アドベンチャーレースって一体何?日本国内の代表的なレースをご紹介
アドベンチャーレース(英語ではAdventure racing)は、海、川、山…大自然の“道なき道”を舞台に複数のアウトドア競技に挑戦しながらゴールを目指すワイルドなレースです。個人で参加するレースもあるし、チームで参加するレースもあります。
1.アドベンチャーレースとは
アドベンチャーレースはチーム戦で実施されることが多い長距離のレースです。元来はレーススタートからゴールまで、夜間も引き続いて実施されるという3日以上ぶっ続けの超長距離レースでした。日本国内で実施される際には、1日~3日くらいのレースが多いです。
1-1.アドベンチャーレースの種目
レースによって競技種目は違ってきます。よく行われる種目としてはトレッキング、マウンテンバイク、パドリング、ロープワークなどがあります。
1-2.アドベンチャーレースに必要な人数
レッドブルとかX-Alpsのように個人戦(競技者1人と同行者1人)のレースもありますが、多くのレースは3人~7人によるチームで競うスタイルになっています。
1-3.アドベンチャーレースの起源
1989年にジェラール・フュージー(フランス人)が開催した“レイド・ゴロワーズ”(ニュージランド)が世界ではじめてのアドベンチャーレースだとされています。
1-4.アドベンチャーレースの魅力
アドベンチャーレースではゴールにたどり着くために、舗装された道ばかりではなく“道無き道”を通ります。通過すべきチェックポイントの全てを通過して、どこのチームよりも早くゴールに到着したチームが優勝します。オリエンテーリングの後は、最速のコースを独自に判断して突き進むために、ジャングルや藪、崖といった場所も通ります。大自然の中、自分たちで判断した道をゆくワイルドな魅力がそこにはあります。
2.日本国内の代表的なアドベンチャーレースとは
日本国内で参加者が多い有名なアドベンチャーレースですが、以下のものがあります。しかし直近では天候などを理由に実施されなかったり、再開未定のレースもありますから、興味があるアドベンチャーレースがあるなら問い合わせしてみましょう。
3.伊豆大島アドベンチャーレース
「伊豆アドベンチャーレース」は2000年~2005年に開催されて一時期中断されていました。しかし2016年に「第1回伊豆稲取‐伊豆大島アドベンチャーレース2016」として再開されました。
3-1.伊豆大島アドベンチャーレースの概要
4人1チームとなって、伊豆稲取、伊豆大島をフィールドにチェックポイントを回ってゴールを目指すレースです。2005年に最後となった“伊豆アドベンチャーレース”を凌ぐスケール感が話題になっています。伊豆稲取、伊豆大島の美しくワイルドな自然にチームで挑みます。
開催場所は静岡県伊豆稲取、東京都大島町となっています。
3-2.伊豆大島アドベンチャーレースの出場方法
出場料として150,000円/チーム(傷害保険料を含む)を支払う必要があります。予定としては1チーム4名、合計10チーム参加します。なお、シーカヤックを漕ぐのは4人中2名です。
3-3.伊豆大島アドベンチャーレースのために準備するもの
競技種目ですが、シーカヤック、コースタリング、地図読み、トレッキング、マウンテンバイク、シュノーケリングなどです。注意点ですが、地図読みにはグリッドリファレンスの知識が必須です。事前に勉強してきてください。
・全種目共通ですがトレッキング装備としては以下のものが必要です。
レインウェア上下、行動食、水2L、ヘッドライト、スペア電池、ホイッスル、ファストエイド(チーム1つ)、非常時用の携帯電話(チーム1つ)、コンパス、
※レースで使用するGPSと地図は主催者側が提供します。
・マウンテンバイク装備に必要なもの
マウンテンバイク、フロントライト、リアライト、リペアキット、スペアチューブ
・シーカヤック装備に必要なもの
ビルジポンプ、パドル、タンデムシーカヤック1艇、360度視認可能な白色灯、ストロボライト、グロースティック、PDF、スローバック
・シュノーケル装備に必要なもの
マスクもしくはゴーグル、シュノーケルフィン
3-4.伊豆大島アドベンチャーレースに出場するためのトレーニング方法など
競技種目は事前に発表されているので、各自練習をする必要はあります。
距離は120-150kmです。参加資格としては中学生以上、健康であること、自己責任で行動できること、保険に加入していることなどです。
4.アドベンチャーレーシング ジャパンシリーズ(ARJS)
出典:ARJS
