1週間で筋肉量を2キロ増やす!?カーボローディング(カーボアップ)って何?そのやり方やメニュー、効果などを紹介
オフ期に筋肉をなるべく大きく鍛え上げ、コンテストに向けてカットを出していくのがボディビルです。フィジークやベストボディはバランスが重要になるので「筋肥大が正義」というわけではありませんが、ある程度大きい筋肉を作っていく必要があります。そして、ボディビルもフィジークもベストボディもカットが重要であることは共通しています。
1.カーボローディングで最後にでかくする!
1-1.カーボローディング(カーボアップ)
カーボローディング(カーボアップ)とは、筋肉に張りを持たせるために炭水化物を多く摂取することです。厳密にはマラソンランナーがグリコーゲンを貯蔵する目的でカーボローディングを行うこともありますが、体を魅せる人たちにとっては、カーボローディングは筋肉に張りを出して大きく魅せることが目的です。
1-2.カーボディプリートとの関係
ちなみに、カーボローディングの逆に炭水化物をカットすることをカーボディプリートと言います。カーボディプリートの目的は、筋グリコーゲンというカタチで貯蔵された糖質を一時的に枯渇させることにあります。
1-3.カーボローディングのスケジュール
だいたいコンテスト1週間前からカーボディプリート3日間→カーボローディング3日間+水抜き2日間のようなスケジュール感で行います。
あれほどカットしていた炭水化物をどうして大量に摂取するの?と思われる人もいるでしょう。炭水化物を大量に摂取する理由は、カーボディプリートで筋グリコーゲンが枯渇した状態のカラダが、それまでの反動で通常よりも多くの筋グリコーゲンを体内に蓄えようとしてくれるのです。その結果、筋肉が張ることにつながり、自慢の筋肉を大きく見せることができるようになるのです。
このように、カーボディプリートとカーボローディングはワンセットで考えることができます。
1-4.水抜きとは
ランナーや短距離走者などがパフォーマンス向上のためにカーボローディングを行う際は、水抜きは必要ありません。しかしビルダーなどのカラダを魅せるためのカーボローディングでは「水抜き」が必要です。その理由を解説していきます。
カーボローディングの目的は、筋グリコーゲン(筋肉に蓄えられる糖)を多く貯蔵させて筋肉を膨らませるということです。
ここで問題になるのは、グリコーゲンの性質上1g合成される時に2.7gの水分と結びつくということです。この性質を理解できれば簡単な話なんですが、筋グリコーゲンの貯蔵量が増えると浸透圧の関係で筋肉だけでなく皮下組織にも水分を溜め込んでしまいます。そうなれば、カラダがむくむのでカットが消えてしまい、「魅せるカラダ」がかすんでしまいます。
ここで行うのが「水抜き」です。筋グリコーゲンを溜め込み、筋肉が膨らんだ状態で皮下組織などに溜まった不要な水を抜くことで、カットを際立たせることができます。
1-5.筋グリコーゲンの貯蔵量
筋グリコーゲンの最大貯蔵量は、通常骨格筋重量の1-2%と言われています。骨格筋重量は、おおむね除脂肪体重を半分にした数字です。
体重80キロ体脂肪率10%の場合
除脂肪体重 = 72キロ
骨格筋重量 = 72キロ÷2 = 36キロ
36キロの1.5%は540g
筋グリコーゲンの最大貯蔵量 = 540g
実際の体重増加 = 540g+(540g×2.7) = 1998g
上記の場合、通常状態だと筋グリコーゲンの貯蔵量の増減で、2キロほど体重の増減が発生するということがわかります。
これがカーボローディングを行うと、通常貯蔵できる量の2~3倍のグリコーゲンを貯蔵することができるので、
カーボローディング時
540g×2 = 1080g
1080g+(1080g×2.7) = 3396g
