ゆっくり走った方が効率的に脂肪が燃やせる! LSDランニングとは
LSDは「ロング・スロー・ディスタンス」の略で、LSDランニングとは長い時間をかけて心拍数120~140/分くらいのゆったりペースで長い距離を走ることです。
1.LSDランニングとは
LSDランニングとは、ゆったりと長い距離を走る運動です。この“ゆったり”ですが、1キロを7分から8分で走ります。LSDランニングはブリスク・ウォーキング(早歩き)とそれほど違いがありません。走る時間の目安は90~120分がよいとされています。LSDランニングは痩せたい男性のみならず、アスリートの身体づくりにも役立つので、多くの一流アスリートが取り入れています。
2.LSDランニングのメリット
2-1.LSDランニングは痩せやすい身体をつくる!
LSDランニングは、痩せたい男性にはおすすめの運動です。ダッシュで走るよりも、ゆったりとしたペースで長い時間・長い距離を走るほうが、脂肪燃焼に効果的だからです。
有酸素運動の場合は、運動を始めてから20分間は脂肪は燃えにくく、代わりにATPというアデノシン三リン酸が燃焼します。ATPの次にグリコーゲンが燃焼します。身体を動かし始めてから20分以上経過すると、グリコーゲンと一緒に脂肪が燃焼し始めます。
脂肪は体内に取り込まれた酸素と反応して酸化されてエネルギーに転換されるので、筋トレなどの無酸素運動より有酸素運動の方がより脂肪を燃焼しやすいということです。短時間ダッシュで走ったり、バーベル運動するよりも、長時間ゆったりした運動を続けることで脂肪は確実に燃焼しますから、LSDランニングはダイエットしたい男性にもってこいです。
2-2.「毛細血管」を発達させ、疲れにくい体を作る
ゆっくりと長時間走ることで、身体の末端まで網羅している「毛細血管」が発達し、酸素を取り込みやすい身体に変わります。全身の隅々まではりめぐらされた毛細血管を流れる血液がLSDランニングによって循環しやすくなるのですが、その分だけ運ばれる酸素の量もぐんと増加します。LSDランニングによって全身持久力の向上が期待できます。
2-3.LSDランニングは「最大酸素摂取量」を大きく向上させる
「最大酸素摂取量」とは分かりやすくいえば“スタミナ”や“疲れにくさ”のことです。人間の健康長寿にも直接関係してくる重要な数字ですが、有酸素運動を行う上での持久力を反映していると言われます。LSDランニングはこの最大酸素摂取量を上げるのに役立ちます。心肺機能が鍛えられて、走ることができる距離が徐々に長くなっていきます。抵抗力も高めるので風邪を引きにくくなったり、病気に罹りにくくなります。
“吸う”よりも“吐く”とか“吐ききる”ことが、最大酸素摂取量を上げるためには重要です。ゆったりとした深い呼吸に変わると、確実にスタミナがあがります。
2-4.LSDランニングによってもっと早く走れるようになる
LSDランニングは「全身持久力」と「筋持久力」の両方を効果的に鍛えることができます。
全身の毛細血管が発達している人は、血管によって全身に運べる酸素量も増加するために、全身の筋肉はより多く酸素を得られます。筋肉により多くの酸素が供給されるようになるので、LSDランニングを続けている人は、いつしか早く走れる身体に変わります。LSDランニングは「遅筋」を鍛えるのに効果的だと言われています。水泳やマラソン、陸上、自転車競技など、持久力が必要なスポーツにおいては、「遅筋」が発達していないと一流アスリートにはなれません。この遅筋と速筋(タイプ2A)が発達していると筋持久力が伸びます。
2-5.フルマラソンも夢じゃない!持久力がつく
持久力が身につけばこれまでできなかったことにも挑戦できるようになります。
“ゆっくりでも60分走れるようになればフルマラソン完走できる ”とも言われます。あなたの今の夢が、フルマラソンならLSDランニングは必須のトレーニングであるとも言えます。最初のうちは30分しか走れなくても、そのうち全身の毛細血管が発達していきますから、60分、120分と伸びていきます。普段より長い距離を長い時間をかけて走るLSDトレーニングは、“自分もマラソン完走できるかも?!”という自信や精神力がつきます。アスリートにとって重要なメンタル面も強化されます。
3.はじめよう!LSDランニング
3-1.「心拍数」を意識しよう
ランニング初心者は「心拍数」に注意しましょう。LSDランニングは他人と競う運動ではないので、自分の心拍数に注目して、つねに一定に保つくらいのマイペースさが必要です。
身体を特に動かさない平静時には、心拍数は60~70/分くらいですが、
ウォーキング 100~120/分
ジョギング 130~150/分
…くらいまで、心拍数は上がります。
くらいがベストです。
個人の体調もありますし、天気や風の強さ、坂道…等によってもLSDランニングの負荷は微妙に変化します。ですから心拍数だけに注目してペースを一定にしようとするのは難しい面もあります。しかし心拍数はひとつの目安であって、LSDトレーニングの負荷を客観的に知ることで自分にとって最適なトレーニングメニューを見直すことができます。
3-2.ランニングフォームを崩れないようにするには?
走る時に気をつけてほしいのが「フォーム」です。疲れてくるに従って、前屈から猫背になったり、腰が落ちてしまったりしては効果が半減します。スキップをイメージすると良いと言われます。LSDランニングは特に、ゆっくり走りますから、重心が後ろに下がり腰を痛めやすくなります。これまでジョギングの経験のある方なら、フォームは崩さないでペースを落とすとか、レースの時と同じフォームで歩幅を狭めることを意識してみてください。
3-3.ランニングアプリを利用しよう
走っていて負荷がきつくて全身が苦しくなる…そんな時は迷わずペースを落とすようにします。スマートフォンのランニングアプリを利用すれば、今走っている自分のペースを1キロ8分まで落とします。スマートフォンをお持ちでないなら、スマートウォッチだけでも、活動量計、心拍数計、歩数計といった機能が揃っていて3000円から購入できるので1台持っていてもよいでしょう。
4.まとめ
LSDランニングにはじめて取り組む人は、10分間程度続けてゆっくりと走ってみましょう。途中で息が切れてしんどくなっても、立ち止まらないで歩き続け、また走れそうなら走るようにします。そういうトレーニングを繰り返しているうちに、毛細血管が発達し続けて徐々にスタミナや筋肉もできてきます。