皆まだ元気なのでそれに流されがちですが、あくまでも自分のペースを確保するのに集中したほうが良いです。
7日間という長期のレースなので、睡眠を適切にとることも大切です。決して意図して徹夜などはしないほうが良いのは、いうまでもありませんね。もっとも、夜になったら現地は何もできないほど真っ暗なので、寝ること以外に何か行うことは難しいでしょう。
4-3.チャリティステージ
6ステージ目は、チャリティステージになっています。このチャリティステージは、時間は計測するものの順位には影響しません。だからといって、走らなくて良いというわけではなく、サハラマラソンの完走者となるためには必ず出場しなければなりません。
この日は、参加したすべてのランナーがお互いをたたえ合う1日となります。
5.日本人は参加するのか?
5-1.2017年大会の日本人参加者数
2017年大会では、参加者約1300人のうち日本人が47名ほど参加しています。このうち棄権したのは5名で、あとの42名は無事完走しています。
5-2.サハラマラソンに参加した日本の有名人
サハラマラソンに参加した日本の有名人として、日本テレビ『ひらめ筋GOLD』のサハラマラソンプロジェクトとして西秋愛菜さん、柏木貴代さん、福井未菜さんの3名のアイドルが2006年の大会で完走を果たしています。
また、2008年の大会ではお笑い芸人の間寛平さんが完走を成し遂げています。
6.完走率はどのくらい?
全体としての完走率は、毎年80%を超える参加者が完走しています。
2015年大会では、全体として1237名が参加し、途中棄権は92名で完走率93%。日本からの参加者は34名で、2名が途中リタイアした結果、完走率94%を誇る完走率でした。
7.サハラマラソンの魅力とは?
サハラマラソンは非常に過酷なレースですが、自然と一体化できる、また自分自身を見つめる時間としては最良の手段であると思います。
テントのなか、選手同士でお互いに励まし合い、ともに笑いあう時間、そしてサハラ砂漠の雄大な景色を見た時間は、人生においてとても貴重な体験であることは容易に想像できます。
この記事を読んでくださっている貴方も、時間とお金が許せれば参加してみてはいかがでしょうか?必ず良い体験になると思いますよ。