このレースでは、男女混成チームで行われます。機械を用いず、自分のいる自然環境に合致した多くのアウトドアスポーツを応用して、フィールドの中に定められたチェックポイントを、自分たちの勘でナビゲートしながらゴールにたどり着く冒険です。仲間を見捨てないという団結心や、ワイルドな大自然の中での適応能力が求められます。限界にぶつかった時に人間は自分を振り返る機会を与えられる…アドベンチャーレーシング ジャパンシリーズ(ARJS)はそういう人間の“生きる力”を揺り起こす大会になることを目指します。
4-1.アドベンチャーレーシング ジャパンシリーズ(ARJS)の概要
年に6回各地を舞台に実施されます。「岐阜長良川大会」では清流長良川と周りの山々で行われます。参加者に好評であったナイト・オリエンテーリングを行います。本戦では清流・長良川を川下り(ダウン・リバー)することができ、大きな川の魅力と、自然を思う存分楽しめます。
ARJS岐阜長良川大会では、涼しいせせらぎの音や、心洗われる河川の流れ、アドベンチャーレースの興奮と、田舎のゆっくりとした時間…こういった要素を満喫できる内容にしたいとARJS岐阜長良川ははりきって企画しています。
開催日時:岐阜長良川大会は5月19日(土)・20(日)(2018年)
開催場所:郡上市、美濃市
総距離:約50km
募集チーム数:基本20チーム
※定数数以上応募が集まっても参加可能の場合もあります。
※参加チームが10チーム以下の場合は大会中止(参加費は全額返金)
4-2.アドベンチャーレーシング ジャパンシリーズ(ARJS)の出場方法
参加資格は1チーム3名ミックス(男女混合)、中学生以上(高校生以下は保護者の同意必須)
※オープン参加(表彰対象外)で男性のみ3名、女性のみ3名のチームも参加可能です。
参加費は1チーム47,000円となってます。
4-3.アドベンチャーレーシング ジャパンシリーズ(ARJS)のために準備するもの
種目別の必携装備は以下通りです。
・ラフティング
ヘルメット(バイク用と兼用可)、ライフジャケット(大会側で準備)持ち込み可(なお、浮力が70キロ以上あるものとする)、パドル・ラフティングボート(大会側が準備)
・マウンテンバイク
マウンテンバイク(良く整備されたもの)、バイク用ヘルメット(ラフティング用と兼用可)、グローブ(フルフィンガータイプ推奨)、自転車用フロントライト(ヘッドライトでも可)、自転車用リアライト
※チーム単位ではマウンテンバイクが故障した際のために、リペアキットを持参する必要があります。予備タイヤチューブ、携帯空気入れ、タイヤレバーは必要です。
・ロープアクティビティ
ヘルメット(MTB用と併用可)、ハーネス(クライミングハーネス必須、アルパインポッドハーネスは不可)、ハーネス(クライミングハーネス必須、または、同等の規格(UIAA等の規格をクリアしているもの)であれば、軽量タイプのハーネスも使用可)、安全環付きカラビナ2枚、下降器(エイト環もしくはATC推奨)、縫製スリング1本(結び目のあるものは不可、60センチループサイズ推奨)、グローブ(皮、合皮のフルフィンガー推奨)
4-4.アドベンチャーレーシング ジャパンシリーズ(ARJS)に出場するためのトレーニング方法など
トレーニング方法については、以下の通りになっています。
大会前にこうした競技について練習できればベストでしょう。
競技種目:ラフティング、マウンテンバイク、オリエンテーリング
※全種目を通してナビゲーション技術が求められます
5.エクストリームシリーズ
出典:エクストレモ
日本初のシリーズ化されたアドベンチャーレース、それが「エクストリームシリーズ」です。ミックス(男女混成)チームとオープン(同性)チームの2タイプあり、それぞれに3人と2人のチームに分かれています。2017年の第1戦は那珂川大会でした。
5-1.エクストリームシリーズの概要
それぞれのレースが1日完結タイプなので、気軽に参加することができて、ローカルな自然や文化に触れることができるのが魅力です。
那珂川大会、奥多摩大会、尾瀬街道伊南大会、奥大井大会の4つの大会があります。
各大会の特徴としては、
那珂川大会:栃木県那珂川で開催されます。カヤックをこぎ、川を利用してアクティビティを行い、里山をマウンテンバイクで走ります。
奥多摩大会:奥多摩の渓谷・山里を舞台に開催されます。森林浴できます。
尾瀬街道伊南大会:日本の原風景を彷彿とさせる、伊南川流域に広がる村とその周辺の山々が舞台です。
奥大井大会:南アルプスの奥大井地方で開催されます。
という点が挙げられます。
競技種目:マウンテンバイク、トレッキング、カヤック、オリエンテーリング、チームチャレンジ(メンバー2〜3名で協力して行なう)
参加費 は1レース:22,500円(1チーム/3名チーム)19,000円(1チーム/2名チーム)、全レース:78,000円(1チーム/3名・2名共通)となっております。
5-2.エクストリームシリーズの出場方法
