ケトン体って何?ケトン体ダイエットのメリット・デメリットや基礎知識
ケトン体とは、糖質が枯渇したときにエネルギーを確保するために人間の体が生成する物質です。糖質ほどエネルギー効率は良くありませんが、代替的に作られます。そして、そのケトン体の原料は脂肪です。脂肪を分解してケトン体を生成し、それを脳や体のエネルギー源にしています。特に脳のエネルギー源は糖質だけと言われますが、ケトン体も脳のエネルギー源になります。
1.ケトン体ダイエットのやり方
1日の糖質の摂取量を限りなく0に近づけ、脂肪からエネルギーを生成するカラダに変えるダイエット方法です。しかし、正しく行わないと筋肉までエネルギーとして分解してしまい、脂肪は減るが筋肉も一緒に減ってしまいヨボヨボのリバウンドしやすいカラダになってしまう危険性があります!
1-1.ケトン体ダイエットの間違った方法
「これ合ってるじゃん!」と思ったそこのあなた。この考えでケトン体ダイエットを行うと間違いなく筋肉まで落ちてしまいます。この考えには足りない点があります。
1-2.ケトン体ダイエットの正しい方法
糖質をカットするだけでは不十分です。糖質をカットしたことによる不足分のカロリーをタンパク質や脂質から補う必要があります。
1-3.糖新生
単純に糖質のみをカットすると、体はエネルギー(糖)不足になってしまい、糖新生という現象が体内で起こります。糖新生とは、体内のエネルギー源である糖(グルコース)が枯渇した場合に、アミノ酸や脂肪を分解して糖(グルコース)を生み出すシステムのことです。
1-4.糖新生=飢餓状態
糖新生が起こるということは、イコール体が飢餓状態(極端な摂取カロリー不足)ということになります。
この糖新生が起こる(体が飢餓状態になる)となぜダメなのかというと、脂肪の他にエネルギー源として筋肉のタンパク質まで分解してアミノ酸を生成し、そのアミノ酸をエネルギー源にするからです。ようするに筋肉まで分解されてしまうということです。
1-5.糖質カットしただけでは間違いなくカロリー不足に
日本人は、日々の摂取カロリーの60%を炭水化物(ほぼ糖質ちょっと食物繊維)から摂っています。単純に日々の食事からご飯などの糖質をカットした食生活を続けていると、摂取カロリーが6割減ってしまうので、間違いなくカロリー不足からカラダは飢餓状態へ陥ってしまいます。
1-6.糖新生を極力起こさせないポイント
たとえば、上記計算サイトで体重70kg年齢30歳の人の場合、だいたい1日の消費カロリーは基礎代謝が1600kcal程度、活動も含めた合計消費カロリーが2500kcalといった感じです。
ケトン体ダイエットを行う場合は、1日の摂取カロリーを2000kcal程度に設定し、この2000kcalをタンパク質と脂質メインで摂っていきます。三大栄養素の割合としては、
割合
・脂質:60%
・タンパク質:30%
・炭水化物(糖質):10%以下
といった感じです。
体重70kg年齢30歳の人の場合、2000kcalの10%なので、1日の糖質の摂取量は50g(200kcal)以下に制限し、脂質は133g(1200kcal)以上、タンパク質は150g(600kcal)以上となります。
糖質50g以下がどのくらいかというと、ご飯一膳の糖質含有量は59gなので、すでに1日の摂取量オーバーになります。ご飯やパスタなどの主食以外にも、野菜など至る所に糖質は潜んでいるので要注意です。
タンパク質150gは、鳥ささみ15本分、牛ステーキだと1.6キロ相当になります。ただし牛ステーキだと脂質が252g摂取になるので、脂質過多になります。
このように、糖質を制限し、タンパク質・脂質メインで摂取カロリーを補うというのは、意外に難しいことだという事がわかると思います。
2.ケトン体ダイエットの効率性
ケトン体ダイエットのメリット
・いらない脂肪をエネルギーとして活用できるお得システム