「1年必死に頑張って筋肉量1キロ増えた!」という世界で、正しくカーボローディングを行えば1週間ほどで、見た目の筋肉量を2キロも増やすことが可能だということです。
2.カーボローディングで食べたい複合炭水化物
カーボローディングの際の食事回数や食事内容は人によって異なります。
しかし基本的には
といったことが重要です。
2-1.食事回数を増やす
まず食事回数に関してですが、これは消化吸収効率を高める、摂取量を増やす、といった目的があります。一気に食べても消化吸収しきれませんし、食事量にも限界があります。そのため、分散して食事量を増やすのです。
2-2.複合炭水化物
次に複合炭水化物とは、消化吸収に時間の掛かる、炭水化物の種類を多く含む食品のことです。逆に消化吸収が早く単一の炭水化物を含む食品を単純炭水化物と言います。カーボローディング中は複合炭水化物を多く摂取し、しっかりと体にグリコーゲンを貯蔵させていくことが重要です。目先のエネルギー確保よりも貯蔵が目的なので、体に蓄えられる複合炭水化物を摂取するのです。
複合炭水化物
米、パン、餅、じゃがいもなどの穀物、麺類、フルーツ
カロリーの割に炭水化物量が多い
単純炭水化物
砂糖を多く含むお菓子
胃に余裕があるならその分複合炭水化物を摂取した方がカーボンローディングの目的は達成しやすいです。
2-3. 調理法
調理法は油を極力使わなくて済む方法で行いましょう。またカーボローディング期間中は上で挙げた複合炭水化物を多く含む料理を中心に食べることになります。人にもよりますが、タンパク質の分量を減らし過ぎない人は卵掛けご飯や食パンに目玉焼きを乗せるような簡単レシピがおすすめです。
特にコンテスト前は水分や塩分もカットしていることが多いので、食事を楽しむ余裕はあまりないでしょう。食パンや目玉焼きは水分が持っていかれるのであまり喉を通らないかもしれませんが、卵掛けご飯は比較的喉を通りやすいです。あとは、バナナも甘みがあって柔らかいので水分をカットしていても喉を通りやすいでしょう。
3.カーボローディング中のサンプルトレメニュー&食事メニュー
具体的なカーボローディング中のサンプルトレ&食事は以下のようになります。
3-1.トレメニュー
カーボローディング中は基本的には筋グリコーゲンの消費を抑える必要があるので、トレーニングは極力控えるようにしましょう。カーボローディング中は糖質の溜め込みが優先です。
3-2.食事メニュー
10:00 バナナ×3本
12:00 卵掛けご飯800g
15:00 プロテイン(普段の摂取量)、きなこ餅×5個(きなこでタンパク質も摂取)
17:00 食パン(目玉焼き乗せ)×3枚
19:00 しらす&サクラエビ丼800g(中タンパク低脂質高炭水化物)
21:00 月見うどん卵2個3玉
目安として、総摂取カロリーの90%を炭水化物で摂取する必要があります。またカラダから水分を排出していく「水抜き」も行なっていく必要があります。
どのようにしてカラダの水分を抜くのか。水分摂取を絶ってしまうとカラダを壊しかねません。そこで必要なのは、水分を必要としないカラダ作りです。
人間のカラダは塩分が多いと、それを薄めるために水分を貯めようとします。そこで、身体から水分を抜くには体内の塩分濃度を低くすれば良いわけです。つまり、摂取する塩分を控えれば良いというわけです。塩分摂取を控えると身体から尿というカタチで余計な水分が排出されます。
ということで、食事メニューに関しても、できるだけ塩分量が少なく低脂肪高炭水化物メニューを選びましょう。
4.まとめ
カーボローディング中は食事回数を増やし、複合炭水化物を多く摂取することが重要です。また、筋トレは行わず、グリコーゲンを消費しないこと、そして何より無理をして倒れ、結果コンテストに出られないような事態を避けることが重要です。
多少無理をして絞ることも必要かもしれませんが、健康あってこその筋肉です。