参加資格ですがチームは2~3人1組です。中学生以上で健康であることが条件です。カヤックやレースの経験は不要です。中高生は大人1人を加える必要があります。スタート前にはブリーフィングを受ける義務があります。
参加費は22,500円(3名)、19,000円(2名)(傷害保険料を含みます)。
マウンテンバイクは有料レンタル可(4000円)です。ヘルメットレンタルも可能です(500円)。
5-3.エクストリームシリーズ準備するもの
準備するアイテムはチームで必要なもの、個人で必要なものと分かれております。
・必ず常備するもの(主催者によってチェック有)
・チームに1つ以上
コンパス、ボールペンなどの筆記用具、書類を入れる防水袋、ファーストエイドキッド(バンドエイド、消毒液、包帯、テーピングなど)、サバイバルブランケット、携帯電話(緊急の場合のみ利用可能)
・個人で準備するもの(全種目共通)
水、飲み物(1リットル以上)、食べ物、健康保険証のコピー、笛、ライト&電池、保温性の高い速乾性の下着や防水性のパーカー
・マウンテンバイク
ヘルメット、手袋、自動車修理セット、目印
5-4.エクストリームシリーズのその他の注意点
チームメンバーは全く同じメンバーでなくてもOKです。順位は各レースの順位によるポイント制です。合計ポイントで順位が決まります。
6.里山アドベンチャー
アドベンチャーを競技として楽しむのが「里山アドベンチャー」レースの趣旨です。ラフティングレースを実施します。
6-1.里山アドベンチャーの概要
概要は以下の通りです。
開催種目:ラフティング静水トレーニング、ラフティングレース参戦、ナビゲーション課題、ナイトナビゲーション
カテゴリー:アドベンチャーレース、トレーニングキャンプ、ラフティングレース
集合場所:群馬県利根郡みなかみ町 湯桧曽公園
参加形態:個人
定員:30人
6-2.里山アドベンチャーの出場方法
参加費10,000円を当日受付で支払います。(保険代、ウェットレンタル代込)
6-3.里山アドベンチャーのために準備するもの
里山アドベンチャーの必須装備は以下の通りです。
必須装備:トレッキングのできる服装とシューズ、レインウェア、防寒具、ヘッドランプ&予備電池コンパス水筒(1リットル以上)高度計、マップケース(ジップロック可)、水着、濡れてもいい靴、ヘルメット(レンタルあり)、行動食(食事は会場でも購入できます)、ザック
6-4.里山アドベンチャー出場するためのトレーニング方法など
参加条件に「コンパスの使い方がわかり、基本的な地図読み及びナビゲーションができる人」とあるので最低限これはクリアーしておく必要があるでしょう。
7.X-adventure (SUZUKI X-Adventureシリーズ)
SALOMONがアドベンチャーレース、トレイルランニングレースの新規3大会をサポートします。スズキ株式会社協賛。日本国内におけるアドベンチャーレースの普及を目指して、「SALOMON X-Adventure 2010 みなかみ」、「SALOMON The 4100D マウンテントレイルin 野沢温泉」、「SALOMON/SUUNTOトレイルフェスティバル in 上越国際」の3つの大会が開催されます。
7-1.SUZUKI X-Adventureの概要
山岳、川、海など自然環境をそのままフィールドとしてランニング、バイク、カヌー等多くの競技をこなしながらゴールを目指すというレースです。トレイルラニングは山岳を走る競技です。
競技種目:ラフティング、キャニオニング、トレッキング、マウンテンバイク、ロープアクティビティ、ナビゲーション レイクカヌー
走行距離:150Km
7-2.SUZUKI X-Adventureへの出場方法
大会の公式サイトより参加費を添えて申し込みます。4人1チームで男女混成です。アシスタントを1人付けることが可能です。参加できるのは18歳以上の健康な男女のみです。
7-3.SUZUKI X-Adventureのために準備するもの
3つの大会がありますが、大会によって開催競技が異なるので、各競技で必要な装備を準備するようになります。チームで準備するものと個人で準備するものがあります。各チームにつき必ず1台アシスタントカーが必要な大会もあるようです。
7-4.SUZUKI X-Adventureに出場するためのトレーニング方法など
大会によって走行距離や開催種目が異なりますので、大会公式ウェブサイトを熟読の上、チームで協議しましょう。
8.まとめ
大自然をフィールドにダイナミックに動くアドベンチャーレースは、現代の機械化されすぎた生活の中で鈍ってしまった「野生」を取り戻すのにぴったりと言えます。個人で参加できるレースもあれば、4人以上のチームで参加するレースもあり、参加費用も1万円台から10万円以上必要なものまで様々です。優勝を目指すというよりは、大自然の中で仲間と一緒に冒険したい人にはぴったりと言えます。