ケトン体ダイエットのデメリット
・摂取カロリーが低下すると脳や体の働きは悪くなり、代謝が落ちる
・筋肉がつきにくい
・体臭や口臭がキツくなる
・頭痛や吐き気が起きる可能性もあり
表面的に見ると、ケトン体ダイエットは非常に優れているように思えます。糖質制限で枯渇したエネルギーをいらない脂肪をエネルギーにしてくれるので、こんなお得なシステムはないと感じるかもしれません。しかし、カロリーコントロールをうまく行わないとカラダが飢餓状態に陥り、脳や体の働きは悪くなり、代謝も落ち込みます。脂肪と一緒に筋肉も分解されてしまうので、綺麗な痩せ方にならない可能性も高いです。
2-1.リバウンドしやすい
そして、リバウンドする可能性の高いダイエット法でもあります。糖質不足でカロリー不足に陥った体は飢餓状態で、体内に取り入れられたものをいつも以上に吸収します。そのため、太りやすい体になっています。飢餓状態の動物はなるべく体脂肪も身につけて生命を存続させようとします。飢餓状態で生き延びるためには筋肉よりむしろ脂肪の方が重要なので、筋肉は付きにくくなります。
ボディビルダーなども減量期には糖質制限を行いますが、筋肉が多少減るのは仕方がないと考えて減量しています。もともと筋肉量の少ない人がケトン体ダイエットを行うと、筋肉が減りすぎてヨボヨボな感じになります。
2-2.体臭や口臭がキツくなる
ケトン体が体内に発生すると、ケトン体に含まれる「アセトン」という物質が汗や呼吸に混ざり排出され、体と口から果物が腐ったような甘酸っぱい独特な臭いがするようになります。
また、アンモニア臭が強くなったり、体と口からアンモニア臭、つまり尿の臭いがすることもあります。炭水化物の摂取量が減ることにより、体内の水分量が減少してしまい、ドライマウスによる口臭の悪化も気をつけなければなりません。
2-3.頭痛や吐き気
ケトン体が発生すると、体内が弱アルカリ性から酸性に傾きます。人間のカラダは酸性になると頭痛や吐き気が起こる場合があります。サプリなどを摂取して、体内環境を弱アルカリ性に戻す必要があります。
3.糖質制限に向いている人
もともと太っている人や、筋肉量の多い人はケトン体ダイエットをしてもデメリットが少ないです。また、糖質を過剰摂取している人は、ケトン体が出るほどまで糖質を制限せず、栄養バランスが整う程度に糖質を制限するのも良いです。日本人の食生活は糖質が多くなりがちなので、糖質は適度に抑えた方が良いです。たとえばお腹が空いているときは白米の量を増やしてお腹を満たす場合が多いですが、これだと糖質が多くなってしまいます。
カロリー摂取量が多くなることもありますが、白米中心だとどうしても糖質に偏ります。そういうときは多少糖質制限して、足りない分はタンパク質で補う形にすると良いでしょう。
4.糖質制限に向かない人
痩せている人、筋肉をつけたい人にはケトン体ダイエットは向きません。痩せている人はもともとエネルギー不足なので、しっかり栄養を摂取しなければすぐに飢餓状態になります。脂肪が少ないと筋肉が燃焼される割合が多くなり、脂肪も筋肉もない場合は内臓や肌の機能を落として生命を存続させるようになります。その結果、拒食症などに陥る可能性も高いでしょう。
痩せている人や筋肉質な人は低血糖状態に陥りやすいので、糖質制限に向きません。
5.まとめ
ケトン体ダイエットは、糖質の摂取のみ気をつければ、あとは何を食べてもいい楽なダイエットだという認識は、この際捨てた方が良いでしょう。
自分の1日の消費カロリーと摂取カロリーを把握して、タンパク質・脂質でバランスよくカロリーコントロールできなければ、筋肉が落ち逆に痩せにくいカラダになってしまう上級者向きのダイエット法だという事です。
体臭や口臭もキツくなるので、サプリなどの摂取が必要になり、デメリットも多いということでした。デメリットも多くめんどくさいので、僕はやりません。